「プルースト現象」というタイムカプセル

　特定の香りを通し、過去の記憶がよみがえる現象を「プルースト現象」と呼ぶそうだ。 

　思った以上に、味覚と嗅覚は色々な出来事を記録してくれていて、ふとした瞬間に思い出を呼び覚ましてくれる。

　例えば韓国のインスタントコーヒーーー「マキシムコーヒー」を飲む時。

　価格が安く、韓国のホテルの部屋によく無料で1、2本置かれていたり、レストランで食後にセルフサービスで自由に飲めたりと、「庶民コーヒー」として現地の人に親しまれているコーヒーだ。 

　味は至って普通だが、decoにとっては味わい深く、一口一口飲むたびに、あの頃がありありと浮かんでくるーー

 

　初めて韓国の地を踏んだ時の不安とワクワクが混じった気持ち；

　読み慣れないハングルに囲まれ、めまいしそうになったあの時；

　一人で地下鉄・バスに乗った時の緊張感；

　心が夢いっぱいに溢れた瞬間．．．

 

　そんなタイムカプセルのようなコーヒーなのだ。

  

　日常生活にはこういった「タイムカプセル」がたくさんあって、それが過去を呼び起してくれる秋の風だったり、ある人を思い出させてくれる通りすがったの誰かの服の香りだったりする。

 

　「懐かしい」と思えるのは、あの頃がまだ失われず、自分と一緒にいる証拠だ。

　 それを確かめられる瞬間が、とても心地良い。

（はてなブログ同時掲載：https://www.gifteddecoboko.com/entry/2018/11/10/210232）

（画像素材元：https://ja.pngtree.com/）