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大掃除と化学

年末とあって大掃除をしていたら、長男がやってきて手伝いたいと言った。やり始めると長男が化学が好きとあって掃除と絡めて化学の話で盛り上がった。

まず一年の汚れを落とすべくキッチンマットと洗剤を洗濯機に放り込んだところで、長男が洗剤の成分表示を見せてくれと言った。

長男:あ、蛍光増白剤が入ってる。これブラックライト当てたら光るのよ。見せてあげる。

そう言ってブラックライトを持ってくると光る様子を見せてくれたのだった。

情報弱者にならないように

家庭内には他にも色々な洗剤があるわけだが、我が家にはオキシクリーン(酸性)もあれば、「混ぜるな危険」と書かれた塩素系のものも置いている。同じ棚の上段に塩素系、下の段にオキシクリーンを置いていたら、長男が「これ、上の塩素系が落ちてきたら危ないんじゃない?」と言った。

もちろん両方とも密閉してあるが、それくらい危険と認識して扱いに気をつけようという意識を持ってくれていることは頼もしいと思った。

そのまま塩素の話になり、(私が正確に記憶にとどめておくことができていませんが)次亜塩素酸ナトリウムが皮膚に付いた場合の話や、塩素の液体と気体の話、次亜塩素酸水で除菌やウイルス対策として商品化されたものの効果や訴訟の話、その延長で、情報弱者であると騙されて効果のないものを買ってしまうのだといった話をしていた。

情報弱者は他人事ではなく、これまでウインナーを買うときは「無塩せき」と書かれた物を選んでいたが、ある日長男が冷蔵庫を開けて、「うへっ!無塩せきって書いてある!これオレ食べたくないな。」と言ったことで、「無塩せき」の意味を知るところとなったのだった。

実は、発色剤として使われる亜硝酸塩には殺菌作用があるのです。
ボツリヌス菌という強力な食中毒原因菌があります。(…)この菌による食中毒が硝石という天然鉱物を添加することによって防ぐことが見いだされ、使用されるようになったのです。(…)

このような効果のため、ドイツではソーセージに亜硝酸塩を添加することが義務づけられています。日本でもだいたい発色剤添加のものの方が主流ですが、最近は無添加にするために「無塩せき」のハムソーセージが増えてきています。無塩せきというのは、亜硝酸塩を添加していないもののことです。

私は添加物は少ない方がいいと思い普段はなるべく低添加のものを購入するようにしていますし、合成着色料は無用なものだと思っていますが、発色剤は安全性を考えると使用した方がいいと思います。

亜硝酸塩とボツリヌス菌

情けないのは、亜硝酸塩が入っていないウインナーはボツリヌス菌のリスクがあると知っていながら、「無塩せき」=「亜硝酸塩を添加していない」ことに気づいていなかった。

ガスコンロの油汚れに長男悲鳴

これは意外であったが、長男は油汚れは不潔と思うようだ。普段の長男の汚部屋に比べたら大したことはなかろうと思ったが、「これ素手は無理、うわぁ汚い」と言って、ゴム手袋を着けて掃除していた。

私 :でも実害なくない?
長男:精神衛生上良くないよね?
私 :それを言うならあなたの汚部屋の方がよっぽどでしょう。
長男:自分の事は棚に上げておいてだけど、油汚れは毎回拭こうよ。
私 :そういえば、お風呂上がりにさ、毎回全面拭き上げる人いるみたいなんだけど。
長男:オレそれ分かる。時々やってるもん。
私 :えっ、そうだったの。

長男にとって汚部屋は見た目の問題でしかないが、油汚れはレベルが違うようだった。

長男:うち重曹あったよね?まずは溶液を作ろう。炭酸水素ナトリウム水溶液と油を混ぜると何ができるでしょうか?

答えは石鹸であるらしいが、決してガスコンロの油汚れに重曹の入った水をかけたらいわゆる固形石鹸ができるわけではない。

私 :因みに重曹で油汚れが落ちる仕組みってどうなってるの?

長男はアルカリ性と酸性で中和する話をしてくれた気がする。

長男:炭酸水素ナトリウム水溶液を熱分解したら何が出てくるでしょうか?

こうして私が答えられないクイズを出しつつ、一緒におしゃべりを楽しみ、またガスコンロも綺麗に仕上げてくれたのだった。年季の入った汚れ故、長男からするとまだまだ納得のいく仕上がりではなかったようだが、新年を気持ちよく迎えられるようにしてくれた長男に感謝したい。

※用語について私の聞き取り違い等で不正確な部分があるかもしれません。



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