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香坂秋のエッセー

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日々の景色を綴りました
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#猫が好き

吾輩は猫族である(7)

吾輩は猫族である(7)

朝の風景

塀にいる小鳥を狙う猫

低く構え、ジャンプの準備

そこに階段を降りるわたしの靴音

小鳥が飛ぶ

諦めきれない猫

しばらく構えのポーズ

低くなった体勢を起こし歩き出す猫

道路にぺたっとうつ伏せになる猫

わたしの方をじっと見る

狩りの邪魔をしたわたし

じっとわたしを見る猫

逃げない

今にも挑んできそう

香坂 秋

吾輩は猫族である(5)

吾輩は猫族である(5)

猫は気まぐれだ。
甘えたい時は、鬱陶しい(うっとうしい)ほど、なついてくる。

たとえば、こんなふうに。

道を歩いていたら、足元に猫が擦り寄ってきた。
野良猫だ。

避けようと、歩みを進めると、足の間をまるで調教した猫のように縫うように歩くのだった。

遊ばれている。
そう間違いなく、私の方が。
そして、しばらくすると、スルッとすり抜け立ち去るのだった。

香坂 秋

吾輩は猫族である(4)

吾輩は猫族である(4)

今日もどこからともなく、猫の鳴き声。
仕事場に向かう道。
どこにいるのだろうと見回すと駐車している車の下にいた。
こちらを見ながら、ミャーミャーと鳴いている。
この猫、数日前来た時も話しかけてきた。

別に餌などやったこともない。
この猫に限らず、ほかの野良猫にも一度としてないのだ。

さらに別の車の下にだらんと寝ていた猫までもが、わざわざ体の向きを変え、一緒にミャーミャーと鳴き出したのだ。
私と

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吾輩は猫族である(3)

吾輩は猫族である(3)

猫は猫好きの人間とわかるのであった。

ある日曜の朝のこと。
ドアを開けると、そこに白と黒のぶち猫が首を傾けて座っていた。
?!
首輪はなたので、野良猫。
今まで見かけたことはなかった。

ゆっくりとドアを開けて、外に出る。
逃げるでもなく、猫はそこに座っている。

少し、姿勢を低くして、
「どこから来たの?」と尋ねると
「ミャァー」と口を横に大きく広げて返事をした。
「ごはんはないよ。」と言うと

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吾輩は猫族である(2)

吾輩は猫族である(2)

また、世の中が穏やかでゆるやかだった頃、
外出のとき、玄関の鍵なんて閉めない文化があった頃のこと。
まだ、エアコンなんて、なかった頃のこと。

用事を済ませて家に戻ると、外まで焼き魚のいい香りが漂っていた。
「ただいま」と、家のどこがにいる伯母に向かって告げながら、台所まで行くと、
そこには魚焼きグリルを置いているテーブルに身を伸ばし、前足をテーブルに乗せて、こちらを見る猫がいた。

さすがにグリ

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吾輩は猫族である(1)

吾輩は猫族である(1)

人々の中に、「猫が好き」「犬が好き」と
自分の性質(性格)がそれぞれ、猫寄り、犬寄り。

私が思うに、猫族の人々は、基本一人称。
心地よい、と感じる時間、空間は、ひとり。

そして事実、外出しても不思議と猫とご対面すると
ココロが弾む。

朝散歩の行程、公園のベンチでiPhoneで
SpotifyのPodcastを聴く。
「ホントのコイズミさん」、角田光代さんゲスト。

猫好きの角田さんの書物をA

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