見出し画像

ラーメン部骨伝導――勧誘

居酒屋の大将に薦められたラーメン屋に行ってみたら、間の悪いことに取り立て屋の西川と居合わせた。しかも他に連れが二人もいる。正直関わり合いになりたくなかったが、奴らの隣しか空いていなかった。

嫌々ながら席に着くと、幸い西川も俺に気づかない振りをしてくれた。奴の方だって、コイツらと俺を関わらせたくないのだろう。

しかし、なんだコレは?三人の座る席の方から、奇妙な音が聞こえてくる。

「そこの御人、我らの取り組みにお気づきになられたか?」

連れの一人が話しかけてきた。同時に西川が舌打ちする。

「我らはラーメン部骨伝導と言ってな…」

俺は変人を無視して店員に声を掛けた。

「お客さん、注文ならそこのタブレットでお願いします」

「いや、あんたに尋ねたいんだ。この店がよく出前に行ってる商店街、そこの治安が悪いって本当か?」

「全く悪くありませんよ。私たちの様な外国人が住むのが不満で、そう言触らす連中がいるだけです」

案の定、俺の予想は的中した。


(410字)
タイトルは、たらはかに(田原にか)さまの企画からお借りしました。この企画には「ラーメン部骨伝導――その理念」で参加しています。

この作品に興味を持たれた方は、マガジンもチェックしてみてください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?