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嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~八の歌~

《一緒に呑も》   原作:喜撰法師
ワテのウチにきてみぃひン?宇治の山のほうなんやけど。
内緒やけど鹿肉あるで!ウチのネキで獲れたンや。
人がなんて言うたかてかまへん。うまいんや、これが!
池田の剣菱呑みながら、食うたら、こたえられへんで。

注)みぃひン=みないか。宇治=京都府南部の市。ネキ=近く。池田=大阪府北西部の市。剣菱=池田地方、伊丹に産する酒の銘柄。江戸時代には将軍の御膳酒にもなった。

定家 「なんや、この坊さん、肉は食らうし、酒は飲むし、どないやねん」

蓮生 「わしかて、そうや。出家の身やけど肉は食らうし、酒も飲む。おまけに元は武士やさかい人も殺めたしな。わが庵は 都のたつみ しかぞ住む世をうぢ山と 人はいふなり、か。ま、隠れて生きても、独りはつまらん」

定家 「……で、友達集めて酒と肉で宴会でもやろかと」

蓮生 「せやな。それが人生とちゃうか」

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