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母のミンチ 私のミンチ


免治ミンチィが思い出させてくれた
母のあの料理と
私から娘たちへ、娘たちから少年少女たちへ伝えるぱぱっとごはんのこと…


45年前から作っている私の定番 納豆(ミンチ)ごはん
夏のお味噌汁はもちろん モロヘイヤのお味噌汁です




免治ミンチィ


免治ミンチィを作りたくなった。

葡式ポルトガル風乾免治ドライミンチィはマカオの代表的な家庭料理で、日本の雑誌やグルメ旅番組でもよく紹介されているマカオの代表的な家庭料理だ。

とエラそうに言い切ってはみたけれど、実はマカオで食べたことはない。
十五年ぐらい前にマカオを旅したときは、アフリカンチキンの食べ歩きが目的だったから、免治ミンチィは全く眼中になかった。

ところが突然、そうだ!免治ミンチィ作ろう!
となり、某日、自分好みのレシピで夫とのランチに作ってみた。

マカオでは家庭の数ほどレシピがあるという。
だけど複雑で手のかかる料理ではない。
挽き肉を炒めて味付けをして、ダイスに切って揚げたじゃが芋と合わせ、ごはんの上にかけ、目玉焼きをのせれば出来上がり!

家庭によって使う調味料の種類とスパイスが少し違うぐらい。

サイドディッシュもなく一品ど~んランチ
揚げたじゃが芋と多めの油で焼いた目玉焼きが食欲をそそります


私の免治ミンチィ 

1)約1~1.5㎝角に切ったじゃが芋をオリーブオイル植物油で揚げる
2)同じフライパンで目玉焼きを作る
3)醬油、中国たまり醤油老抽王、オイスターソース、リーペリンウスターソース、砂糖を混ぜて、合わせ調味料を作っておく
4)玉ねぎ、にんにく、ローリエ、きくらげ、牛肉少し多めの合い挽き肉を炒める
5)合わせ調味料を入れてじゃ~っと味付け、胡椒とオールスパイスを挽いて、揚げたじゃが芋を加えて大きくひと混ぜする
6)お皿にごはんを盛り、5)をのっけて、2)の目玉焼きをトッピングすれば出来上がり

*材料/詳しい作り方は添付したレシピに記載しています


「いっただきま~す」と混ぜ混ぜ
「わっおいっし~~~い!」
「いや、ほんとおいしいわ」
と二人でおいしい連発の初免治ミンチィ
リーペリンウスターソースと揚げたじゃが芋がいい仕事しています
きっとこれから何度も作るでしょう



こうして、うちの定番料理がまたひとつ増えた。


母のミンチ〜さつま芋牛ミンチ丼

免治ミンチィを作って食べながら、母が作ってくれたもないあの一品を思い出したのは、決して母がマカオの出身だとかマカオに住んでいたことがあるというのではなく、ぱぱっと作れて満足できる挽き肉を使った家庭料理~母の味~というキーワードからだ。


他人丼と言えないことはないけれど少し違う?
あえて言うならさつま芋牛ミンチ丼でしょうか


三十九歳で夫を亡くし、その翌年、明治生まれの厳格で気位の高い姑を看取り、地方の町の本家の長男の嫁(しかも亡くなった父は一人っ子)としての立場だから背負せおうものも多かったであろう四十歳の母は、働くようになる。
そのころよく作ってくれた料理がさつま芋牛挽き肉丼だ。

なんと言ってもそれは1960年代の話で、しかも田舎、コンビニも気の利いたお惣菜も冷食も電子レンジもまだないころで、日々の食事は家庭で作るのが主流の時代。

牛挽き肉は素早く火が通るし、どうしてじゃが芋じゃなくてさつま芋なのか、それは単に畑で収穫したさつま芋のシーズンでごろごろあったからで、今様に言うならアルモンデ料理だったのだろう。

趣味人でたくさんの習い事をしていた母は料理よりおしゃれをするほうが好きで、祖母が料理のほとんどを仕切っていたこともあったから、手の込んだものは作らない。
姑を介護し看取り、子どもたちに食べさせるためにちゃちゃっと作った料理、これは母のミンチ家庭料理だ。

さつま芋と玉ねぎと牛挽き肉、最後にぽんっと落とした卵!
少し甘めの中国地方特有のお醤油がすべてをまとめ、ほの甘い記憶となって蘇る。
兄が大学を卒業して就職し、母は仕事を辞め、再び習い事三昧の人生。
不思議なことにこの料理は私が高校生のころまでの限定料理で、それ以後母が作ってくれた記憶はない。

先日、兄に母のこの料理の話をしたら、まったく覚えていないという。

ともあれ、これが私の母の味だ。母を懐かしむとき、思い浮かべる味だ。


私のミンチ〜納豆ミンチごはん

ならば私のミンチって?
それは即答できる。
家族はそれを納豆ごはんとよんでいる。

「今日は納豆ごはんよ」というと娘たちも夫も大喜び、こんなに簡単な料理でみんなが笑顔になるのだから、すごいぞ!納豆ごはん!

1980年代
三人の娘たちが幼かったころ
納豆ごはんミンチはこの印判手のなます皿に盛り付けていました
豆板醤はもちろん使わなかったかな?

1978年、NHKの番組で、町の中華料理店の主人が家族の晩ごはんに作った料理が納豆入り挽き肉炒め、その組み合わせが面白くて、翌日には早速さっそく作っていた。
それを少しずつうち流にアレンジして、うちの納豆ごはんができる。

今日は簡単なごはんにしたいというときのお助けレシピだから、結婚して家族を持った働く母である娘たちもよく作っているようだ。

某日
夫とのお昼ごはん
47年前に奈良に住んでいたころ買った
古伊万里染付瓢箪文七寸半皿


納豆(ミンチ)ごはん

1)薄切りの玉ねぎを炒め、フライパンの空いているところで豆板醤を香りが出るように炒め、挽き肉を加えてさらに炒める
2)醤油、塩(食べるときにコチュジャンを添えないのなら砂糖も)を入れて混ぜ、小口切りにしたニラを加えてさっと炒める
3)2)に納豆をぱかっと入れて火を止めてから混ぜる
4)お皿にごはんを盛り、3)をたっぷりのせて好みで目玉焼きや温泉卵をトッピングすれば出来上がり
5)食べるときにコチュジャンを添える

*材料/詳しい作り方はに添付したレシピに記載しています


1988年ごろ家族で暮らしたソウルで初めて知った韓国産粉唐辛子やコチュジャンはそれ以降、うちの食卓には欠かせない調味料になり、納豆(ミンチ)ごはんにも必ずたっぷりと添えるのがうち流。

十年前にソウルで買ったコチュジャンが入っていたオンギ
十年経っても惹かれる生活雑器です
コチュジャンを入れるといい雰囲気


1996年から数年間家族で暮らしたカイロで出会ったモロヘイヤは、帰国してから愛すべき大切なモロヘイヤのお味噌汁となる。
少年少女たちの大好物で、これも私の大切なレシピだ。

一汁一丼
納豆(ミンチ)ごはんには旬のトマトと胡瓜
前夜たくさん作っておいたモロヘイヤのお味噌汁
これだけでも栄養いっぱい!
安心ごはん




もない一皿が人々をつなぎ
人々の生きる力にもなる。
料理の力は偉大だ。



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