”多様性”を軽々しく使わないー朝井リョウ著 正欲を読んでー
朝井リョウさんの正欲を読んだので、感じたことを残す。
この本を読むまでは自分の感じる欲が、皆平等に感じている欲だと信じていたし、それ以外に対して、表向き肯定的な姿勢を見せつつも腹の底では理解できず、距離を置くスタンスでいたと思う。
自分が本能として備わっていることを無自覚で正しいものとしていたけど、それは傲慢なんだと思わされるテーマだった。
この一文は読み始める前のほとんどの人に当てはまるのではないかと思う。
楽しい未来を信じられず、死にたい明日しかないと思う人が身近にいるかもしれない。そんな人に対して私はこれを読んだ後も、深く踏み込んで、話し合おうよなんて、言えないかも。
一番好きなシーンは、夏月と佳道が岡山で対話するシーン。
普段は誰にも理解されないから口を閉ざしていた二人が、自分の考えをぶつけ合って、”繋がり”をお互いに感じることができて、読みながら安心したシーン。
この小説を読んで何か行動に起こすことはないけど、私が見てる世界が全てではないことは改めて肝に銘じたいし、これからも色んな思考思想に自ら触れていきたいと思う。
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