『アリソン・ベッカー』J選手比較・フィジカル分析
今回は(現2024年9月)ブラジル代表ゴールキーパーのアリソンベッカーのフィジカル分析、動作分析を行います。
今回フィジカル分析、動作分析を行うにあたって現J1のゴールキーパーを比較して解説させていただきます。
アリソンベッカーが何故世界最高峰のゴールキーパーなのか深堀いたします。
ブラジル出身
1992年10月2日
193㌢
91㌔
ゴールキーパー
リヴァプールFC(現2024年9月)
【アリソンベッカーの父はアマチュアサッカーでゴールキーパーをしており、5歳上の兄はSCインテルナシオナルでゴールキーパーとしてプレーをしていました。そんなゴールキーパー一家で育った英才教育が今日のアリソンベッカーを世界最高峰の選手として押し上げたのでしょう。】
【YOUTUBE引用】
1、視覚情報
アリソンベッカーの特徴としては視覚情報の上手さです。これはゴールキーパーとして重要な要素の一つです。
所謂、眼の良さです。目の良さと言ってもゴールキーパーとしての目の良さをアリソンベッカーは持っております。
ゴールキーパーの視覚情報の上手さとは大きく二つに分かれます。
一つはプレイヤーの位置情報の把握です。自陣敵陣含めプレイヤー達が何処でどのような動作をするかを把握する能力です。これはワイドの視野の能力です。目まぐるしく移動していく中で敵味方関係なく位置情報を常にキャッチし続けなければなりません。これらの情報を頭の中である程度把握していなければゴールキーパーとして一瞬の動き出しが遅れてしまいます。
そしてもう一つはボールに対してピントを合わせる能力です。相手がゴールに向かってボールを蹴った際ボールの行く先を常に見続けなければなりません。
アリソンベッカーのプレーを確認したら分かりますが、無作為に手を出していません。また他のゴールキーパーに比べて手を出すタイミングが若干遅いです。この”若干”がボールを触れる為の正確性を表しております。
下記動画の0秒~15秒/2分21秒~2分35秒/3分1秒~3分14をご確認ください。
【YOUTUBE引用】
確認していていただくと分かりますが、アリソンベッカーはそう簡単に手を出しません。最後の最後までボールを確認しています。
ワイドの視野でプレイヤーの配置を確認した後にボールにピントを合わせギリギリまでボールの動きを読み取る。仮にボールを弾いたとしてもボールの裁きどころは敵陣がいない箇所にボールを裁く意識をしています。
これがアリソンベッカーの視覚情報の上手さです。視覚情報の統合から身体に伝達するまでの神経伝達が早さと正確さが異常であるということです。
その視覚の良さは目の周りの筋肉(眼輪筋)の柔軟性も関係しております。ですので眼輪筋の動きが良いと推測できます。
また目から動かした後身体を動かしていると推測できます。人間の身体は目から動くことによって関節の動きがスムーズに働きます。ですが大概の方は顎または他の箇所から動き出しています。ですがアリソンベッカーは身体の動きを正しくスムーズに行うために目から動かしているだろうと推測できます。
以下の内容は確認できていませんが聴力能力も高いはずです。耳の良さです。相手の足の振り、動き出しの音を聞き分け向かってくるボールスピードや強さなどを一瞬で判断できているはずです。
片耳を抑えていただくと分かりますが体感としての感覚が左右で変わります。それを逆に考えると聴力が研ぎ澄まされているだけでも情報量が多くなるので反応スピード変わるという訳です。
アリソンベッカーの五感はアスリートの中でもトップクラスだと考えられます。
2、シュートモーション時の動作
アリソンベッカーのシュートモーション時の動作は他の選手に比べて身体の使い方が違っております。この”違っている”を解説させていただきます。
【※これよりJリーガーお二方が登場しアリソンベッカーと比較させていただきますが、比較に関しては悪意、批判目的でないことを予めお伝えします。日本トップのゴールキーパーであり将来有望な選手です。それらを踏まえて上で解説をさせていただきます。】
特徴の一つがボールが向かってくる際、アリソンベッカーが構えたときの動作です。その際に使われている腹部、股関節の動きが特徴的です。
アリソンベッカーは股関節を柔らかく使っています。
インナーユニット(腹横筋/多裂筋/骨盤底筋/横隔膜)の動きがスムーズに動いており骨盤周辺の筋が不具合なく正しく使われております。
そして全ての初動動作をしっかりと腹横筋から動かせています。それ故にアリソンベッカーのキャッチング、シュートモーション時の股関節の動きが柔らかく働いていていると考察できます。
下記、動画の2分30秒~2分51秒/6分8秒~6分30秒を確認してください。
ボール打たれる前のアリソンベッカーの動きは上下に大きく動いておりません。腹部を中心にして何処へでも飛び出せるように準備しております。
【YOUTUBE引用】
それでは下記選手の動画を確認してください。
柏レイソル松本選手です。
3分40秒~50秒/5分10秒~5分29秒
床を勢いよく踏み込みその反動を使ってジャンピングしております。
ふくらはぎの太さを確認すると分かりますが松本選手は、アリソンベッカーに比べ下半身全体を見るとふくらはぎの比率が大きいです。
対してアリソンベッカーはお尻からふくらはぎにかけて徐々にサイズは小さくなっております。
松本選手はふくらはぎ大きさが目立ちます。松本選手のジャンピング動作ではふくらはぎの力が優位になっていると確認でき、それに比べアリソンベッカーはふくらはぎが優位になることはなく腹部のクッションを使い下半身全体でボールを捉える事を可能としています。
3、ジャンピング動作
アリソンベッカーのジャンピング動作を確認すると滞空時間が長く、”伸びている”と感覚を覚えます。
先ずは下記URL動画をご確認ください。
確認してほしい箇所は骨盤の引き上げです。
【現地映像】アリソンのキャッチの安定感がヤバい #shorts (youtube.com)
【YOUTUBE引用】
続きまして、谷晃生選手(現2024年9月)です。日本代表にも選べております。日本屈指のゴールキーパーです。
下記URLをご確認してください。
黙々とGK練習に励む谷晃生#samuraiblue (youtube.com)
【YOUTUBE引用】
あくまでも谷選手の場合はボールとの距離感は違いますが骨盤引きあがり方、腹斜筋の反動の使い方、重心地の上げ方はアリソンベッカーとは違います。
アリソンベッカーの方が”軽い”印象を持つはずです。
これには腹斜筋の使われ方が大きく関わります。
谷選手の場合は足元が”重く”感じられるかと思います。
これはお腹である中心地の使い方と使われ方がアリソンベッカーと違いがあることが最大のポイントです。
そしてアリソンベッカーの素晴らしさというと腹部から足裏まで効率よく力が伝わっているということです。骨の配列が正しいです。
骨配列が正しいとは、身体の全体の筋肉の付き方に偏りがなくトレーニング出来ているということです。
筋肉に偏りが出来てしまうと、やけにふくらはぎが太くなってしまったり、太ももが異様に太くなってしまう、またはO脚気味になってしまう。など修敏な動作を行いにくくさせ、力の入れ方が分散してしまう身体になってしまうのです。
アリソンベッカーは下半身から上半身にかけて理想的な力の伝わり方になっております。
下記動画は軸足となっている側の腹部の引きあがりが強く出ております。
【YOUTUBE引用】
次は谷選手をご確認ください。
反射神経、運動能力は凄まじいものがありますがアリソンベッカーに比べ身体の伸びが足りないように感じられます。また下半身が重く感じられます。
【YOUTUBE引用】
下記動画松本選手選手を先ず確認してください。
松本選手1分43秒~1分48秒まで登場しているのが松本選手です。そして他のゴールキーパーとも比較していただきたいです。
松本選手は床の踏み込みからジャンピング動作までしっかりと力が伝わっております。それに比べ他選手は力が伝わりきれていないように見ます。
”迫力”が違います。”迫力”とは力の伝わり方の上手さによるものであり所謂力強さです。松本選手はまさに力強さを感じます。
【YOUTUBE引用】
アリソンベッカーの場合は更に加えて力強さから身体全体の伸びが見えます。これは股関節ならびに腹部の使い方が上手い身体だからです。
あくまでも推測ではありますが、ウエイトトレーニングを行っているなら不用意に重いウエイトを扱っていないはずです。
腹部がブレてしまうウエイトを避けていると思われます。あくまでも腹部の強度を軸としたウエイトを選んでいるはずです。
4、股関節の安定感
先ほどから股関節、腹部の使い方と散々言っておりましたが”これ”アリソンベッカーの基盤を作っているものだと感じられる運動があります。
下記動画をご確認ください。
2分27秒~2分48秒です。
【YOUTUBE引用】
軸となっている骨盤にブレはなく上げている側の足首周辺は脱力出来ています。その為腸筋群の反応が入っており、かつ腹横筋が収縮できているのでバランスが取れています。
軸となっている足は内転筋群と中臀筋がバランスが良い為、骨盤の横揺れが起きていません。それらを考慮した上で上記お二方の選手に比べてふくらはぎのサイズ感を太くさせずに済んだのと一つ考えられました。
また骨盤の引き上げに関して腹斜筋ならびに広背筋の引き上げも共に入っておりますので身体を上手く支えられています。
5、脱力
これまで確認していただきアリソンベッカーの凄さをご理解できたかと思われます。
下記動画を確認していただくと分かりますが”脱力ができている。”
また、”余計な力が入っていない”と感じられます。
それは腹部周辺の柔軟性と弾力性、弛緩性が仕上がっているからだと思われます。
仮に腹式呼吸を行ったとしたらお腹の膨張から収縮まで上手く力が抜けた状態で行えているはずです。だからこそ相手のシュートモーション時に上下運動は極力少ない動作で済み、ジャンピング動作であれだけの伸び感があらわれているのだと思われます。
体感が本当に使えている選手でり、だからこそ余計な箇所に力を入れずに済んでいる選手なのです。
【YOUTUBE引用】
総括
今回も様々な学びがありました。アリソンベッカーのフィジカルトレーニングは全く上がってこなかったのは残念ではありましたが体つきと動作分析であらゆるものが読み取ることができました。
フィジカルトレーニングを行った際は絶妙な重さをチョイスし、プログラムの組み方がとても上手いのだと思われます。また脱力も意識的に行っているはずです。
自重トレーニングを大切にし、自重トレーニングで物足りなくなった部分をベースにウエイトをチョイスしているのだろうと思います。ウエイトベースのトレーニングではないということです。
勿論、アリソンベッカーの才能は遺伝または幼い時に遊びで培った身体の使い方がベースとなっているとは思いますが、プロになり自身に合った最適なトレーニングを組み込んでいたことは間違いありません。
意図したトレーニングしているはずです。
アリソンベッカーのこれからの活躍を期待しております。また谷選手、松本選手の今後の発展と展望を期待しております。
本当にありがとうございました。
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