さっきから言ってますけど、あと2連勝すればいい!
大リーグ・ドジャーズが、パドレスに敗れ、1勝2敗と追い込まれ、チームが「崖っプチ」に立たされた時です。
取材に集まった記者たちは、大谷選手に「不安です」「困りました」といわせたかったでしょうね。何度も、何度も同じ質問を繰り返したのですね。
正直で紳士的に応対する、大谷選手が「ブチ切れる」ことを期待し、記事にしたかったのでしょうが、
大谷選手は「シンプルに2連勝すればいい」と、一貫して「前を向く返事」をしたそうですね。・・・実際に2連勝しました。
「崖っぷち」に立たされた時でる言葉こそ、人柄が出ます。
よく「失言」といいますが、考えていることしか言葉になりません。
「崖っぷち」に立たされた私たち
日本も世界も、政治・経済・文化もコロナ・戦争で「崖っぷち」ですね。
ノーべル平和賞に、日本の「原水爆被害者団体協議会(被団協)]
が選ばれましたが、政治的ですが、非常にタイミング良い判断だと思います。
プーチンの「核兵器を使用するかもしれない」という発言は、本音だろうし
中東の戦争もあわせて、私たちは「崖っぷち」を意識した方がいいです。
むかし「渚にて」という映画がありました。年配者で観た人が多いでしょう。いまこの映画の恐怖が迫っているのです。
この映画の物語は、次のようです。
・・・第三次世界大戦が勃発し、世界全土は核攻撃によって放射能汚染が広がり、北半球はすでに全滅してしまった。僅かに残った南半球の一部地域に人々が暮らすだけになってしまっていたのです。
そんなある日、本国に帰港出来なくなったアメリカ原子力潜水艦がメルボルンに入港する。その地にも「死の灰」は確実に迫っていた・・・
北半球で核戦争が勃発、その影響で南半球のオーストラリアまで押し寄せてきたという映画です。
私は、ゴールドコースの海岸で遊んだことがあります。きれいな海岸です。
いま、孫娘がこの地の高校で学んでいますが、
いつも、この映画のことが頭から離れません。
「いつかこうなる」「こうならない為に、私は何を成すべきか」・・・。
<チョット寄り道> 崖っぷちを乗り超える若者たち
「崖っぷち」を平気で乗り越えていく人がいます。
第18回ショパン国際ピアノコンクールで活躍した、角野隼人さん・沢田蒼格さんは典型的な人です。彼らのピアノ演奏は、しなやかで、柔らかで、とても繊細ですが、強さがあります。
角野さんは、東大理1.工学部を卒業していますし、ユーチューバーとしても有名ですね。
沢田さんは名古屋大の医学部を卒業し、二刀流をやっているそうです。
このコンクールは5年に1回開催されます。
世界的に有名なハイレベルのコンクールです。
前回は、反田恭平さんが第2位という画期的な成果をあげました。
私は若いマルチ人間の演奏に驚いています。
ショパン・ポーランドという「崖」を飛び越えていく強さと深さが、背後に感じられました。ショパンの人生も「崖っぷち」ばかりでした。
獅子の子落とし
「獅子の子落とし」とは、わが子に厳しい試練を与え、その器量を試すことで使われる例えです。
獅子は、子を生むとその子を深い谷に投げ落とし、よじ登って来た強い子だけを育てるというのです。
この場合の「獅子」は、中国の古い説話に登場する獅子で想像上の霊獣です。動物のライオンではないです。
私は厳しい試練を体験した人で、後の人生に「厳しさを役立たせた」人の例を沢山見てきました。「追い込まれた経験」を活かしているのです。
人生は試練の連続です。
人生に課題を持ちこもうとした「強いライバル」と戦わなくてはならないです。ライバルは、人間であり、組織であり、権力です。
近年、アメリカの弁護士資格が話題になっていますが、国際弁護士の試験は厳しいです。アメリカでは、州ごとに資格の認定が異なります。
日本の司法試験とは異なります。
国際化の下で、資格を習得できても、そのあとのビジネスの競争はすさまじいです。生成AIの時代になって、弁護士のビジネス・仕事も変化しつつあります。日本国内だけを見ていては、仕事になりません。
<チョット寄り道> 永住権をとるためには・・・
イギリス人になるには、「国家試験がある」ことを知っていますか?
イギリスの日常雑学・伝統・文化・歴史・地理など、細かな設問に答えなければ永住権を獲得できません。
これを「Life in the UK」といいます。「労働ビザを○年保有」「1年のうち〜日以上イギリスに滞在している」などの条件をクリアした上で、さらにこの試験に合格しなくては永住権が取得できないのです。そのために、「不法滞在」を余儀なくされている人が沢山いるのです。
アメリカに移住するには、グリーンカードが必要です。
簡単な手続きではないのです。一定の条件を満たさなければ、不法滞在者になるのはイギリスと同様です。甘くみている人がいますが大変です。
また、国際結婚は楽ですが、国際離婚は、ものすごく大変です。根拠となる法律が異なるからです。
『太平記』にみる「崖ッぷち」のリーダー像
太平記を、「崖っぷち」に立たされた男たちの物語として読むと面白いです。
物語の主人公を、後醍醐天皇・足利尊氏・楠木正成に絞ってみると、どの人物も、ギリギリの「選択」を迫られて、結局何をしたか、どうしたかであり、結果はどんなだったかが、興味深いのです。
生死を賭けて「崖っぷち」を選択しながら生きていたのです。
権力欲・名誉欲・野心が絡み合っていて、存在感があります。
権力闘争は、いつの時代も同じです。
① 後醍醐天皇・・・鎌倉幕府が衰えてきたことに乗じて、「天皇親政」の時代に戻そうと「賭けに出た人物」です。
天皇親政の復活チャンスとして「崖っプチ」を捉えた点はさすがですが、
野心と時流の読み違いが「混乱」を増長させ、歴史の波に翻弄されました。
これで「公家政治」の終焉です。
② 足利尊氏・・・戦前は、朝敵・悪役として記録されることが多かったですが、どうして、どうして、「崖のむこう側」を見て、室町幕府の長期政権の基礎を造った野心的な人物です。
計算高く「待つ人」のようでいて、巧妙に「仕掛ける男」です。時流を利用したしたたかさが魅力です。
③ 楠木正成・・・『太平記』のスーパースターです。
難局を、奇抜な手法で何度も切り抜ける「軍事的才能の持ち主」です。
主人公にふさわしいエピソードが沢山あります。「崖っぷち」を奇抜な戦略で切り抜けていく男です。
武将としてだけでなく、人間的な魅力があるのですね。決して、運命に対して逃げないですね。
<チョット寄り道> 太平記を読む
『太平記』は全40巻で、南北朝時代を舞台に、「後醍醐天皇」の即位から、「鎌倉幕府」の滅亡、「建武の新政と崩壊」後の南北朝分裂と・・・、約50年間の軍記物語です。
騒乱が収まって、「室町幕府」・第3代足利義満の代になって社会が落ち着きました。義満は遺族の別荘を譲り受けて改築し、禅寺に、その一部分が金閣寺(鹿苑寺)です。
室町時代に、新しい「武家文化」が開化しました。
商工業の発展にともなって町衆や農民が「文化の担い手」として登場し、庶民文芸が発展したのです。現代に繋がる「猿楽・狂言・蓮歌・茶の湯」が生まれ広がりました。
そしていま「崖っぷち」を、どうのように乗り越えるか
「さっきから言っていますけど。2つの課題を乗り越えればいいんです!」大谷選手の言葉を、現在の「崖っぷち」に置き換えて、解決策を見いだせばいいんです。
1つ目は、「核兵器の使用」の禁止です。覇権主義を優先し、人類全体の問題を疎かにする「愚」を、はっきり拒絶する意志を示すことです。
2つ目は、「人工知能の使用」について、共通理解を高めることです。
開発を優先するあまり、越えてはならないラインを明確にすることです。
これを「崖」と捉えず、進歩・発展・人類の利益と捉える人もいますが、この崖を越えたらどうなるか。
「渚にて」の映画が提示した課題と、
「AIの使用についての国際協定」を、曖昧にしないことだと思います。
国際協定とは、国連のAIガイドラインやOECDのAI原則などを指しています。これらの協定は、AI技術の開発と利用において倫理的、透明性のある、公正な基準を設定することを目指しているものです。
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