月夜の見えるバーを後にして【連載小説】
何年かぶりのタバコを吸った。
一口吸って、咳き込む。
吹かした息は白く、意識は深い瞑想の中に入った。
中山ノボルは、昨晩、みなと祭での疲れを残したまま、個展の準備をしていた。
澤登ユズルとラムネ販売をしたあと、マリ子と打ち上げで飲みに行き、月夜の見える海岸沿いのホテルで三次会とばかりに飲み直しをしていると、そのまま寝てしまった。何も覚えてない。
ユズルも、気を利かしてくれたのか、途中から「仕事があるから、抜けるわー。」と携帯電話がかかったふりをしてから、ノボルとマリ子を