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墨谷が甲子園の切符を握る日を、昭和生まれのオヤジたちは「ずっと」夢みていた

https://www.youtube.com/watch?v=r6gTYVXduCg

月刊少年ジャンプに1972年2月号から1979年3月号まで連載された
「努力・友情・勝利」
を体現した、下町の名もない野球少年を描いた普及の名作があった。
原作 ちばあきお

キャプテン

アニメにもなり、歌も心にぐっとくる名曲。ぜひ上クリックしてください。EDは泣ける歌です。
引退・卒業を経て、代を重ねていく墨谷第二中学校の野球部キャプテンを描いたのだが、インパクトがあったのは、谷口タカオ編。一番最初のエピソードである。

中学2年時に野球の名門・青葉学院中学校から墨谷第二中学校(墨谷二中)に転校してきた主人公・谷口タカオ。野球部へ入部するためにグラウンドを訪れ、練習に参加しようと青葉時代のユニフォームに着替えた。そのユニフォームに気付いた野球部員は、勝手に谷口を名門青葉のレギュラー選手だったと思いこんでしまう。
しかしは谷口は2軍の補欠で、レギュラーにはほど遠い選手。そのことを気が弱くて言い出せない谷口は一度は諦めかけるが、大工を営む父の叱咤激励を受けて周囲の期待に応えるべく陰ですさまじい努力を続ける。

やがてそれらを見抜いていた先代キャプテンに見込まれてキャプテンに選ばれるまでになり、試行錯誤しながらチームを引っ張っていく。

控え目な性格から当初は決断力に欠け判断を誤ることもあったが、やがて過酷なスパルタ練習で墨谷二中を青葉学院と互角の戦いをできるチームにまで鍛え上げる。

成長してからは目の前の目標に対して粘り強く真摯に取り組む性格になり、「頑張る」一辺倒の思考がときにナインの反感を買うこともあった。しかし諦めることなく夜間の自主練習に勤しむ姿を見た周囲をまとめ、自発的に意識改革を行うきっかけにも繋がっている。

地区大会の決勝戦再試合、青葉学院との対戦前に投手・松下が肩を負傷。イガラシ以外に投手がいないなか、谷口はゼロから投手としての練習を始め、ついには青葉に通用するレベルのピッチングを見せナインを驚かせた。しかし試合途中、指を骨折。ナインにそのことを隠しファール攻めで限界のイガラシに代わってマウンドに立つ。

谷口タカオは名実ともに、伝説のキャプテンになった。

谷口の跡を継いだ丸井。部員との溝もあり、苦しんだキャラクター。

丸井の跡を継いだのが、天才肌のイガラシ。ここまでが谷口の軌跡を記憶する世代。

当時で云うところの、努力の嫌いな甘やかされた現代っ子・近藤が次のキャプテンとなる。

キャプテンの物語は、近藤時代までを描いた。

同時進行の作品「プレイボール」。週刊少年ジャンプに1973年から1978年まで連載されたスピンオフ。「キャプテン」で墨谷二中を卒業した谷口タカオの高校生時代を描いた。墨谷高校へ進学した谷口は、青葉戦で骨折し指が曲がったため野球の出来ない身体に。しかし、野球が好きだという情熱だけは忘れていなかった。

見るに見かねてサッカー部に勧誘されたが、どうしても野球への想いは捨てられない。投げられないことを除けば野球は出来る。厄介を引き受ける野球部は、谷口の勝利へ向ける情熱に、万年敗退チームから徐々に変化をみせていく。

三年生引退。谷口は1年生キャプテンに任命されてしまう。

谷口の再起で、物語はあたらしいチームへ。

頼りとなる補佐役の倉橋と、墨谷の実力を高めていく。
谷口を慕う後輩の丸井。谷口を追って墨谷高校を受験するも不合格になり、朝日高校に入学し軟式野球部で活動していたが、同年秋に墨谷高校に編入学を果たす。そしてイガラシも墨谷高校へ。

下町の地区大会レベルでしかないの公立高校の墨谷。全国レベルとはどういうものか、実力校である谷原高との練習試合で大きな壁にぶち当たる。
ちばあきおの原作では、谷原高2軍には善戦するものの相手がレギュラーに入れ替わった後に惨敗。この大きな落胆から、再び這い上がろうとするところで終了している。

これが、ラストカット 
誰もが、ここから奮起 
していく谷口に期待した

1984年9月13日、原作者のちばあきお先生が仕事場2階にて自殺した。
躁鬱病と戦っていた。
享年41歳没。お気づきと思うが、兄は漫画家のちばてつやである。
野球少年の心に、このラストカットが刻まれて、谷口タカオは永遠に甲子園を目指す抽象的な存在となった。

奇跡が起きた!

ちばあきおファンの漫画家・コージィ城倉が作品の絵を似せて、遺族の了承を得て、2017年9号から2021年11号まで「プレイボール2」がスタート。
AIじゃなく実筆で描くのが、味のある表現だ!
春の選抜野球大会出場校である谷原高校との練習試合に大敗した墨谷野球部。3年生になった谷口は、夏の東東京予選を見据えて、墨谷二中を全国制覇に導いた後輩のイガラシと江田川中学から入学した井口源次を投手候補に育てようとする。その結果、硬球の使い方が安定していたイガラシを投手に据え、井口を野手に育成しようと考える。
谷口は3年間を通じて、全国大会への出場は逃したもののメディアの注目を集めた。引退後は野球に対する次の目標が見出せずにいたことや、両親の負担を考慮して、将来的に家業を継ぐために父親の下で大工修行することを検討した。
しかし野球への情熱は誰の目にもハッキリと映る。
部長先生や先輩の田淵、父親に諭されて、大学への進学を目指して予備校に通いながら「墨谷高校野球部監督」の就任を打診され了承する。
谷口は予備校の低い成績から、集中力でぐんぐん成績を伸ばしていく。谷口に色めく女子も現れたが、谷口はマイペース。

プレイボール2と同時進行で、「キャプテン2」もコージィ城倉の絵でスタートした。プレイボール同様、前作最終回から始まる。そして近藤が墨谷二中を卒業し、墨谷高校に入学。
谷口から近藤までの4人が、同じ場所に揃った。
谷口監督と丸井キャプテン、イガラシ、近藤が同じユニフォームを着る。

甲子園の切符をめざし、プレイボール2のラストとキャプテン2のラストの時間軸が一致した。

あらたな「キャプテン2」が始動。

そして、2024年3月19日。
ネタバレが嫌なら、グランドジャンプを読んでくれ。

https://hiro-game.sakura.ne.jp/?p=141639


最新号ラスト頁

谷口タカオに勇気を貰って来た俺たちは、
まだまだ、諦めないで
生きていける!