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どいつもこいつも。

森から少し降りて人間の住むエリアまで来た。
夜だというのにこんなに明るいのだから、すぐに人間達の住む場所だと分かる。
戻らなければと明かりに背を向けると、人の声がした。

『アライグマだ!』

狸である。
さっさと森へ帰ろうと思った。
しかし、人間の男がアライグマだと言ったのに対し人間の女が「ちがうわよ」と否定したのを聞き、つい立ち止まってしまった。

『レッサーパンダよ』

狸である。
期待する答えは得られないようなので森へ帰ることにする。

ザザッと茂みに身をやると、音に驚いたサラリーマンが「ヌートリアだ!」と叫んでいた。

3度目となるとこの答えは正解な気がしてくるので不思議だ。

だがしかし、狸である。

「狸である」

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