書籍紹介「コネクトーム:脳の配線はどのように「わたし」をつくり出すのか」
原著作者はセバスチャン・スン。
記憶を初めとする脳の異常と正常、また個人間の差異を、「ニューロンのつながり方」で説明を試みた書である。
現在までに至る脳科学は、「何をした時にこの部位が活動する」という切り口からのアプローチが多いが、本書では、「何をした時にどのような回路が活動するのか?」という切り口を示唆している。
神経細胞のつながり方というのは、ヒトはもちろん、マウスや線虫でもいまだに大きな課題となっている謎である。
数兆という数のニューロンがどうつながっているのかという回路図を書くことがいかに困難かは、想像に難くない。
著者は、現代医学における限界を認め、過去の事例に基づきながらその困難さも説明している。
ヒトの脳の、ニューロンの「回路図」を作ることは原理的に可能ではあるが、技術とヒト知能の限界を見ることになるであろう。
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