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女は女である(1961🇫🇷)

原題: UNE FEMME EST UNE FEMME(1961、フランス、84分)
●脚本・監督:ジャン=リュック・ゴダール
●出演:ジャン=クロード・ブリアリ、アンナ・カリーナ、ジャン=ポール・ベルモンド

20年ほど前、日本テレビの深夜で水野晴郎を館主とした「麴町名画座」という映画番組があった。

そこでパゾリーニとかルイ・マルとか文字通り名画を放映していたわけだが、その時に初めて見たのがこの作品。

今じゃ普通にアマゾンプライムで観られてしまうが、DVD(紀伊國屋レーベルのラウル・クタールによるHDリマスターという版)を所持していたので再見してみた。


出だしからまるで予告編のような幕開け。

「歌わないミュージカル」という触れ込みがあるが、劇判音楽が不自然にブツ切りにされ、初見だと居心地の悪さを感じる。

アンナ・カリーナが序盤にカフェでジュークボックスを、ストリップ劇場でテープを回すシーンがそれぞれある。

音楽をかける人=アンナ・カリーナと捉えると、音楽のブツ切れは彼女の感情の起伏を表している?

全体的に音楽と映像がまるでシンクロせず、ボタンの掛け違いがずっと連続している印象。

音楽だけでなく車のエンジン音のようなノイズも一瞬ミュートになったり、姿が見えないのに猫の鳴き声が聞こえたりと非常にヘンな作り。

それだけでなくカメラも縦横無尽、アンナとシュザンヌが会話をするシーンで二人の声はずっと流れ続けるも映像は全く別の人たちの顔を映し続けていて、なんだか心ここにあらずみたいな感じ。

映画の合間合間で登場人物がカメラにウインクしたり「お芝居を始める前に観客に挨拶を」などと言ったりこれはフィクションですというのを演者がメッセージを送ってくる。

ゴダール映画の特色でもあるナレーションは一切なく、サイレント的演出で字幕のト書きが入る。

女ははぐらかす権利があるのよ」という劇中の台詞がとても象徴的。

ストーリーは取り立てて複雑なものはなく、シンプル。

けんかになったアンナ・カリーナとブリアリの二人が口をきかない!となるが本の題名で「けだもの」とか「すべての女に死を」とかでやり取りするシーンは面白い。

カリーナの赤い傘、赤いセーター、ブリアリの青いジャケット、シャワー室の青と黄色のタオルとかこの辺の原色の使い方は本当に最高。

冒頭、本屋でブリアリが正しい妊娠の方法みたいな本を観ている横の映画雑誌の表紙が『地下鉄のザジ』だった。

他にもテレビで『勝手にしやがれ』を観たいんだとか『ピアニストを撃て』についてのやり取りもある。

ラジオでサッカーの試合を聞く場面ではレアル・マドリードの試合でディ・ステファノとかプスカシュとか今では伝説的な選手の名が聞こえる。

DVDの封入物としては、解説リーフレットとカタログが入っていて、こんな感じ。

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