夢酔藤山

ようこそ! 歴史時代小説を執筆しています。2024年は連載3本と単行本2本のお仕事です…

夢酔藤山

ようこそ! 歴史時代小説を執筆しています。2024年は連載3本と単行本2本のお仕事です(5月現在)。 講演・執筆のご依頼がございましたら、どうぞよろしくお願いします。 四方山のことは、こちらにも……! 散文小径 http://musuitouzan.blog.fc2.com/

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先に、ここね   ⇩ 自己紹介2000年「奇本太閤記」で第73回コスモス文学新人賞長編小説部門新人賞を受賞。以後、文筆へ。現在、「満洲-ここはお国を-(南信州新聞)」「真潮の河(房州日日新聞)」「千人同心がゆく 北のまほろば(西多摩新聞※令和薫名義)」を連載中。 故遠山あき氏に縁深い文芸同人槇の会に所属。全国里見一族交流会理事、小山田信茂公顕彰会賛助会員をはじめ歴史研究会東京支部会員(H30年歴史大賞功労賞受賞)などに属す。 現在できること・やってみたいこと 2023年

    • 「箕輪の剣」第10話

      第10話 後継  長野業政が病であえなく没したのは、永禄四年(1561)一一月二二日のことである。小田原より戻ってすぐ、体調を崩した業政は、己の死期を悟り、こののちは越後の指図に従い、断じて武田に屈することなきよう、主だった者たちに云い含めた。  上泉秀綱は切なかった。小田原で会った正木時茂もまた、上総へ戻ってすぐの、四月六日に死んだ。 「みんな、死んでしまった」  命とは、儚い。残された者は、その夢を託されて、次の世代へ繋いでいく。  新陰流。上泉秀綱の興した剣の道も、弟

      • 「満洲」GW後も、空を飛んだ女の物語である

        南信州新聞連載作品「満洲-お国を何百里-」第5話は「空を飛ぶ女」。 この登場人物は実在しており、物語はフィクションではなく伝記にならない程度に史実を拾いながら、実際の生涯に肉付けするストーリーです。思えばフル創作の多かった本編で、8割方が史実に寄り添う一篇は初めてになるかも知れません。 松本キク。のちに結婚して西崎キクとなるこの女性は、連続テレビ小説「雲のじゅうたん」のモデルとされた女性パイロットの一人とされます。 昭和12年(1937)7月、樺太豊原市(当時)市制施行を

        • 「箕輪の剣」第9話

          第9話 小田原へ  年が明けた。  越後勢は古河をめざした。ここは、古河公方足利義氏の御所がある。長尾景虎は足利義氏討伐を命じていた。義氏の母は北条氏、傀儡の古河御所だ。腹違いの兄弟・藤氏こそ正統という声に景虎が応じたのである。これを支持したのは、随行する関白近衛前久だ。  義氏は戦わずして逃亡した。古河を抑えた越後勢は、武蔵国を蹂躙していった。まるで、無人の野を行くが如し、だった。松山城も、たちまち陥落した。時間を稼ぐことも許されぬ、怒涛の進軍だ。  二月二七日、長尾景虎

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          一応、広報マン気取り:新選組篇

          5日に日野を流離いました。 土方歳三資料館はリニューアル後、初の訪問。個人宅での資料館にしては、訪問する人数規模は大きくお手伝いされる方がいてこその切り回し。 今回お伺いしたかった理由は三点。 ひとつはリニューアル後の資料館を拝観したかった。 ふたつめは新しくなった収蔵カタログが欲しかった。 さいごは、この季節ならではの「和泉守兼定」の刀身が観られる。 せっかくなので、歴史研究第719号を謹呈する。 ミニバスに乗り日野本町へ。 佐藤彦五郎新選組資料館へ……👣 今回は越

          一応、広報マン気取り:新選組篇

          「箕輪の剣」第8話

          第8話 上州模様  越後勢は厩橋城まで、僅か一日で押し寄せた。越後勢を迎える筈の上野勢よりも早く、軍勢は厩橋城に殺到した。北条勢は蜘蛛の子散らすように逃散し、越後勢の馬印である 「毘」 の旗幟がはためいた。  箕輪城より馳せ判じた長野業政は 「なんとも素早いことだ」 と驚き、長尾景虎が本丸に入った半刻遅れで、参上した。 「そなたが信濃守であるな。再三の関東出兵要請に応えられなかったこと、まことに申し訳なく存ず」  長尾景虎は詫び口上を述べた。長野業政は、じっと、長尾景虎の表

          「箕輪の剣」第8話

          世間は小山田信茂をまだ、どう、観ているのか?

          「小山田信茂公は裏切り者にあらず」 というスタンスで大月市を本拠に活動される小山田信茂公顕彰会。 前身にあたる小山田情報館活動から、10年になろうとする顕彰活動だ。もう、すっかり大きな団体になり、その声は大月に留まらない。ひとえに会長の尽力あってのことと、頭の下がる思いである。 夢酔はせいぜい末席で、すみっこに居座っているだけに過ぎず、精力的な皆様に声援を送るのが関の山という塵芥な存在に過ぎぬ。 さて。 これほどまでに支持され、定説の矛盾を声に出してきた。 その成果は、

          世間は小山田信茂をまだ、どう、観ているのか?

          「箕輪の剣」第7話

          第7話 関東出陣  沼田万鬼斎顕泰という男がいる。上杉憲政が北条に負けて越後へ去ったため、沼田家は父子対立の修羅場になった。沼田万鬼斎顕泰は上杉派、その嫡男・左衛門尉三郎憲泰は北条派。万鬼斎は子の憲泰を殺さなければいけない運命だった。その後、北条孫次郎康元が攻め入り沼田を奪った。  沼田万鬼斎顕泰は主君を追って越後へ逃れることとなった。  今度の関東出兵にあたり 「先陣を賜りたし」  沼田万鬼斎顕泰は長尾景虎に請い願った。 「城を取り戻したい」  その願いに、長尾景虎は快く

          「箕輪の剣」第7話

          新選組の5月 千人同心にも見どころアリ

          5月になると、日野は蒼く熱気に燃え上がる。 そんな印象を抱く貴方は、もう手遅れなほどの新選組熱烈ファン。 近頃では 「土方さんはマヨネーズが好きなヘビースモーカー」 とか信じている人がいます。それは、違う世界の人なので、くれぐれも間違えないで下さい! 5月5日は、こっちの世界の土方歳三生誕日ということで、ざわつく人も多いでしょう。 そして5月11-12日。 日本でも最大規模の新選組イベントになったことは、たいへん喜ばしいことです。 さて。 新選組ばかりに目を奪われており

          新選組の5月 千人同心にも見どころアリ

          アルファポリス公開中「小河内ムーンライト」最終回、公開。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/569322769/177873560

          アルファポリス公開中「小河内ムーンライト」最終回、公開。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/569322769/177873560

          「箕輪の剣」第6話

          第6話 毘沙門天  長野業政に関東管領上杉憲政からの使いが来たのは、年号が永禄に改まって、程なくの事だった。その報せに、長野業政は驚きつつも 「妥当なことだろうな」 と、どこかで納得もしていた。  上杉憲政は、こういっているのだ。 「長尾弾正を養子とし、上杉の名跡と関東管領職を譲る」  使いの言葉を自然に受け入れている己に、不思議はなかった。どこかで、そういう流れを期待していたのかも知れない。 「されば、関東管領様へ、一日も早い関東への出陣をお願いするところでござる」  長

          「箕輪の剣」第6話

          「小河内ムーンライト」次回、終了

          戦争の臭いが近づく帝都。敵性音楽ジャズを指摘され、銀座から散り散りとなるバンドマンたち。宛てのない上寺智。手には一度も演奏したことのない「ムーンライトセレナーデ」の楽譜。上寺は考えもなしに、小河内へと流れていく。もうすぐ湖底に沈むと囁かれる鄙びた温泉地、そこはダムの作業員で活気に溢れていた。 「サックス奏者だった上寺智さん。ジョーさんですよね?」 ダム工事の若い男は、彼の演奏を覚えていた。ひょんなことから、二人はこの小河内で、一緒に演奏することとなる。 それではジャズを お

          「小河内ムーンライト」次回、終了

          あした時間がとれそうだから、日野に出没したいと思う ドタキャン▽にならなきゃいいなぁ

          あした時間がとれそうだから、日野に出没したいと思う ドタキャン▽にならなきゃいいなぁ

          「箕輪の剣」第5話

          第5話 戦さ  長野業政が主だった家中を城に集めたのは、翌朝のことだった。上泉秀綱を除けば、殆どが長野一族である。あまり知られたくない話だろうかと、上泉秀綱は思った。 「都の、公方様からの書状である」  長野業政がぼそりと呟いた。公方とは、室町将軍・足利義輝のことだ。 「して、公方様は、なんと仰せか」  業正の叔父で厩橋城主の長野宮内大輔方業が身を乗り出した。  将軍家が、地方豪族へ何かしらの沙汰を出すことは珍しいことではない。上野国でも金山城の横瀬新六郎成繁が将軍より沙汰

          「箕輪の剣」第5話

          常識のない戦場-伊勢長島-

          NHK-BS番組「英雄たちの選択」。 いつも楽しく視聴している。「信長が震えた日〜血戦!長島一向一揆〜」この回は、敬愛する伊東潤先生のゲスト回だったので見入ることとなる。 そも、この戦場に注目した最初は、新田次郎著「武田勝頼」(※ただし読んだのは単行本ではなく、歴史読本連載時の「続武田信玄」回)のくだり。もともと武田家との縁組を予定していた長島一向宗をめぐる一篇は臨場感と後味の悪さに震えた。その後、隆慶一郎著「影武者徳川家康」で世良田二郎三郎と本田正信の友情の部分で、教科書に

          常識のない戦場-伊勢長島-

          「箕輪の剣」第4話

          第4話 武田の勢  長野信濃守業政にとって、主君は、関東管領・上杉憲政である。  たとえ、身は越後へ逃れていても、いつ関東へ戻ってもいいよう、西上野だけは侵略から守り抜くつもりでいた。北条、なにするものぞ。それが、家臣領民一丸となった、箕輪城の団結である。 「くま、くまはいるか」  上泉秀綱は屋敷内を探したが、くまの姿はなかった。  岩付で拾って、もう、三年になる。地理感といえば仕方がないが、くまは時々、屋敷内でも迷子になる。いい加減、慣れると思っていたが、この癖は一向に定

          「箕輪の剣」第4話