岐阜市は「ポストコロナ」の名目で「スーパーシティ構想」や「PPP/PFI」を検討している。

 2020年11月24日、岐阜市 企画部 未来創造研究室が主催した『「ポストコロナの都市のあり方について」第3回 有識者ヒアリング』に於いて、総務省職員で現在、高松市 総務局 参事の小澤孝洋氏が招聘され、「高松市におけるスマートシティの取組」と題したプレゼンテーションが行われた。

 高松市は、国家戦略特区法を根拠法とする「スーパーシティ構想」への応募を準備している自治体である。

 柴橋正直 岐阜市長は、今回の有識者ヒアリングについて、Twitterに下記のような投稿をした。

『「ポストコロナの都市のあり方」有識者ヒアリングの第3回。テーマは、リノベーションまちづくり、学びを通した協働と共創のまちづくり・防災、高松市におけるスマートシティの取組。貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。』
(柴橋正直 岐阜市長 / 2020年11月24日23時42分)
https://twitter.com/shibahashi_m/status/1331246821113524230


 「スマートシティ」や「スーパーシティ構想」は、「防災」、「防犯」、「安全」、「安心」、「正確」、「迅速」、「便利」、「コスト削減」等の美辞麗句の下、IoT(Internet of Things)、監視カメラ設置、自動運転、ロボット、ドローン、キャッシュレス決済、ビッグデータ、人工知能(AI)等を推進する計画だが、この計画が進めば、多額の税金がIT企業、電機メーカー、建設会社、インフラ会社、金融関連企業、投資家に流れ、住民の個人情報が企業の利潤追求のために使われることになり、監視社会化が進み、住民のプライバシー権が奪われ、また、自治権が住民から企業に移ることになる。

 さらに、情報化やIoT化は、情報セキュリティ上の問題が発生するリスクを高め、サイバー攻撃を完全に防ぐことは不可能である。

 百歩譲って、上記の問題を考慮しないとしても、ベーシック・インカム、格安の公営住宅、フード・バンク、フード・ドライブ等のセーフティ・ネットを用意せずに「スマートシティ」や「スーパーシティ構想」を推進すれば、大量の失業者が発生して社会問題となる。

 そもそも、何のために行政にITを導入するのか?
 本来の目的は、行政を効率化し、住民に対して正確で、速く、低価格な行政サービスを提供できるようにすることと、減税していくことだったはずである。

 しかし、これまで、日本国政府あるいは日本の地方自治体は、行政にITを導入することによって、上記の目的を達成したことがあっただろうか?

 いや、そんな例はほとんど無い。
 役人や大手ITゼネコンにとっては都合が良いが、住民にとっては使い勝手の悪いあるいは無意味な情報システムが作られ、多額の税金が使われたのにも拘らず、行政はそれほど効率化せず、税金はむしろ上がっていくということが、これまで何度も行われてきた。

 「スマートシティ」や「スーパーシティ構想」は住民が熱望して沸き起こったボトムアップの政策ではなく、上記の如く、単なる、国政府が上から押し売りし、企業が利権のためにやって欲しいだけの、利益誘導的、税金の無駄遣い政策である。

 ITスキルの高い役人や議員が圧倒的少数派であることを考えれば、ITに関する政策についてまともな議論ができるわけがなく、企業に有利な契約をさせられて損するのがオチである。

 したがって、「スマートシティ」や「スーパーシティ構想」等のITや人工知能に関する政策を議論する場合は、ITスキルが高く、人工知能にも理解のある役人や議員が多数いて、有権者にも議論の内容が理解できる程度のリテラシーがあることが必要である。

 ところで、今回の有識者ヒアリングには、清水義次 (株)アフタヌーンソサエティ 代表取締役、高木朗義 岐阜大学 工学部 教授(ぎふPPP/PFI推進フォーラム 代表)も招聘されており、プレゼンテーションの中で清水義次氏はPPP(Public Private Partnership ; 官民連携)について触れ、高木朗義氏はPFI(Private Finance Initiative ; 民間資金等活用)について触れた。

 今回の有識者ヒアリングは、「ポストコロナ」という名の下に、スーパーシティ構想、PPP/PFI等、竹中平蔵が推進しているような新自由主義的政策をロビイングする企画だったといえ、今後、岐阜市政に反映されるのかどうか、「岐阜市 企画部 未来創造研究室」が、これからも新自由主義的政策を検討する企画を行っていくのか、住民が岐阜市政及び「岐阜市 企画部 未来創造研究室」の動向を監視していく必要がある。


■ 柴橋正直 岐阜市長の政策集

自動運転EVバス、リノベーション、民間活力に関する記述がある。
[ PDF ] http://sho-jiki.com/img/pdf/sheet_01.pdf


■ 楢橋康英 岐阜市 副市長の「重点的に取り組む課題」

コンパクト・プラス・ネットワーク等の実現
 人口減少・高齢化が進む中、市民が豊かに暮らし続けられるよう、より利便性の高い、地域公共交通ネットワークを構築するとともに、岐阜市立地適正化計画に基づき、居住や日常生活を支える都市機能の誘導を図り、持続可能なまちづくりを目指します。併せて、民間企業や研究機関等と連携しながら、自動運転技術などの新技術の導入等により生活の質を向上するスマートシティの実現に取り組みます。

まちの魅力を高めるまちづくり 
 岐阜市・岐阜都市圏の中心都市軸をなす、岐阜駅周辺から柳ケ瀬、つかさのまちに至り、岐阜公園までをつなぐゾーンにおいて、リニアインパクト等を見据え、民間と行政が未来の方向性を共有しながら、潜在的な価値を高める取り組みを誘導していきます。柳ケ瀬地区では、高島屋南地区第一種市街地再開発事業を進めるとともに、リノベーションによるまちづくりを積極的に推進し、新たな担い手の創出や遊休不動産の利活用により、個性あふれる機能の立地を図ります。

https://www.city.gifu.lg.jp/19548.htm


■ 「ポストコロナの都市のあり方について」有識者ヒアリング
https://www.city.gifu.lg.jp/39456.htm


■ 「高松市におけるスマートシティの取組」(高松市 総務局 参事 小澤孝洋 / 2020年11月24日)
https://www.city.gifu.lg.jp/secure/48180/3-4ozawa.pdf



【 スマートシティ、スーパーシティ構想に関する記事 】

■ スーパーシティ構想(内閣府)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/openlabo/supercitycontents.html


■ 「スーパーシティ」構想の実現に向けた今後の取組について(国家戦略特別区域諮問会議 / 2019年1月14日)
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/supercity/torikumi.pdf


■ 『カナダは「グーグルの実験マウスではない」  トロント再開発めぐり人権団体が反発』(BBC / 2019年4月17日)
https://www.bbc.com/japanese/47957788


■ 『【論文】「スーパーシティ」構想と国家戦略特区』(内田聖子 / 2019年9月19日)
https://www.jichiken.jp/article/0130/


■ 『グーグルがトロントで夢見た「未来都市」の挫折が意味すること』(WIRED / 2020年5月9日)
https://wired.jp/2020/05/09/alphabets-sidewalk-labs-scraps-ambitious-toronto-project/


■ 「2020年5月13日 参本会議で国家戦略特区、PCR検査、検察庁法について質問」(福島瑞穂 参議院議員 / 2020年5月15日)
http://mizuhoto.org/2362


■ 「2020年05月22日、スーパーシティ法案で特に事業者が個人情報を取り扱いをする際の問題点について質問」(福島瑞穂 参議院議員 / 2020年5月25日)
http://mizuhoto.org/2377


■ 『「スーパーシティ」法案 個人情報一元化進む恐れ』(しんぶん赤旗 / 2020年3月1日)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik19/2020-03-01/2020030102_04_0.html


■ 「先端技術で監視強化 スーパーシティ法案 大門議員が追及」(しんぶん赤旗 / 2020年5月16日)
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik20/2020-05-16/2020051602_07_1.html


■ 「スーパーシティ構想の先進モデル カナダ・トロントの事業からグーグルが撤退」(長周新聞 / 2020年5月19日)
https://www.chosyu-journal.jp/kokusai/17263


■ 『成立した「スーパーシティ法」とは? 討論で見る論点「個人情報」「規制緩和」「監視社会」』(THE PAGE / 2020年5月28日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e62e44d1dd9d3f17b9ead31502a6bbf2ec7afaa


■ 「忍び寄る監視社会とプライバシーの侵害 スーパーシティ構想の危うさ」(社会新報 / 2020年10月14日号)
https://twitter.com/7AJMnDbRPaYHTBn/status/1314765093964455942


■ 室伏謙一 氏(元総務省の官僚) Twitter(2020年5月18日)
「スーパーシティ法案は中国型のデータによる監視社会推進法案、権力に巣食う特定勢力による国民のデータ濫用ビジネスを可能にする法案です。」
https://twitter.com/keipierremulot/status/1262246179921776645


■ 「中国の監視網がたちまち人を特定 AI付き監視カメラ全国に」(BBC / 2017年12月11日)
https://www.bbc.com/japanese/video-42304882


■ 『ファーウェイの技術が中国全土を監視する 「天網」システムによる恐るべき監視社会』(新唐人 / 2018年12月22日)
https://www.youtube.com/watch?v=TGMTqV2Nrus


■ 「NEC、英国サウス・ウェールズ警察に顔認証システムを提供」(財経新聞 / 2017年6月10日)
https://www.zaikei.co.jp/article/20170610/376541.html


■ 「世界No1の精度で大規模施設から小規模施設までリアルタイムでの顔照合を実現 NeoFace Watch」(NEC)
https://jpn.nec.com/physicalsecurity/solution/watch.html


■ 「NEC provides facial recognition system to South Wales Police in the UK」(NEC / 2017年7月11日)
https://www.nec.com/en/press/201707/global_20170711_01.html


■ 「NEC、英国サウス・ウェールズ警察に顔認証システムを提供 ~チャンピオンズリーグ決勝戦の安全な運営に貢献~」(NEC / 2017年7月11日)
https://jpn.nec.com/press/201707/20170711_01.html


■ 「NEC、英国サウス・ウェールズ警察に顔認証システムを提供」(日本経済新聞 / 2017年7月11日)
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP450792_R10C17A7000000/


■ 『もはや攻殻機動隊の世界、道行く人間を瞬時に特定するNECの「リアルタイム顔認証」がすごい』(Buzzap / 2017年10月3日)
https://buzzap.jp/news/20171003-nec-realtime-face-ceatec-japan-2017/


■ 「イギリスの警察が導入した顔認証システムが2300人を犯罪者と誤認」(engadget / 2018年5月7日)
https://japanese.engadget.com/jp-2018-05-07-face-recognition-misidentified2300.html


■ 「2000人以上のサッカーファンが監視カメラを使った顔認識システムによって犯罪の容疑者と誤判定されていたことが判明」(Gigazine / 2018年5月7日)
https://gigazine.net/news/20180507-people-wrongly-matched-criminal/


■ 『イギリスの警察で運用される自動顔認証システムは「極めて不正確な精度で運用も不透明」と批判の声』(Gigazine / 2018年5月17日)
https://gigazine.net/news/20180517-england-facial-recognition-criticized/


■ 『アメリカ政府機関主催のベンチマークテストで4回連続1位を獲得したNECのリアルタイム顔認証ソフト「NeoFace Watch」』(あいひん Twitter / 2020年5月25日)
https://twitter.com/BABYLONBU5TER/status/1264577031892692993


■ 「教育警察委員会(平成30年度)」(岐阜県議会)

2018年7月11~13日
 日本電気株式会社(NEC)本社において、AI(人工知能)やビッグデータを活用した警察活動を支援するための情報システムの開発状況や今後の動向について、同社の担当部門から説明を受ける委員。

https://www.pref.gifu.lg.jp/site/gikai/18102.html


■ 「岐阜県警察にAl(人工知能)等最新技術導入にむけたプロジェクトチームが発足します。」(長屋光征 岐阜県議会議員 / 2019年1月23日)
https://ameblo.jp/nagaya-gifukenn/entry-12434904737.html



【 IoT機器に対するハッキングに関する記事 】

■ 『侵入口はコーヒーマシン! ハッカーが語る「スマートホームとIoTの脆弱さ」』(TrendMicro / 2017年10月4日)
https://go.trendmicro.com/jp/forHome/solution/iot-security-topics/archive/info/20171004/smarthome-and-iot.html


■ 「スマホで操作するコーヒーメーカーがハッキングされる!?」(ASCII / 2020年3月13日)
https://ascii.jp/elem/000/004/005/4005479/


■ 『Wi-Fi接続対応のコーヒーメーカーは「ランサムウェアに感染して身代金を要求される」可能性がある』(Gigazine / 2020年9月29日)
https://gigazine.net/news/20200929-coffee-makers-demanding-ransom/


■ 「IT専門家がコーヒーマシンをハッキング 仮想通貨をマイニングさせる実験に成功」(sputnik / 2020年9月29日)
https://jp.sputniknews.com/science/202009297810308/


■ 「コーヒーメーカーが身代金を要求。スマート家電のハッキング実験」(カラパイア / 2020年10月7日)
http://karapaia.com/archives/52295322.html


■ 「浄水システムに不正侵入、苛性ソーダ濃度100倍に設定 米フロリダ州」(CNN / 2021年2月9日)
https://www.cnn.co.jp/usa/35166249.html


■ 「米フロリダ州の水道システムにハッカー侵入、有害物質を大量に加えようと」(BBC / 2021年2月9日)
https://www.bbc.com/japanese/55991571


■ 「米上水道管理システムにハッカー侵入、NaOH濃度 一時100倍超に」(AFP / 2021年2月9日)
https://www.afpbb.com/articles/-/3330793


■ 「水道局の水処理システムにハッカーが侵入し、飲料水の汚染試み フロリダ州で」(ITmedia / 2021年2月9日)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2102/09/news137.html


■ 「ハッカー集団関与、FBI断定 米送油管サイバー攻撃、民間インフラ標的に」(朝日新聞 / 2021年5月12日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S14900186.html