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学生出版 意義と方法⑤

学生が電子書籍を出版するーーーそんな取り組みは7つの段階があり、「社会へ発信するために、自己客観視をする」という明確な目標を常に意識しているという流れを紹介しています。

今回は、最後の7段回目とこれまでのまとめを見ていただきます。

⑦広報

最終段階は、販売開始、それに伴う広報です。SNSでの紹介は誰にもできることですが、地元メディアへのプレスリリースや所属機関を通しての広報(ホームページ掲載など)は執筆者それぞれのバックグラウンドにもよるもので、ここでは具体的な広報先を議論するのではありません。

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ここで注意したいのは、発売後の反響をどう受け止めるかという点です。これは執筆者に非常に大きな心理的影響をもたらします。でも、出したら出しっぱなしというわけにはいきません。

コツは一つ。この段階で強調したいのは、どんな広報を出すか、ではなく、どんな気持ちで広報にのぞむか、です。

ゼミの発売直後の反響としては、SNS で話題にして拡散する同級生がいたり、地元紙の社会面と一面「今日の紙面」のコーナーで取り上げられたりするなど、反響がありました。アマゾンでは「教育学一般関連書籍」カテゴリー(電子書籍のみでない書籍ランキング)でベスト 20 に入りました。

ゼミ生からは「Amazon で自分の名前を検索すると本が出てくるって不思議な気持ち。ゼミに入ってよかったです!」という声もあった反面、 その大きさに戶惑いを感じる姿もありました。書くことは自分を曝け出すこと。悪い部分も嫌な部分も世に出すとなれば、不安になるのは当然です。どんなレビューが書かれるのか、怖いこともあります。読者はお金と時間をかけて読んだ結果、反感を持つかもしれない。そんなモヤモヤを例えばこんなふうに振り返った執筆者がいます。

"実際に完成し販売が始まった後、自分が知らないところで誰かが読んでいるという事実を実感し、怖さや不安さを感じました。 また、自信を持っていた体験談が、読者にとって、ただ自己満足作品になっているのではないかとも思いました。これらの経験から、原稿を書くときに、読者ニーズをもっと調べた上で、求められている経験談を書けばよかったなと反省しています。 自己表現する際、自分が伝えたいことだけを表現するのではなく、相手や大衆が何を知りたいことは何かを考えた上で自分の考えを発言することが大切だということを学びました"

彼女が言うように、ニーズやターゲットをよく考え抜くことが大事。販売直後、急に自信を無くしてしまわないよう、ここまでの6つの段階をじっくりしっかり考え抜いておくことです。自己客観視がしっかりできていれば大丈夫。あとはどう読まれようが、読む人の自由。そう構えることができるようになるために、ここまでステップを踏んできたのです。そうでなければ、試行錯誤の模索だけでは本当の自信を持って世に送り出すことはできないでしょう。

どんな素晴らしい作品だって、全員が感心してくれたり、賛同してくれたりすることはありません。でも1人のターゲットに役に立つ、それも大きな成果ではないでしょうか。

実践者の声

これで7段階を経て、販売を達成しました。

私たちの実践での二人の振り返りコメントをご覧ください。

"書籍を出版するからには、世の中に恥ずかしくない点数を出さなければならないという思いも原動力になりました。
実際に原稿を書いてみて、自分の辛い経験、忘れたい失敗を言葉にすることで心の中のモヤモヤをすっきりさせることができました。また、自分のそういった体験談が読者の力になれるのではないかとも感じました。"
"今振り返ると、体験談を書いていなかったら気付くことのできなかった強みや弱みが沢山あったなと思います。
・有名大学の高得点者とは違う自分の特性などを考えて自分を客観視する力がつきました。
・アプリ上に言語化することで、頭の中のモヤモヤがたいした心配事でないと気がつけました。
・自身の経験を言語化することで客観的に私がどう見られるのか理解することに繋がりました。"

「社会へ発信するために、自己客観視をする」という出版プロセスが、自らの学び、TOEICスコアアップの原動力になりました。学習出版のプロセスで学んだことは、もはや、単なる英語の資格勉強ではありません。

自分や社会と向き合う姿勢そのものではないかと思います。






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