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女性が警備員という仕事を避ける(嫌がる)本当の理由


先日辞めた女性警備員の真紀子さん(仮名)が、退職間際に強烈な言葉を残していきました。

真紀子さんに関しては上記のリンク先の記事を参考にして頂けますと幸甚です。

隊長に退職の申し出をしてもあっさり拒否された日の退勤後、最寄り駅まで同じ道だった事もあり、彼女の悩みを聞きながら帰りました。

「やっぱり私には警備員は無理だなーって思ったんですよね」

ぼくの会社は女性でも夜勤に従事しないといけないので、日勤と夜勤の混合シフトになるから、慣れない内はかなり肉体的にキツいと思います。

ただ彼女は、他の女性警備員達が皆、日勤専属でシフトを組んでもらえているのに、彼女だけが夜勤に入れられている事に少し不満があったようです。

他の女性警備員達は彼女以外に3人いますが、皆、還暦オーバーの高齢警備員達なので、まだ若い彼女は
「若いんだから少しくらい夜勤に入って苦労をしろ」
との会社からの意向でした。

女性に限らず、率先して若手にキツい業務やシフトを組んで、年寄りがのうのうと楽なところを取っていくのも警備業界あるあるなんですが。

若手の定義は会社によって差はありますが、
新卒が多い大手の場合は、18歳〜20代までを若手、30代〜40歳前後くらいは中堅、40代〜はベテラン、と、一般的な企業に近いですが

大多数の警備会社は
18歳〜40代半ばくらいまでが若手というところも少なくありません。
会社の平均年齢によっては50歳代でも若手にカウントされるところもあります。
(60代、70代が主力の会社は特にそうかと)

まだ40代前半の真紀子さんはうちの会社では若手とカウントされていました。
ちなみに、ぼくと同年代という事もあり、お互いの子供も歳が近いという事もあって、多少プライベートな話をする事もありました。

彼女はもともと大学卒業後に10年ほど大手メーカーの一般職で経理事務を担当していたそうです。
結婚しても子供ができるまでは仕事を続けていたそうですが、出産を機に退職して育児に専念していました。
その後、育児がひと段落したところで再び就職をと思い、そんな折にこの会社を見つけて応募してきたとの事ですが
正直言って彼女はこの会社には勿体ないかなぁとも思いました。

大手メーカーの一般職で10年以上勤務で、スキルもキャリアも資格もある、と、経歴はかなり優秀な方ですから
言い方は悪いですが、とても警備員なんかをやる様な人材とは思えません。
ブランクがあってもその経歴ならもっと条件の良い仕事はありそうな気もしましたが
もしかしたら、40歳超という年齢がネックになっているのかもしれません。

経理事務は、正確で慎重に業務を進める事ができて、尚且つ数字に強い人でないと務まらないと言いますから
真面目で几帳面な性格の彼女が経理事務をやっていたというのは納得できました。
また、彼女は大学時代に情報科学系の学科を専攻していた事もあり、IT関連業務にも強い人でした。

防災センター勤務ではデータ入力業務をはじめとしたPCを使っての事務作業も多いんですが
彼女はとにかく仕事を覚えるスピードが早く、いわゆる
「一を聞いて十を知るタイプ」の、非常に頭の回転の速い切れ者でした。
警備員を20年近くやっていて、こんな優秀な人材を現場で見たのは初めてです。

警備員になる人の多くは、極端に鈍臭かったり、極端に物覚えが悪くて、何度も何度も同じ事を教えても同じミスを繰り返すような、本当にどうしようもない人が多いので。
それでもまだ素直に頑張ろうとしている人なら救いようもあるし、少しずつで良いから頑張ろう、と思えますが
中には無駄にプライドだけが高くて高圧的だったり、粗野な無能とか、言い訳がましい事をグダグダと垂れ流す他責思考の人も少なくないです。
警備員はそういう輩の集まるハキダメみたいな業界だと思っていたので、彼女の様な人材はある意味衝撃的でした。

やっぱり大手企業に採用される様な人は違うんだなぁとつくづく思いました。

また、警備員に応募して来る人の多くは単純肉体労働やスキル・キャリアが身に付きにくい業種からの転職組がほとんどで、脳筋人材も多く、いきなりPC作業の多い防災センター業務に従事するとモニターの前で固まったまま何もできないという人が多く、

パソコンじゃなくてお前がフリーズしてどーすんだよ!
と怒鳴りたくなるのを抑えながらパソコンの基本操作を一から教える必要があり、ひと苦労もふた苦労もします。

ですが彼女がそんな状況を見て、過去の経験から、PC作業が苦手な隊員でも簡単に作業ができて、時短化に繋がるようなツールを開発してくれたお陰で、パソコンが苦手な人はもちろん、日頃からPC作業をバリバリこなしている隊員達も作業効率が上がり、
新人ながらも高い貢献度を見せてくれていました。

もちろんこれは会社に報告して、同じシステムを運用している他の隊にも共有して、業務の生産性を高める結果となりましたから、高く評価されるべき功績だと思っています。

本来ならね、こういう優秀な社員は大事に育てて行かないといけないんです。

でも、現場はそうじゃなかったんです。
新人の隊員が、入社して早々に高評価を獲得する事を面白くないと感じている隊員もいました。

社歴の長い、東さんという50代の隊員と
自称「ITに強い隊のブレーン」の濱田さんという、40代後半の隊員でした。

濱田さんは確かにITには強い方でしたが、注意力散漫でケアレスミスが多く、時に洒落にならない様な重大なミスをぶちかます事もある、問題児。
何より、彼が問題児と呼ばれる所以は
「アダルトなメディア」や「大人のサービスをするお店」が大好きで、職場でも何かにつけてそれに関する話題を周りに憚ることなく大声で話す事です。
これはもうれっきとしたセクハラになり、会社からも何度も注意指導をしていますし
元々彼は班長という役職についていましたが、過度のセクハラにより、支社に呼び出されて始末書を何度も書かされたりという処分を受けても改善がなかったので、減給処分や自宅謹慎処分にもなりました。
しかし、それでも懲りずに、勤務中でもお構いなしにセクシー女優や風俗の話ばかりするので
つい最近、班長から一般隊員に降格処分になったばかりです。
冗談抜きでこれ以上やらかすと懲戒解雇待ったなしだよ、と隊長からも言われているにも関わらず、本当に懲りないんです。
しかも、本人は悪気なく言ってるようで
周りが面白がると本気で考えてそういう言動をするから、なおのことタチが悪いんです。

彼と勤務時間帯が被らない年配の女性警備員達は直接被害に遭う事はほぼありませんが
夜勤帯の勤務が多い真紀子さんは毎回の様に彼のセクハラ発言を聞かされて、適当に流しつつも内心ではかなり不愉快だったそうです。
時には休憩室に堂々とエロ本を置きっぱなしにしたり、スマホの画面をヌード画像や女性器のアップなどの下劣な画像にしたまま、堂々と充電して、人目につく場所に放置したりという事もあります。
それはぼくも何度もその現場に出くわしていますから、現認しています。
また、本人にも直接
「あーいう画像を人目に晒す様にして置いておかない方がいい」
と言った事もあるんですが
「あっアレ見た?俺がよく行く店の子が撮らせてくれてさー、いーだろーえへへ」
って、そんな事聞いてんじゃねーんだよ!キメーからやめろつってんだよ!と怒鳴りたい気持ちを抑えて
「あそこまで行くと犯罪だし、証拠も取ってあるから会社にも報告しますからね」
というのがやっとでした。

実はこれ、本当に犯罪なんです。
刑法第175条の「わいせつ物頒布罪」にあたると思います。
1 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。
と定められており、濱田さんのやっている行為は、女性の局部の画像を公然と陳列していますから、この法律に抵触すると考えられます。
休憩室に入って来た人全員の目に触れる場所に置いてありましたので。
現にぼくも、見たくないのに見えてしまう場所に置かれていたわけですから。

しかしこれはほんの一例に過ぎません。
彼のセクハラ行為は枚挙にいとまがありません。

確かにそんな事が度重なると、仕事に行くのも嫌になると思います。

その上で
「若い女の子じゃないんだからエロ画像くらいでキャーキャー騒ぐなよ」
「子供産んでんだから恥ずかしがる必要なんかないだろ?」
「旦那には見せてんだろ?」
などという唾棄すべき卑劣な発言もあったようで、
開いた口が塞がりませんでした。

こんな輩のせいで貴重な人材を失うのは不本意な事です。

また、真紀子さんは高いスキルに加えて日頃の勤務態度も真面目という事もあって、できる事なら長く続けて欲しいと思っていましたが、本人が続けるのは難しいと申し出ている以上、過剰に引き留めるのはコンプラ的に良くないと思いました。

ですが、彼女が本当に悩んでいたのは濱田さんのセクハラよりも、東さんからのハラスメント行為だったようです。

底辺の男の中には、本当の意味で悪魔のようなあり得ない人間性のモンスターがいる。
同じ人間とは思えないくらい、性根の腐った輩が存在する。

それが、東さん。

東さんについてはまたの機会に。

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