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ウトロ平和祈念館に行ってきた~それは様々な側面を持つ場所~

 近現代史に興味を持つという事は、韓国との関係性に目を向ける事でもある。関東大震災における朝鮮人虐殺、韓国併合などそれらは日本の悪しき歴史として強く刻まれる。
自分は在日の人の歴史や伝統を全く知らない。京都出身でもないので、ウトロの事も全く知らない。ただユーチューブには「日本の闇動画」としてウトロの動画がのっていた事はなんとなく覚えている。そこには廃墟や在日の人が訴える看板がのっており、なんとなく「おっかない場所」だと認識したのを覚えている。しかし色々、知っていく中でどうやら理由がありウトロに住み着いた事を知るのである。というわけでウトロに足を運んだ。

場所は近鉄伊勢田駅から10分ほどの場所にある。あたり一帯が更地になっており、カーブを描いた道を歩くとウトロ祈念館がたっていた。まず目につくのは飯場の跡である。それは戦後の住居であり、2021年のヘイトクライムで焼けた建築などがそのまま展示されていた。風が吹くだけで倒れそう場所で想像しただけで冬は厳しそうだなと思った。またそこで住んでいた人たちの白黒の貴重な写真が展示されていた。
外にはバスケットゴールが設置されており、少年たちが元気にバスケットをしていた。
中に入ると、一階のスペースが交流するばしょになっており、おそらく在日の人々が団らんしていた。二階は常設展示室になっている。そこにはウトロの形成過程やウトロを守る戦いなど歴史をパネル再現展示していた。そこでは来客と対応されている男性の副館長さんがいらっしゃった。特筆すべきは在日の方の昔の故郷・韓国の写真など貴重な展示がされている事だ。他にも様々な闘争の写真が展示されており、とても興味深かった。三階のスペースでは2021年のヘイトクライムの展示がされており、そこには投げかけられたヘイトコメントなども展示されており、あらためて現代に続く問題にとても考えさせられた。四階は屋上になっており、そこには巨大なソーラーパネルがあり、市民運動としての祈念館も感じさせてくれた。また屋上から眺める景色はかつてウトロの方々が過ごした景色を共有できる感じでとても感慨深かった。

感想


普通、博物館や美術館やこういった文化的施設は過去の展示である。しかし、ウトロは過去だけでなく現代でもあり、そこがとても奇妙な感じだった。また展示してあるものも日本の歴史や移民史として興味深く、資料的価値もあると思った。それに加えて素晴らしかったのは広場と交流スペースがある事である。それらがある事でとても市民にも開かれた場所になっており、他の場所にはない前向きな印象を受けた。こんな場所が自分の地元にもあればいいなと思った。そういう様々な側面を持つウトロ祈念館はまた行きたいと思わせてくれる特別な場所だった。

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