風呂場で感じる気配と楽しく談笑して雰囲気良くする専門の人材

 風呂場で頭を洗っている時、後ろに気配を感じることがよくある。別にオカルトでもなんでもなくよくあることだろう。当然後ろを振り返ると、そこには15年しっかりと使い込んだ、くすんだ白の洗濯機がただドーンっとふんぞり返っているだけである。そこは俺の場所だと言わんばかりに服を乾燥するため高速回転を始めた。なんか腹が立ったので、僕は洗濯機に対して
「いつでも、ティッシュ入れて服台無しにしてやんぞ!!」
と、凄むようになった。銭湯やコインランドリーが暴力団お断りの理由が分かった気がした。

 風呂場で感じる気配は幽霊なのだろうか。もし幽霊だった場合、あの頭を洗ってる間はとてつもなく気まずい時間である。あまりにも場が持たない。僕みたいな人見知りの人間は、
「なんかやり残したことでもあんですかね〜~〜w」
なんてヘラヘラしながら言ってしまう。相手の地雷を踏むどころか地雷を相手に向かって投げつける行為に等しい。そもそも幽霊なんてほとんどメンヘラみたいなものである。だからこそ僕は風呂場で感じる気配とちょうどよく談笑できる人材が欲しい。 

 そいつは誰にでも人当たりがよく、先輩からは可愛がられ後輩からは尊敬される最高の人生を歩むタイプである。いわゆる最近の流行りのマッシュやセンター分けではなく清潔感のある短髪であって欲しい。とにかく相手のことを褒め、共感もしつつ、否定して欲しいところはしっかり見極める。僕はそいつと談笑する前と後では自己肯定感が100も200もupする。そいつは幽霊と談笑する時は少々孤立気味の僕に対しても話題を振り、三人で最高に楽しむことが出来る。そして、そいつが
「十年後、二十年後も、いや俺たち一生友達だよな!!!」
と、言ったところで幽霊はとても満足気に成仏した。仏のような微笑みだった。


清めの為に風呂場に塩を撒いてみるかと、塩を持って風呂場に行った。ネットを見てみると塩は配管を駄目にする様だ。僕は塩をひとつまみ口に入れた。塩辛さで恨めしや〜~と言わんばかりに舌を前に突き出し涙目になった。

 幽霊は僕の方だった。

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