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さらまわしネタ帳109 - 小柳ルミ子

中央エフエム「さらまわし・どっと・こむ」のOAですが、7月は全部再放送対応ということになってしまいました。いつも聴いてくださっていらっしゃる方には、申し訳ありません、お詫び申し上げます。まあ、事情が事情ですから仕方ないですね。お許しを。そんなわけで、番組とガッツリ連動して書いている…わけではないこのネタ帳ですが、しばらくお休みしますと言いたいところですが、番組と関係ないことを書きたくても書けてない部分が結構あるので、そっち方面のネタでしばらくいこうかなといったところです。…普段とさほど変わらんかも…。

ということで、昭和歌謡ネタでも行きますかと資料を眺めていたわけですが、先日も書きましたが、小柳ルミ子という昭和歌謡の大御所さんがいらっしゃいまして、いろいろ世相と連動していて面白いというか、考えさせられる部分があるんです。

この方のデビューは1971年、4月に発売された「わたしの城下町」の大ヒットで一躍有名になるわけですが、そもそも宝塚歌劇団卒ですね。歌唱演劇の経験を積むためという理由で宝塚を腰掛にした強者ですな。歌も上手いわけです。1970年代前半のアイドル歌謡の代表選手とはいえ、和テイスト一本というのはおそらくご本人も納得いってなかったと思います。後々の活動を考えると容易に想像がつきますね。

まあ、時代が時代です。1972年が鉄道100年、「Discover Japan」のキャンペーンとともに、若者にも国内旅行が流行る時代です。一方で、1975年3月24日に「最後の集団就職列車運行」という記録が残っています。同年、旅客鉄道から蒸気機関車が引退します。時代の潮目ですね。そんな時代に、上京するために別れを迎える地方出身の若者の目線で歌われた曲がいくつもある小柳ルミ子という歌手の立ち位置が案外面白いんです。まあ作詞家さんの問題かもしれませんが、周辺を調べていると、意外な側面があることが知れ、興味を持ってしまったわけです。…特別この方の歌が好きというわけではありません。

この辺はトークイベントなりで詳細に語る機会があるか否かといった程度で、詳しく書くつもりもありませんが、シングルのディスコグラフィを眺めていると、さらに面白いことに気が付きます。あれだけのヒットメイカーですと、大抵固定のソングライティング・チームがつくのでしょうけど、マネジメントの判断か、ご本人のご意向か、当初は平尾昌晃作曲に安井かずみor山上路夫作詞で軌道に乗るわけですね。その後がもうビックリするほどいろいろな作詞家先生の歌を歌うわけなんです。

まず高山の目を引いたのが、1976年、19枚目のシングル「夾竹桃は赤い花」のAB面、作編曲は宮川泰さん、作詞がなんと岩谷時子さんなんです。この人、越路吹雪のマネージャーさんなんですけど、「愛の賛歌」や「サン・トワ・マミー」の訳詞もしている方です。普通マネージャーはそこまでやりませんよね。

その辺が起点なんだと思いますけど、その後は作詞家として大ヒット曲をいっぱい書くことになります。加山雄三の「君といつまでも」や「お嫁においで」など、若大将の主要ヒット曲ほぼすべてがこの方の作詞ですし、ピンキーとキラーズ「恋の季節」「涙の季節」やら、沢田研二の「君をのせて」もこの方なんです。ただそう考えると和テイストで押していた小柳ルミ子というのは、無理のあるキャラ作りというものが見えてきますね。

もう一人、1978年、25枚目のシングル「夢追い列車」の作詞は伊藤アキラさんです。この人選も意外です。この方「ひらけ!ポンキッキ」や「ロンパールーム」「みんなのうた」といったあたりが専門の方ですからね。同時にアニメも大量に手掛けていらして、「Dr.スランプ アラレちゃん」やら「あんみつ姫」をはじめ、意外なところで「ストップ!!ひばりくん!」なんてのもあります。

CMソングに関してはもっと面白くて、丸善石油の「オー!モーレツ!」とか「日立の樹」もこの方なんですよね。そして何と言っても三ツ矢サイダーのシリーズがあります。大瀧詠一が歌った「サイダー’73」「同'75」「同'77」、山下達郎が歌った「三ツ矢サイダー'76」などの詞ははこの方なんです。「小山ゆうえんち」とか日清食品の「出前一丁」とかもこの方ですから、随分幅広く手掛けていらっしゃいますな。

調べていくと、小柳ルミ子という歌手は、凄く実験的なことにチャレンジしていたのかなとかいった印象になってくるんです。しがらみとかシャットアウトできる人なんですかね。ご本人、最近はサッカー大好きキャラを前面に打ち出しておりますが、実際のところ、なかなか面白い方なのではないかと思います。

まあ、ラジオ番組で曲をかけることもなさそうなので、こういった機会に語ってみるのはありなのではないでしょうか。

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