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春の朝、晴れていたら、会社に行かずに桜を見に行きたい

「なぜ沖縄に移住したの?」という質問に対して、なんとかちゃんと答えられるようになりたいとずっと考えている。これまで「沖縄が好きだから」と答えてきたのだけれど、それでは伝えられていない気がしてきたのだ。

そんな中で最近、「春の朝、晴れていたら、会社に行かずに桜を見に行きたいから」という答えを一つ見つけた。

もともと、沖縄に住むということが実現しなくても、勤めていた会社は良きタイミングで辞めるつもりだった。コロナでテレワークが賑わう前から、編集の仕事は会社に行かなくても、いつでもどこでもできるはずだと考えていた。勤めていた会社ではそういう働き方は叶いそうになかったので、柔軟な働き方をしたいのであれば、自分で環境を変える(辞める)しかなかった。

祖母は桜が好きだった。子供の頃からずっと、春には一緒にお花見に行っていた。それが社会人になってからは、土日にしか行けない。土日にタイミングよく満開で、天気が良いという条件はなかなか揃わなかった。「ああ、今日は桜がきれいだろうなあ」と、通勤の車を運転しながら何度も何度も思ったものだ。

春の、あんなに心地よい日に桜がきれいに咲いているのなら、その日はお花見を何より優先するべきだ。祖母を車に乗せていつもの土手に行き、手を引きながら桜並木を歩く。その時間をつくることは、会社に行くより遥かに大事なことだ。

今の自分なら迷わずそう言える。でもあの頃は、とてもそれが正しいとは考えられなかった。だって、社会人だし、会社員だし、平日だし、仕事は休めない。それが間違っていたわけではない。と言いたくなるのだけれど、やっぱり間違っていたんだと今は思う。

祖母は昨年、大往生で亡くなった。いつでもお花見に行けるようになった私は、今年は一人で何度も桜を見に行った。天気が良ければ朝から海を見に行くし、暑かったら山へ滝を見に行く。会いたい人に誘われたら迷わず会いに行く。
もちろんいただいた仕事の納期は絶対に守るし全力で取り組む。それは会社員の頃から変わっていない。だからきっと、天気の良い日に桜がきれいに咲いていたら、みんな会社に行かずにお花見に行って良いはずだ。
そういう暮らしと働き方ができるようにする、というのが、私が沖縄へ来た理由の一つ。

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