くたばれ!ユナイテッド ―サッカー万歳!―(2009🇬🇧)
原題: THE DAMNED UNITED(2009、イギリス、97分)
●原作:デイヴィッド・ピース
●監督:トム・フーパー
●出演:マイケル・シーン、ティモシー・スポール、ジム・ブロードベント、コルム・ミーニイ、モーリス・ローヴ、スティーヴン・グレアム、ピーター・マクドナルド、ヘンリー・グッドマン、デヴィッド・ローパー、マーク・ベイズリー、ブライアン・マッカーディー
1970年代にダービーやリーズの監督を務め、後にノッティンガム・フォレストでヨーロッパ・チャンピオンズ・カップを2連覇したブライアン・クラフを主人公にした映画。
物語はダービー時代とリーズ時代、それぞれを行き来しながら交互に映していくという構成。
なのでここでいうユナイテッドとはマンチェスター・ユナイテッドのことではなくリーズ・ユナイテッドのことである。
時系列が交差する構成だけど、絵面はあまり変わらないので若干見づらかった部分はある。
映画は当時のリーズの試合の映像から始まり、いきなり「暴れるリーズの選手」と実況で言われていて笑う。
2000年頃、キューウェル、ロビー・キーン、ヴィドゥカ、アラン・スミス、ファーディナンドらを擁した攻撃的サッカーをしていたリーズ。
色々あって、またプレミア昇格してからビエルサ監督の元復活し、アメリカ人監督のマーシュに代わった後も面白いサッカーをしていた。(残念ながら昨シーズンに降格が決まってしまった)
だが1970年代はダーティーリーズと呼ばれたほど荒々しいプレースタイルが特徴だった。
「ジョニー・ジャイルズの右フックが炸裂!」とか本当にサッカーの実況かよっていうくらい、荒い。
それにしても1970年代のユニフォームがかっこいい。
リーズのアウェイもスウェーデンっぽいし、ダービーもシンプルに白地に胸元の羊も普通にオシャレ。
リヴァプール時代のケビン・キーガンの映像も出てきたり、懐古映像としても面白い。
しかし今のフットボール観と、そうでなくても保守的なイングランドの当時のフットボールと照らし合わせることはナンセンスだとは思うが、クラフが良い監督だとはあんまり思えない。
もちろん、名監督の最悪な時代のみを切り取った作品だというのはわかるが、意見はハッキリ言うが戦術的な話は一切出てこないし、何かあるとすぐ新しい選手を獲得して、フォーメーションいじったりとか育成とかは一切ない。
当時は移籍マーケットというのはなかったのだろうか?
サッカーチームの内幕とかっていうより、クラフとアシスタントのピーター・テイラーとの男同士の熱い友情を描いた作品だということが後半の方になって来てわかってくる。
クラブの監督とアシスタントコーチの関係ってのはとても大事だし、良い監督には必ず良い相棒がいるものだ。
例えばアーセナルであればヴェンゲル監督の隣には常にパット・ライスがいて、その後任でボールドがいてっていう光景はファンにとっても忘れ難い。
サッカーの魅力には色々な要素、色々なポイントがあるが、この「監督とコーチ」にフォーカス当てるのはやはりサッカーの本場の国だなと思った。
おじさん同士で喧嘩したり仲直りしたりするシーンこそがこの映画の一番の見所だろう。
なので売り方としても「二人の男の熱い友情」というのをもっと前面に押し出しても良かったのかなと思った。
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