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バカになれ

(聞きながらお読みいただくとよいかも)


アントニオ猪木が亡くなった。
あのビンタを食らい、喝を入れてもらった幸運な人は、何かが変わるような経験ができたのだろうか。

修学旅行中の新幹線で、「猪木がグリーン車にいる」って噂が流れ、噂じゃなくホントだったんだ。名古屋で降りるかもしれないから見逃さないようにって流れができて僕もその流れに乗ってみた。

列車を降りた猪木を見た。
思ってたより小さかった。イメージが巨大だったんだね。
ガタイはがっちりしてた。背広を着てキッチリ決めてた。

物怖じしない同級生が「イノキー」って声援をおくったんだよ。そうしたら、「ニヤリ」とわらった。笑ったように記憶してる。格好よかった。

でも、なんで猪木は「馬鹿になれ」って詩集に名付けたのかな。

それはなんとなく歳を重ねた僕でも分かるんだ。

遠慮して、他人の目ばかり気にして、生きていていいのか。

今あなたは元気ですか?他人の目を気にしないで自分の思うように進んでみたら?

猪木は沢山の話題を世の中に提供してくれた。中でも、モハメド·アリとの「異種格闘技戦」だと思う。

ボクシング世界一のブランドとプロレス日本一が戦うって、日本中の人がテレビに釘付けになっていたみたい。

記憶は定かではないけれども、今は亡くなった僕の父親も僕と一緒にお茶の間で、祖父も隠居でアリ戦みてたんじゃないかな。もしかすると、本気で猪木が勝つって日本中が期待してたんじゃないかって。ワールドカップみたいに。。
テレビを無批判に信じていた頃だから。

対戦結果は、今はいい大人になったからなぜそうなったかがよく分かるんだけど、子供心にはとにかく「がっかり」しただけ。なんで蹴らないの?仰向けになっちゃうの?

猪木、さぞかし悔しかったと思う。

ただ、その後も色んな闘いを見せてくれたことで、アリ戦のことなど誰も気にしないようになったのだ。

国会で大声で「元気ですか~」ってやって注意されたり、揉めている国に仲裁にいったり。でも、ともかく世の中を励ましてくれた、楽しませてくれたんだ。

そんな表現、「バカになれ」、とてもいい言葉だと思う。

(文中 敬称略)



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