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ショートショート集

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#短編小説

君が今夜見る夢

「半熟卵のドリアと、このチキン」 「あと、タラコソースのパスタと、このサラダを。あ、ドリ…

有限会社サイコパス

「1人、新しく社員を採用しようと思う」  先月、突然社長がそう宣言した。 「ほー、珍しい…

宇宙の片隅で

 ぼくはこの小さな惑星から離れたことが一度もない。もうどれくらいの時間を先生とふたりきり…

ふさわしい役目

 モユ王は窮地に立たされていた。隣国の侵攻が止まらず、国の存亡が危ぶまれる日々。国民たち…

スターダスト

「この戦争の勝者が宇宙の覇者になれると言っても過言ではない。心してかかれ!」  隊長が無…

ある発明

 この頃、売り上げが伸びておらず、メガネ屋の店主は頭を悩ませていた。理由は半年前、向かい…

ふたり

「次はなんだっけ?」 「次がもう最後よ」 「最後。あぁ、そうか……」  ふたりの男女は宇宙での任務をやり終え、星に帰っているところだった。やたらとでかい宇宙船に乗り、宇宙の海を進んでいく。男女はだだっ広い船内にふたりきりだった。男は操縦機を動かしながら、だんだんと神妙な面持ちになっていく。静かな雰囲気。そして女に聞いた。 「なぁ、君も僕と同じことを考えているのじゃないか? そんな気がしているのだが」  女は小さくうなずく。 「えぇ。あなたの勘はきっと当たっているわ

奇なること

 締め切り当日。小説家の男は今日が期限だというのに、原稿が仕上がらず、頭を抱えていた。 …

趣味提案

 趣味がない。というのは多くの人が抱える悩みのひとつだ。昔の人からすれば贅沢な話だろうが…

雑音

 朝。目覚まし時計の鳴る音で私は目が覚めた。と同時に、頭の中のチップが作用し、曲がかかる…

期末試験

<あと5日>  試験期間ほど憂鬱なものはない。カレンダーを見ては試験までの日数を数えてげ…

はしご

 暗闇の中、私は考えた。何はともあれ、いま私はどこか深くへ落ちている。誰に何をされたのか…

寿司

 水汲みを終えて家に帰ろうとしたら、森の中で動く影が目に入った。男。4人。やつらだ。切り…

惑星Eの人々

 その惑星には、心優しい人しかいませんでした。  困っている人を見かけたら声をかけ、なんでも手伝ってあげます。自分の都合は後回しで、必ず最後まで。電車やバスを待っていて自分と同じ列にお年寄りが並んだなら、みんなで「お先にどうぞ」と譲ってあげます。何かのお店へ出かけたなら、店員さんに最大の敬意を払いますし、店員さんもお客のために頑張ります。みんな人の世話を焼くのが大好きで、お互いに助け合って暮らしているのです。  その惑星の人々は、みんながみんな勤勉でした。  子供から大