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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~二十の歌~

《難波の手まり唄》 原作:元良親王
むっつ、むたいな恋をして
ななつ、難波の海神(わたつみ)に
やっつ、矢のよに身を投げた
こ~れでおしまい、みをつくし。
みをつくし、みをつくし、
伊勢と難波の、伊勢と難波の無理心中!
(注)むたいな=無理な。無法な。海神=海をつかさどる神。

定家「わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢わむとぞふ。これが二十番目の歌や」
蓮生「伊勢と難波の無理心中とは! 曾根埼心中って狂言もあったわな」
定家「此の世のなごり。夜もなごり。死に行く身をたとふれば、あだしが原の途の霜……。子供がそんなん知っている?」
蓮生「あかんて、きょうびの女の子は何でもよう知ってるで。母親の離婚の事情とか、おままごとでやってるさかいな」
定家「なんとそら怖ろしい」
蓮生「てまり歌はほんまに怖い。そこに嘘はない、剝き出しの心の真実や」
定家「せやなぁ」

                               

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