動画編集の基本スキル+テロップ+時短スキルが1冊で学べる『さわる、楽しむ、理解する Premiere Pro入門』:担当編集者に聞く制作エピソード
YouTubeをはじめ、スマートフォンやパソコンで「動画」を見ることが当たり前の時代になりました。その動画を見やすく加工し、魅力的に演出するのが「動画編集」です。動画編集用のソフトは数多くありますが、プロがよく使うのがAdobe Premiere Pro。多くの人が使うソフトですが、少々操作は複雑です。
さるぱんだ著『さわる、楽しむ、理解する Premiere Pro入門』(2022年11月発売)は、このAdobe Premiere Pro(以下、Premiere Pro)を、楽しみながら学び、実践的に使えるようになりたい人のための本です。どこが学びやすさのポイントなのか、本書ならではのおすすめポイントはどこか、制作のなかでこだわってきたことを、担当編集者のR.Iに聞きました。
聞き手:技術評論社 デジタル事業部EC/マーケティング室
Premiere Proを本業で使うプロを著者に選ぶ
――『さわる、楽しむ、理解する Premiere Pro入門』の著者さるぱんださんにはどのような経緯で本の執筆をお願いすることになったのでしょうか。
知り合いの著者さんからのご紹介でした。
Premiere Proは本来プロ向けの動画編集ソフトなので、その入門書を書いていただくなら本業として日々Premiere Proを使っている方がいいだろう、と。それで、もともと関西の放送局で働いていた、さるぱんださんをご紹介いただきました。さるぱんださんは、今はフリーランスとして、幅広い分野の映像制作を手がけていらっしゃいます。
――Premiere Proのプロ、ということで依頼されたんですね。動画編集ソフトはいろいろあると思いますが、そもそもなぜPremiere Pro を選んだのですか。
YouTubeで動画を見ることが広がり、自分で撮影編集までするようなYouTuberも当たり前の存在になりました。企業にとっても動画を使ったプロモーションはもはや普通で、これまで以上に「動画」というものが一般化しているのは、皆さんご存じの通りだと思います。その中で、本来プロ向け(テレビ番組、映画などの制作用)の動画編集ソフトであったPremiere Proの需要もわかりやすく伸びてきていました。
Premiere Proを使いたい・使わなきゃいけないという方たちには、いろんな目的だったり、用途だったりがあると思います。ですが、まずはPremiere Proという「道具」を使えないとはじまらない。そして、はじめてPremiere Proを使う人にとって、知らないといけない知識や役立つ内容は、ある程度共通していると思うのですね。
そこで、「YouTuber向け」のように対象読者を絞るのではなく、Premiere Proをはじめたいすべての人へ届くようにしたいと考えました。
具体的には、以下のような方々を想定しました。
仕事の幅を広げるためにPremiere Proを使ってみたい、すでにAdobe CC(※)を契約しているデザイナーやカメラマン
特にコロナ禍以降目立って盛り上がりを見せている動画編集を副業にしたい会社員や主婦
企業内で動画を内製化するミッションを受けた人
YouTubeで人気になり、一山当てたい人
――本業でも副業でも、使う可能性のあるシーンも人もいろんなパターンがあるのですね。この方々はこの本を読むとPremiere Proで動画が作れるというレベルにまでなれるのでしょうか。
本書を読めば、Premiere Proの使い方はもちろん、動画の基礎知識を理解し、普通に動画が作れるようになり、さらには高度な、プロが使うようなテクニックが身につけられる、ということを目指しました。
入門+αの内容を網羅しているので、「Premiere Proはもう使える、ちょっと凝った動画も作れる」という感想をもってもらえるように工夫しています。
1冊で動画編集の基本もこだわりのテロップも時短術も
――「Premiere Proはもう使える、ちょっと凝った動画も作れる」、という感想をもってもらうために、どのような工夫をされたのでしょうか。
3つあります。1つ目は「手を動かして学べる」ということです。本書のほぼすべてのSectionでサンプルの動画素材を用意し、それをもとに操作しながら学習できるようにしました。
2つ目は「構成」です。Premiere Proはプロが使うだけあって、ものすごく多くの機能があるのですが、動画編集で絶対に知らなければいけない機能はごく一部です。そこで、4章までで1つの動画を作りながら、動画編集のワークフローを学ぶと同時に、必須的なスキルを身につけられるようにしました。第5章以降はテクニック集になるので、4章までを「基本スキル編」、5章以降を「テクニック編」の二部構成としました。
3つ目は「ほかの本であまり扱っていない内容」を入れたことです。具体的には「テロップ(4章)」と「時短(7章)」、「ショートカット(本全体)」です。
YouTubeの動画もそうですが、テレビ番組を見ていても、最近はテロップのついている動画が増えてきている感じがします。そこで、需要があるであろうテロップをしっかりやろうと考えました。このテロップというのは、著者の得意分野でもあります。
「時短」はそのままの意味ですね。時間がかかる動画編集を、いかに短時間で進められるか。文字起こし機能を使ったり、テロップなどを動かすためのモーションをテンプレートにして使いまわしたり、といったことです。
そして「ショートカット」は、各手順にボタン操作だけでなくショートカットも併記したことです。これは「Premiere Proは操作が複雑なのでショートカットを前提として使ったほうがいい」という著者の考えがあったからですが、当初私は「ホントかな?」とあまり乗り気ではありませんでした。
しかし、実際にPremiere Proをショートカットを使いながら動かしてみると、「確かにこれはショートカットで操作できたほうが100倍いい!」と思うようになりました。圧倒的に操作スピードが違うのです。
――テロップがさるぱんださんの得意分野、というのは気になります。
さるぱんださんはかつて、主にテレビのニュースやバラエティ番組などのテ
ロップ・CG作成をされていました。今はフリーランスとしてローカル番組の映像編集や、インバウンド向け観光動画など行政系の映像編集などをされています。どちらかというとバラエティ的なものではなく、カチッとしたタイプの動画が多いと聞いています。
――きちんと映像で内容を正しく伝えなければならない分野、のイメージですね。
その中で、見やすいテロップにこだわりながら編集をされているということで、その強みを十分に発揮いただいた形です。
さるぱんださんは、Twitterのでも「文字は伝わってこそ。見やすい文字にチェンジ!」と書かれているんですが、まさにその映像のなかでの伝わる文字の見せ方、作り方を解説しています。
とにかく手間をかけた本。その結果特典も盛りだくさんに
――この本の制作で、印象に残っていることはありますか。
この本を作っているタイミングがちょうど、Premiere Proが大きくリニューアルしていくタイミングで。画面を新しくする作業は何度か発生しましたが、その分、最新の内容を提供できたのでよかったと思います。
内容面でも、とにかく手間をかけました。著者のさるぱんださんは、内容を正しくわかりやすく伝えるにはどうすればいいかを常に考えていらっしゃいましたし、ただ使い方を伝えるだけではなくて「現場の目線」もたくさん盛り込まれています。原稿の量にしても、本に収まりきらなかったですから(笑)。
あふれた原稿も良い内容だったので捨てるに捨てきれず、特典PDFとしてダウンロード提供することにしました。ほかにもテロップのスタイルを200種類、巻末付録には切り離して使えるショートカット集もついているので特典は盛りだくさんです。
内容は間違いなく良いですし、価格以上のものを盛り込めたと信じています。自信をもっておすすめしたい本です。
――この本が、Premiere Proを学びたい、動画を作ってみたいという方々の手に少しでも多く届くことを願っています! どうもありがとうございました。
※本記事の内容、肩書き等は公開当時のものです。
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