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不思議な動物たち

人並みに動物が好きだ。今は熱帯魚のベタを飼っている。5年前はうさぎと暮らしていた。その前は8年くらい金魚を飼っていた。祖父母の家には犬がいた。駐車場に行けば猫がいる。教習所は鳩を生産してるのか?ってくらい鳩だらけだ。鳩が喧嘩しているのを初めて見たのは5回目の教習の時だった。気が散るだろ、やめろよ。仲良くしろよ。初めての蛇行運転をした。もう行きたくない。

すべて記憶に基づいて書いたけど記録が残ってないので次に同じ話をするときは数とか季節とかが変わっているかもしれない

順番を守るスズメの話

小学3年か4年の、肌寒い季節の日だった。秋の始めか冬の終わり、私は海浜公園のベンチで母と昼ごはんを食べていた。上からシャワーが降ってくるアーチ状の何かがある広場の脇で、コンビニで買ったおにぎりを食べていたとき、少し離れたところにスズメが何羽かいるのに気づいた。人間を気にしながらこちらに歩いてくるのを感じる。

「かわい〜からおにぎり少しあげようかな?」と思った私は、少しそこらへんに投げてみた。狙い通りスズメは食べてくれたが、なんかさっきよりスズメが増えている。小学生の私はスズメに「もっとくれ」と言われてる気がした。よし任せろ、だが条件がある。私の隣におにぎりを気持ち多めに分けたものを置くから、そこまで来てくれないか。「いや〜流石に来ないよね〜」と思っていたが、来てくれたのだ。スズメたちは。

母・私・少し距離があっておにぎり・スズメ・スズメ・ベンチの下にもスズメ、その後ろにもスズメがいた。並んでいる。そう、スズメがおにぎりのために並んでいるのである。おにぎりを1度か2度つついたスズメは下に降りる。後ろにいるスズメが前に詰める。下にいたスズメがベンチに飛び乗る。そうやってスズメ達は順番を守り、おにぎりを食べていた。気づけば大盛況、私の座るベンチの前には30羽くらいの大量のスズメがいた。スズメたちが順番を守っておにぎりをつつく様子はしばらく続いた。驚いている私たちのもとに現れたのは鳩よりデカい鳥。そして向こうからスズメの集団を割るように歩いてきた親子。鳥と親子の襲来で散り散りになるスズメたち。スズメ達のおにぎりを奪うデカい鳥────────。

あんまりスズメ見なくなりましたね。寂しいな。

犬、もしかしてキャッチボールか…?

祖父母の家には犬がいた。9割黒くて、鼻先とか胸元、足の先の毛は白い犬だった。祖父母の家にはグァバの木があった。毎年めちゃくちゃ実る木だ。グァバは他の果樹と同じように、実が熟して落ちたり、萎んで乾燥してカチカチになったりした。そのカチカチの石みたいになったグァバが落ちていたので、犬に見せてみた。すると犬は喜んで咥え、タッタッタッと裏庭の方へ消えていった。戻ってきた犬は石みたいなグァバを持っていない。しかしニコニコ笑っているのが伝わる。「ひとりで遊んでるうちに無くしたのかな?」「捨てたのかな?」と思っていた。

数日後、また祖父母の家に遊びに行った時、犬は私を見るなり裏庭に駆けていった。いつもはもっと「来てくれたの!?嬉しい!本当に来てくれたの!?ひゃっほ〜〜い!嬉し〜〜〜!」って感じの犬が、用事を思い出したみたいに私をほったらかしにする。戻ってきた犬は、あの石みたいになったグァバを持って帰ってきた。自慢げな表情である。これ、私があげたやつじゃな〜〜い!?!?!?ちょ、天才〜〜〜〜!!!!!

餌を探すベタ

2020年の12月からベタを飼っている。熱帯魚、闘魚、鮮やかで華やかで喧嘩っ早くてコップで飼えるというイメージだった。実際にはコップで飼うなんて無理だし、ヒレは簡単にボロボロになっていくし、うちの子は鏡を見るとヒレをしゅん…とさせてぴぇーっと逃げていく。

ベタが家に来た翌朝。ベタは人間をよく見ようとしていた。こんなに人間のことを見つめる魚だとは思わなかった。餌をあげた。ひかりベタという餌で、6〜10粒くらいが目安となっている。8粒与えることにした。1粒ずつ落として、1粒食べ終わると次の1粒…というふうに与えた。最後の8粒目である。餌をあげたが、ベタはキョトンとしている。首を傾げて「?」の表情をする。確かに落としたはずの餌が無い。私の手にも無い。ベタは首を傾げている。いやベタって首傾げるの?まじ?水面に餌が無いか、色々なところから見て、色々なところを見て、水槽の中を行ったり来たりして、下に沈んでいる自分のフンを見て「……?」となっているベタ。あまりにも表情豊かでキュートで混乱した。自分のフンに近づいて「いや、これは餌じゃない」と確信した(ように見える)ベタがこっちに戻ってきて人間を凝視する。立ち上がって水槽を上から見たら、蓋の死角に餌が残っていた。

ベタはよく首を傾げる。水槽の隣で作業していれば、人間に一番近い場所で人間を見ているし、私がベタを見ればベタも私を見る。多分2時間見つめ合うこともできる。私の体力が持たないが。

猫の集会 特別ゲスト

猫の集会に参加したこと、ありますか?私はあります。あれは高校2年の秋頃だった。若鶏とポテトのチーズ焼きのお惣菜が大好きだった私は、部活終わりに高校近くのサンエーで300円くらいの小さい方を買って、近くのコンビニの駐車場で母を待っていた。低い塀に腰掛けていると、猫が3匹現れた。

明らかに上下関係があった。ボス・スネ夫・下っ端である。そして私は多分、ボスとスネ夫の間に位置付けられた。ボスは人懐こいのだが、それはあくまでそうした方が猫にとって都合が良いからだ。この猫、私のチキンを狙っている。やめろ、これはチーズがベタベタで猫さんにはあげられたもんじゃないし、今日これを楽しみにしてたんだからダメです猫さん。チキンだけは、チキンだけはどうか。

スネ夫は、ボスが私にスリスリしている間に私のチキンに触れようとしてボスにバレ、にゃーにゃー叱られていた。一方、下っ端はチキンに近づこうとするだけでボスに怒られるのであまり距離を詰めることはできなかった。積極的に私(チキン)に近づこうとする2匹の猫と控えめな猫、必死にチキンを守る私。そして気が付くと始まっていたのである、猫の集会が─────。

塀に座る私(チキンを抱えている)、隣にはボス、下にスネ夫と下っ端。上下関係を感じる高低差である。ボスが「にゃー」と言い、私を見て、私が下っ端を見て、下っ端がボスを見て、ボスがスネ夫を見て、スネ夫が私を見る…………みたいな、適宜にゃーにゃー言いながら私には何もわからないアイコンタクトが始まった。どうしよう、これ、多分私のチキンの話してる……私あげるってことになってないよね……?えっ……ねえ……なんで誰も教えてくれないの……ちょっと……えっ……と言ってる間に母が到着、集会は強制終了した。その後コンビニへ行っても猫たちに会うことは無かった。


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