見出し画像

タワー・オブ・テラーさながらの中学受験、終了

今我が家には平穏が戻り、子供たちがまた3人揃ってわいわいやっている。下の子たちは兄(長男)の中学受験が終わって一緒に遊べるのを心待ちにしていた。次男は「僕そわそわするな、これからの生活、何計画しようかな。」と兄としたいことを想像してわくわくしている。さっそく「バスケまた一緒に来てよ、お願い!」と誘っていた。妹は兄の膝の上で抱っこしてもらって嬉しそうだ。

つい先日までのバタバタが嘘のようであるが、1月に入り受験本番が始まるや、東京ディズニーシーにあるアトラクション「タワー・オブ・テラー」さながら、フリーフォールに凍り付いたり、希望的観測を持ってみたり、もう早く終わりにしてくれと思ったり、特に親のメンタルが乱高下した。


算数が最後まで足を引っ張ったが

中学受験は算数で決まると言われることがあるが、その算数を弱点科目としていた長男は当初苦戦した。今思えばその予兆はあったのだと思う。

恐らくこれだろうという原因を突き止め対処すれども、本番では家ほどの力が出せないという状態が続いたのだった。それをかろうじて国語、理科、社会でカバーした感じだろうか。しかしこの3教科を持ってしてもカバーしきれない、あるいは算数の不出来を引きずったであろうことで、合格発表時に番号がないという経験もしている。今思えば合格と不合格の両方を経験できたことは大変に貴重な機会になったと思う。

本当に受験本番が始まってからはあれよあれよという間に時間が過ぎていく。算数に関しては受験が始まってから慌てて対策を立てたり、ただその対策が果たして功を奏すのか全く分からない中、さらに過去問を解いて受験予定だった学校を、やっぱり距離的に通うのは難しいだろうと別の学校に変更したりと、緊張の続く日々だった。

それから長男は本命校の受験の数ヶ月前に退塾していた。よって本番の試験結果で算数の得点が乱高下しても、本人自身が対処する以外になかった。具体的な勉強に関する指示を親が出せない中では、親は凡ミス防止策のために思いつく限りのことを試したり、算数についてはマラソンに例えるなら先頭集団から大きく引き離されなければ良くてリードを取ろうとしてはいけないとか(逆効果になるため)、そういったことを長男が納得して本番でも安心して実行できるように家庭学習で意識付けすることくらいしかできなかった。

そして結果的に長男が算数を学習する姿を間近で見ることとなったわけだが、それはそれでとても興味深い体験であった。また別途書いてみたいと思う。

算数に不安を抱えたまま本命校に挑まなければいけなかったことについては、親としても悔やまれることであった。算数だけでも塾に戻るかと提案もしてみたが、長男は最後まで一人でやると言い、貫いた。

本命校の試験でも、算数は家で過去問を解いていた時の点数には及ばなかったが、これまでの失敗をしっかりと活かしていた。問題の取捨選択、時間配分、見直し、特に問題の取捨選択はしっかりと決めていたと思う。そしてあとは持ち前の国語、社会、理科で十分に力を出し切れたのだと思う。

本命校、合格

合格者名簿に自分の番号を見つけたとき、「あ、あった」と驚いたそうだ。すぐには実感がわかなかったと言う。一緒にいた父親の方が興奮していたようだった。「お父さん、いつもの3倍くらい喜んでた」と言っていた。そしてその報告を下の2人の習い事に付き添っていて出先で知った私は涙が止まらず、20分くらい鼻をすすっていただろうか。我が家は合格を勝ち取ったという感覚はほとんどない。なんとかどうにかなったという安堵の気持ちが強い。

親子関係が気づいたら改善していた

塾を辞めた時、まだ長男との親子関係も不安定なまま、このまま塾に行かずに家で長時間過ごすことが、果たして受験にプラスになるのか、ストレスが増えて全てが崩壊するのか、先が見通せない状況だった。長男にも、家で長時間過ごす事の親子関係のリスクと、それなりの自覚と覚悟をと言いきかせた記憶がある。

それがふと思い返せば、親子関係の問題が自然と発生しなくなり、今まで何をそんなに悩んでいたのか思い出せないほど親子関係が勝手に安定したのだった。誰も無理をすることなく、自然な形で。今も親子関係が最高に良い状態が続いている。

長男らしくあれ

受験終了後、長男に何か欲しいものがあるかと訊いたら、「業務用の大容量の粗挽き唐辛子、その他香辛料複数、無水エタノール、ビーカーやガラス棒等の実験器具やステンレス鍋、また昆布が欲しい。」と言われた。昆布はいずれヨウ素を取り出したいらしく、炭にする行程までを自宅でやると言っていた。

届いたら早速、実験用ゴーグルをかけ、上履きを履いて(ガラスが割れた時や火傷防止)、ゴム手袋をして、寒いのに窓全開で換気した状態で数時間楽しんでいた。「こんなしょぼい実験でも楽しいーわー。」と言い、弟もいつの間にかやって来て「ここ俺たちの実験室にしようぜ」と意気投合していた。

ずっとこういったことをお預けにして受験勉強をしていたため、現在開放感とやりたいことができる自由に浸って最高に幸せであるらしい。長男に心からお疲れ様と言いたい。