エッセイ「夢〜旅の行方」

数年前にみた夢です。
ルネ・マグリット「光の帝国」のような
世界にかんじました。

***

夢を見た。

知らない町を歩いている。曇り空で、海につながる川の橋は水量が多くて水の色も黒ずんでいた。

それでも川を眺めたい私は
立派な大きな橋でなく、何かの作業用に作られた
水面に近い橋を渡りたかった。
途中まで行くと 水量が多すぎて橋の上にも水が流れこんでいるのに気づき、しかも向こう岸は遠く橋を渡りきるまで時間がかかりそうだったので、
皆が渡る大きな立派な橋にしようと引き返した。

川の横に 土を盛られただけの簡易な生け簀を見つけた。魚がいるか見ていたら、大きな金色の魚が泳いでいた。ビックリして じっくり見ていたら
生け簀の管理人みたいなおじさんが来て、魚のヒレに上手く Y字型の棒を引っかけて 吊り上げ 全身を見せてくれた。魚は3メートルくらいあったと思う。

気のいいおじさんに お礼を言って、その場を去った。

橋を渡ると 娘と合流。歩きながら、見つけられないものがあり、地元の民家をたずねて訊く。
快く教えてもらい 再び 歩く。

またまた 分からなくなり、別の民家をたずねた。
なぜか お茶をごちそうになり、
「ゆっくりしていきなさい」と 私たち親子の訪問を嬉しく感じている様子で色々 話をしてくれた。

あまり遅くなると大変だからと、ほどなく私たちは、その家を後にした。

大きな道路にでてから、
「後で御礼したいね」と 娘に 住所を確認するように頼む私。元気な娘は 走って その御宅のポストを確認しに行った。
(ポストの住所を確認するために)

再び 歩き始めた私たち。

雑草が生えた空き地らしき所から 男の人が出てきて、「どこから来たの? こんな所 歩く人は滅多にいない」と言われた。

素直に事情を話すと、疲れているだろうから
少し休んだ方がいい、、と勧められたが、
辺りに民家も店もなく、見えた建物が
周りの景色にそぐわない白いお城だった。

子供の頃は、高速道路の脇に見えた お城に
「お城だー」と 喜んでいたが、今は
アミューズメントパークでないのを知っている。

ふと気づくと 娘が居なくなってた。

「ありがとうございます。でも先を急ぎますので」と頭を下げて 再び 道を歩き続けた。

知らない間に娘が戻ってきて、2人で
のんびりと再び歩き続けた。

日が暮れた。
街灯が点いた。
家の灯りが見えた。

「よく来たね」

父が玄関先に立っていた。
到着した目的の場所は 私の実家だった。



マグリット 「光の帝国」


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