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私はパリでサランラップをもらう

こちらは、皆さんもご存知の通り、サランラップ。実用性高くて使いやすいです。今や、日常生活になくてはならないものと思います。

旭化成ホームプロダクツさんの食品包装用ラップフィルム。

先日、フランスで待ち合わせして、旅行してきた私と妻ですが、その際に、妻に日本からサランラップを持ってきてもらいました。

なぜサランラップをお願いしたかというと、私が住んでいる国で買えないからです。前回の記事で少し紹介しまいしたが、私は日本国外に住んでいまして(住んでいる国をA国とします)、A国ではサランラップが手に入りません。

前回の記事はこちらです↓

初めてコメントいただけた思い出の記事となりましたのでまだ読んでいなければ読んでいただけると嬉しいです。

話を戻すと、A国で食品包装用ラップフィルム(サランラップは商品名で、品名としてはこういうそうです)を買おうとすると、こういうものが売っています。

私が普段使っている食品用ラップフィルム

このラップ、もの凄く不便です。まさにこのまま売っていて、このまま使っているんですが、見ての通り、まず爪でカリカリして端っこを見つけなければなりません。端っこを見つけた後も、このラップ、伸び加減と薄さがハサミで切れにくい程度に絶妙な加減になっています。ハサミで切れにくいので、ハサミでチョキチョキしながら引きちぎって使います。ようやく引きちぎれたラップは、全くお皿にくっつきません。

単身生活にラップは欠かせません。ご飯炊いても1合を一食で食べてしまうと、炭水化物の過剰摂取ですぐに腹下出てきますので、残りはラップで冷凍室に保存です。お肉にしても、毎日買いに行くのはだるいので、まとめ買いして、ラップに包んで冷凍室に。前の晩ごはんの残り物も、ラップして冷蔵庫に入れておけば、翌日のおかずになります。家族で暮らしていると、食べ切ってしまうものも、一人だと少し残る。日常でラップを使いたいと思う頻度は少なくありません。その少なくない頻度で、先ほどのラップを使うのですが、それがちょっとしたストレスでした。

もちろん、ラップを使わない方法もあります。例えば、タッパーを使うとかも代替手段の一つです。むしろ、環境にはタッパーを使った方が良さそうです。私もタッパーを使うこともありますが、それでも、ここはラップがいいと思う場面があって、ストレスを感じながらも、先ほどのラップを使っていました。

そのような日常を過ごしていた私は、「日本から何か買ってきて欲しいものはありますか」との妻のお尋ねに対して、迷わず「サランラップ」と答えたのでした。

そして私は、パリの真ん中でサランラップを受け取ったのです。

ところで、どうしてサランラップはあんなに切れやすく、くっつきやすくて、私の使っていたラップはそうではないのでしょうか。

A国で売っているラップの原材料は「ポリエチレン」で、サランラップは「ポリ塩化ビニリデン」。同じ食品包装用ラップではありますが、原材料が違います。ここに秘密がありそうです。

ポリエチレンは、安価で、成形しやすい樹脂で、無色半透明の耐薬品性や電気絶縁性、防湿性、耐寒性等の特性を備えているようです。さらに、酸素を通しやすいので、保存した野菜や果物が呼吸しやすいというメリットがあります。デメリットとしては、樹脂の中では表面が柔らかく、接着や印刷は効果が薄いという特性があります。

一方、ポリ塩化ビニリデンは、ポリエチレンと比べて、分子の密度が高いのでくっつく力が強く働きます。さらに、分子の隙間が狭いので、におい、水蒸気、酸素を通しにく、酸素や水分を通しにくいので食品の乾燥を防いでみずみずしさを保つことができます。

簡単にまとめると、ポリエチレンとポリ塩化ビニリデンは全く違う物質で、ポリエチレンは柔らかく伸びやすいことから切れにくく、接着効果も薄い、という感じ。でも、安価で加工しやすい。ポリ塩化ビニリデンは、密度が高く、切れやすく、酸素や水分などを通さないバリア性が高い、ということ。原材料の差が、使いやすさに出ているんですね。もちろん、パッケージの形や刃なども工夫されているからだと思います。

ところで、皆さん、ラップがなぜくっつくかご存知ですか?

ラップがくっつくのは3つの力が作用しているからだそうです。
1つめが、ファンデルファールス力です。ラップフィルムと対象物が密着するとき、ラップと対象物(お皿とか)の間には、分子間の引力が働いており、この引力がファンデルワールス力と呼ばれています。この力は、接する面積が大きいほど強く働きます。ラップの表面は真っ平らなので、このファンデルワールス力が働きやすくなります。ちなみに、ヤモリが壁に引っ付くのもファンデルワールス力が理由みたいです。
2つめは静電気結合です。正の電気を帯びたもの(対象物=お皿)と負の電気を帯びたもの(サランラップ)が結びつこうとする現象が起こることにより両者がくっつきます。
3つめには、ラップの弾性を利用し、ラップと対象物(お皿)との隙間を気圧の低い状態にして密着させる、減圧吸着の作用です。

ラップフィルム表面が真っ平らなことと、ラップフィルム全体の適度に柔らかいことから、これら3つの力を生み、物理的・化学的相互作用が起こることでラップはお皿に密着するのです。

以上、パリでサランラップを受け取ったら、思いがけず、物理や化学の勉強になったというお話でした。

途中、お話が思いがけない方向へ進んでしまいましたが、最後まで読んでいただき本当にありがとうございます。少しでも勉強になったと思ってくれたら、ハートマークを押していただけるととても嬉しいです。

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