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大晦日の星空と干し柿と



映画館の帰り道 
お兄ちゃんが
八百屋さんで
干し柿を買ってくれた

粉雪がかかったような
干し柿は甘く噛みごたえがあり
空いたおなかがほんの少し満たされる

冬の夜空の星くずたちを数えながら
干し柿を食べる帰り道
お兄ちゃんが、不意に言った
「今度は喫茶店で昆布茶を飲もう」

昆布茶?
と目を丸くする私に
「おまえは無理するな、
オレンジジュースでいいよ」
と、兄は笑った

ふたりの白い息は
凛とした町のなか
花のように幾つも
咲いては消えてゆく

大晦日の夜、エレベーターの地下
喫茶店は初詣の人で笑いさざめき
お兄ちゃんから分けてもらった
昆布茶は美味しくて大人の香りがした

冬休みは楽しいな
書き初めや凧揚げ
お年玉に羽根付き   
お雑煮お汁粉
福笑い 

遠く離れたいまでも、
時折り、お兄ちゃんを思います
小学生の頃の冬休み
映画館の帰り道
星くずを見上げながら
ふたりで咲かせた
白い花
数えるそばから
消えてゆく
凛とした
静寂の町のなか
遠くで聞こえた除夜の鐘

星くずを数えながら
かじった、あの干し柿
白い粉雪ふるような

今でも遠くの妹を心配してくるお兄ちゃん😊


#詩のようなもの
#大晦日  
#タイムマシン  
#兄と妹
#干し柿  

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