自分を取り戻す旅【ペン's グレイト ジャーニー ~序章✨】
母はアルコール依存症だった。
正確には、精神安定剤と一緒にアルコールを摂取するから、「ラリった」ようになる。
夜、目が覚め、トイレに行くと、母が半裸で玄関や台所で寝てる。声を掛けても、訳の分からないことをゴニョゴニョ。
父は母を怒鳴る、叩く。
母は泣く..。
私は泣きながら、布団に入り、
「父さんも母さんも早く○ね~、神様、早く2人を○してください」と祈り寝る。
それが小学3年生から20歳まで続いた。
さすがに高校大学生では泣かなかったが。
ある日、父が母の手首を押さえながら、母の部屋から出てきた。
「父さん、どうしたの?」
小学生の私は聞いた。
「母さんが鼻血を出したんだよ」
手首から鼻血?
今考えればおかしいと分かるが、その時はそれで納得した。
いや、納得していなかったから、記憶は葬られ、この出来事を思い出したのは21歳のときだった。
母は精神科の准看護士を35年勤め上げた、
物静かで穏やかで耐える人。
父はスーパー経営と塗装屋で365日働いた、
正義感が強く頑固で人情がある怒りの人。
私は小学1年からスーパーでレジ打ちをして手伝っていた。近所の人たちにはいつも感心され、学校ではずっと優等生だった。
「うちは、どうやら大変な家庭らしい」
と気づいたのは、大学のゼミだった。
ある教授の授業を受けて衝撃を受けた。
それ以来、その教授は私の恩師となった。
恩師は、
「世界を見て自分を変える、のじゃないのよ。自分を見て世界を変えるのよ」
と教えてくれた。
それから私はひたすら自分を見た。
自分が育ってきた環境、両親のことを見た。
父に、母に、祖母に話を聞いた。
恩師とゼミ仲間と語り合った、議論した。
そして、理解した、腹に落とした、実感した。
母が、父が、貧困の中、兄弟姉妹の生活を背負い、自分を犠牲にし生きてきた悲しみを。悔しさを。怒りを。
母は母なりに、父は父なりに、姉と私を愛し、大事にしてくれていたことを。
私は私なりに、その時できる限りで生きてきたことを。
私が理解したとき、母が断酒の会に入り、アルコールを断った。
自分を見たとき、世界が変わった。
自分が変わったとき、世界が変わった✨
母さん、ありがとう✨大好きだよ。
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