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ドボン

いよいよ一校目の試験日がやってきた。こちらは併願校として塾から薦められていた学校で、実は通える範囲になかったために、受けた方が良いのかは迷ったのだが、受験会場が全国複数箇所に設置されていて受けやすかったのと、得点開示がある学校だったため、受けることにした。

一校目とあって幸先の悪いことにならないようにと過去問も解いていた。すると長男が「算数むずい!」「一問あたりの配点も大きいし、時間足りんし、算数で失敗したら落ちるかもしれん。」と言う。それでも全教科の合計点からすると問題ないようにも思っていた。

それに最初の学校は場慣れすることが目的で、夫も「まずは本番の雰囲気をつかむとか、本番にこれを持って行っておくと良いなどの気づきを得ることを目的に受ければ良いから。」とあまり深刻には捉えていなかったのだ。

しかしこの時、まさか本番の算数で過去問と数十点以上の差をつけて大コケするとは思っていなかった。試験終了後の長男の感想は、「算数が難しかった。」だった。

そして解答速報で自己採点すると、みるみるうちに長男の顔が青ざめてしまった。出来が良くないことは織り込み済みだったが、思った以上だったようだ。

親も仰天したが、しかし以下のコメントを読んで、これだと長男は恐らく苦戦したはずで、致し方ないかもしれないと思った。ただ気になったのは、”思ったより悪かった”という部分だった。ズレがどこにあったかは確認したい。

コベツバ


よく読んだ方が良いに決まっているが

不正解となった問題の中に、長男が絶対に取れたと思った問題が含まれていた。長男自身、この問題で不正解になった理由がとっさには分らず、しかし問題文を読み直して、「うわっ・・」と言って天を仰いでいた。

それがこちらの問題だった。

同上のコベツバのサイト内にあるPDFより

長男は問題文を読み違えていたようだ。「直線BD上にある点P」と読んで解いてしまい、しかも、図を見た時に、点Pを通る線が直線BDに見えてしまったそうなのだ。よって角度を間違えたと。

私は長男から既にどう読み違えたか聞いた上でこの図を見たために、線BDは折れ曲がった線に見えたけれど、本番で緊張していたらうっかりするかもしれないと思った。

ただ算数というのがこういう問題である以上、問題文をしっかり読むしかない。長男はこの問題の間違え方だけはショックだったようで、私に説明してくれながら声が震えていた。

そしてぽつりと言った。「試験って落とすためのものだからね。」

しかしこれを聞いた時、いや違うだろうと思った。確かにそういう試験もあるだろう。でもなんとかしてその子の力を見たいと思って加点式の学校だってあるに違いない。

そう思った時、今回のミスを教訓に本命校の試験に活かそうとする発想はしない方が良いと思った。どうしても本命校がこういった出し方をするようには思えなかった。全く根拠のない自信だったが。長男にもそう伝えたのを覚えている。

そして後に他校の国語の問題文で、「~ではないものを選びなさい」と強調して書いてくれているものを見た時には、なんだ「直線BD上にない点P」としてくれたら良かったのにと思わずにはいられなかった。

ただ長男に指摘したのは、やはり問題文を丁寧に読む必要はあるよねという事だった。

もう一問、間違え方で多少ショックだった問題があった。

同上のコベツバのサイト内にあるPDFより

どこで混乱したかと言うと、「比はW/B=(あ)」の部分で、比を訊かれていながら分数が直後に出ていて、一体どちらを(あ)に書けば良いのか迷ったという。

迷った末に「比は」と書かれているからX:Yの形で解答したそうなのだ。解答速報は分数の形だった。

ただ見ると長男はWとBに相当する部分の数字は書けているようだった。比の形で解答した点を除いては理解していることは伝わるし丸になるんじゃないのと言ってみたのだが、長男はバツになると思うと言っていた。

因みに、以下によると、分数の形は「比の値」と呼ばれるのだろうか。

数学FUN

こちらの問題は最初の問題とは逆に、細かく考えすぎたパターンのように思えた。「=」の前に分数の形が来ているのだからと楽に考える人が多そうな中、長男は時々言葉の定義に厳密であるため気になってしまったのだろうと思う。

本当に1点、2点の差で合否が分かれる

自己採点の結果から合否は期待できないことが予測できていた。結果発表の時間になると夫がパソコンの前で穏やかながらも「ほら、現実を見ろ」と言って長男に結果を見せていた。結果に特段の驚きはなく、である。

驚いたのは合格最低点と長男の得点との差である。もう合格が透けて見えそうな感じで、あぁこうやって、でも落ちる時は落ちるという経験をしたのだった。

受けて良かったこと

こちらの学校を受験したことで、解答速報を探す中、コベツバというサイトがあることを知った。2校目、3校目を受けた後くらいのタイミングで、コベツバには各学校の出題傾向を分析した解体新書や、学校毎に算数の合格最低ラインがどれくらいであるか、何点くらいは押さえた方が良いのかが書かれていることを知った。

各学校の合格最低点や受験者平均等々の情報は市販の過去問集を見ても分るのだが、それを見ただけでは、高得点を取った人もいれば、そうでない人もいて、平均するとこれくらいになるのだな、という視点しか持てていなかった。そのラインを確実に押さえることの重要性を認識する一つのきっかけになったように思う。