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長男よ(2)

「義務教育の敗北だよね」by12歳

授業中に電子機器が手放せずに注意をされた長男であるが、授業が楽しいことには変わりないようだ。自制が足りなかった事については反省し改善したと聞いている。宿題や提出物も長男なりに頑張っている。中間試験も中の上か上の下くらいでまとめていた。

中間は初めてのテストということもあり、とんでもない点数を取ってきたらどうしようかと戦々恐々として(学校生活がうまくいっていないサインはしばらく見たくない・・)、X点以下だったらゲーム禁止、XX点以上だと10分追加とやってしまった。本来自分のために勉強するはずであるのに、親として微妙な対応をしてしまったなと反省している。

そんな長男に、やっぱり中学になるとテストもちゃんと受けて、プリントも名前を書いて(小学校では名前を書かない率が非常に高かった)、何より授業をちゃんと聞いて、変わったよね、と労いの声をかけたことがあった。

すると長男が「義務教育の敗北だよね」とさらりと言うではないか。どの口が言った?とまじまじと長男を見てしまったが、長男はいたって真顔であった。

長男からすればそうなのだろう。自分は何ら変わっていない。授業が面白ければ自然と触手が伸びる。結論、義務教育の敗北、ということのようだった。

今も義務教育下にはあるわけだが、恐らく義務教育を受けているという感覚はないだろうと思う。先生オリジナルのフリースタイルの授業だし、学習指導要領から外れたものも多く扱っていると思われる。また所謂座学の5教科以外の科目がクリエイティブかつ発展的で、私がその昔学んだ内容とは似ても似つかず驚いている。アウトプットも多めで刺激も多いだろうと思う。少なくとも長男には合っている。

この点は本当に良かったなと思う。毎朝、目的を持って起床し、楽しんで1日を過ごしてくれることが親としては何よりだ。どうかお願いだからこのまま順調に行ってほしい。

親は「信じて、待って下さい」と

長男なりに宿題や提出物の管理を頑張ってはいるのだが、まだまだうっかりしているため出し忘れたり、出したつもりになって出していなかったり、親としてはハラハラしてしまうこともあった。

「提出物出したね?」「うん、出したよ」と言うので安心していたのに出していなかった時には、どうしたらそういう回答になるのか皆目見当が付かず頭を抱えた。私も私で、今までなら放置していたし、中学受験の時ですらあまりお尻を叩くタイプではなかったのに、中学校生活だけは絶対に瓦解してほしくないという思いが出てきてしまったのか、みっともないくらいにマイクロマネジメントしてしまった。普通、中学受験の終わりと共に親の関与は終わるはずなのに。

驚いたのは、生徒に個別に、あるいは未提出者リストで催促したりと、学校生活のペースを掴むまでは結構先生方がきめ細やかにフォローしてくださること。

また、先生からは、子供がリマインドされて応じている限りは親御さんは信じて見守っていて下さいと言われている。踏み倒さない限りは待つのが良いそうだ。

実は、もっと放任されるのかと思っていたため、先生方の面倒見の良さに我が家は面食らっている。なお、同じ学校といえども、クラスによって運営の仕方は様々で、先生のスタイルがそのまま出るため、面倒見の良さは先生次第かもしれない。

電子機器の扱いに関する指導も、ストレートに注意する先生と、「自分の授業の時はいくらでもスマホ使って良いですよ。でも他の先生の時も使わないとそれは不公平なので、どの先生の授業でも同じように使って下さいね。」と生徒の心を掴むのが上手な先生もいる。

なお、提出物の出し忘れがあったり、身の回りの整理整頓ができない生徒について、先生達が寛容に見えたので訊いてみたら、先生方からすると、子供達は今その瞬間に夢中で、全体を見渡すような視野になっておらず、いろいろな事がボロボロと抜け落ちるのも致し方ないと見えるのだそうだ。

加えて、「この子達は毎日が楽しくて楽しくて仕方なくて、だから例えばスマホを取り上げたとしてもあまり意味がないんです。代わりに鉛筆一本あれば、もうそれだけで楽しいんで。」ともおっしゃっていた。

そういったまだまだ全体を見渡して考えるに至っていない中では、必要なフォローをしつつ、周りの人が困らないようにするにはどうしたら良いかも同時に考えさせながら、対応していくという感じであった。

子供達をおおらかな目で暖かく見守って下さっている印象だ。

褒めて進ぜよう

長男も宿題が未提出で催促されたり、小テストの点数がいまいちで呼び出されることはあるようだ。そしてこういう時はきちんと自分で対応している。

ある朝、やたらと長男が早く学校に行こうとするため、理由を聞いたがはぐらかされたことがあった。どうやら、出し忘れた課題があったらしく、それを出すため早く行きたかったらしい。朝の始業前でないと先生を捕まえるのが難しいため、自分で早く行くと決めたようだった。

そういう事はあまり言わない長男である。でも、そんな成長した姿を見ると信じて見守らなくてはいけないなと思ったのだった。

(3)につづく