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パーティーにて【連載小説】
「では、乾杯!」
新たな組織に加わるとき、かつて、デザイナー事務所で勤めていたあの頃の組織のメンバーにビールを注ぎ、挨拶をすませる。
かつての辛苦を共にした、乗り越えた記憶を便りに、談笑するのはたやすい。
「紅一点だね。」かつての職場グループの女性に話しかける。このような会場では、短い時間で近況や仕事での不具合がないか談笑しながら確認する。
「私がいなくなって、組織がスムーズに回ってるらしいじゃない。」少し、嫌みも含んでいる。
「うまく、いってるように見えるかも知れないけど、まだ、始まったばかりだから。これからよ。」
と、彼女はいった。
なにか、また組織の不具合の可能性を示唆する。
テーゼに対する気づかい、アンチの部分も含んでいるが、過去に対してか、今に関してかはわからないが、今に対してのアンチテーゼとして理解する。
かつては、お互い若かった。パーマをかけたこともアイブロウを綺羅つかせた化粧も、時代とともに、うつりにけりないたずらに。
新たな船は、次なる港に向かっているようだ。
パーティー終了後に、エレベーターで、偶然鉢合わせする。
「夜のバンカーで砂遊びをする?」
わかりにくいが、もう一軒いくかの誘い文句だ。
ユズルと繁華街にタクシーで向かう。
「じゃあ、またいつか。」
笑顔で手をふりながらタクシーに乗り込む。次に会うのは一年後かも、数年後かもしれない。
タクシーのなかで目を瞑ると、漆黒の闇の中に、意識が薄らいでいく。ようやく、煩わしい雑踏から、あらゆるの欲望から、自分の弱さから、解き放たれる。
目を開けると、ネオンのきらめく繁華街が見える。
夜のバンカーの砂場遊びをしながら、またいつものユズルの職場の愚痴を聞く。
「どうしたらいい?」
「どうすべきかは、今から云うよ。」
「・・・」
「そうだよね。わかってた。そうするよ。」
コアントローを飲んでピーナッツとチーズを食べて、心を沈めてからタクシーで帰路につく。
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