見出し画像

改行後の字下げについて(私見)

小説の書き方についての本を図書館でチラッと読み、モヤモヤしているので、ここに私の意見を書きます。端的に言うと「改行の後に字下げをしなければならない」という小説を書く際のルールに異議があります。

まず結論を述べましょう。あくまで私個人の意見で、世の中の多数派の意見ではありません。

  1. 小説執筆において、改行後の字下げを行うべきかは、小説を発表する媒体に依存する

  2. 例えば、製本して文学フリマなどで販売する際や、カクヨムなどの小説専門サイトで発表する際は、字下げを行うべきである

  3. しかし、note.com で小説を発表する際は字下げするべきではない

以上の3つが私の主張です。

そもそも、なぜ字下げをするのか?

主張の理由を説明する準備として、小説執筆において改行後に字下げをする理由を確認しておきます。文章のまとまりを表す単位として、文(センテンス)、段落(パラグラフ)、節(セクション)、章(チャプター)などがあったことを思い出してください。その中で特に、段落という単位に注目します。

小説を始めとした書籍において、この段落というまとまりは、字下げから始まり改行で終わります。原稿用紙に文章を書く時には、このようにして段落を表すことは、小学校や中学校の授業で習ったことでしょう。

小説執筆において「改行後は字下げをする」というルールは、日本語の文章一般における段落を提示するルールの援用だと考えられます。つまり重要なのは「改行後に字下げをする」という形式的な行為ではなくて、段落、すなわちパラグラフという文章の構成単位の方です。

マークアップ言語

実を言うと文章の構成単位には、段落だけではなく、箇条書きや引用、見出し、ルビなど様々なものがあります。マークアップ言語とは、コンピュータを使って文書を作成するときに、これらの文章の構成単位を明示するための仕組みです。最も代表的なマークアップ言語はHTMLです。実はnoteのエディタ機能にも、マークアップ言語の仕組みが取り入れられています。

もう少し詳しく知りたい人のためにリンクを貼っておきましょう。マークアップ言語については、Wikipediaの記事の冒頭をサラッと見ればHTMLの具体例と共に雰囲気が伝わると思います。noteのエディタ機能に使われているマークアップ言語については、公式のヘルプが分かり易いです。

note における段落の扱い方

では、noteのエディタ機能が採用しているマークアップ言語では、段落をどのように表しているのでしょうか?公式のヘルプでは、

❶段落を変えたい文の文末にカーソルをおく
❷[Enter] を2回押すと段落が変わります

noteヘルプセンター「テキストを改行する・段落を変える」

と説明されています。つまり、noteのエディタ機能において段落を変えたい場合は以下のように記述します。

一つ目の段落です。この文で段落を変えたいと思います。
 
二つ目の段落が始まりました。

エディタ機能で表示される見た目では、段落と段落の間に1つ空行が入る形になります。

そして、このようにして区切った段落は、字下げで始まらないのです。字下げされない代わりに、段落の間は行間が少し広くなります。

文章を構成する単位として段落があり、noteでは段落の表現に字下げを採用していない。これが「noteで小説を書く時には、改行後に字下げをしてはならない」と私が主張する理由です。

ちなみにカクヨムのエディタ機能も確認しましたが、そこでは段落を字下げで表現していました。このように発表する媒体が、段落を字下げで表現している場合は、”改行後の字下げ”をするべきなのです。

まとめ

以上の議論は、HTMLやTeXを勉強した人や、Markdownを日常的に使っている人には自然に思える話です。

しかしながらnoteの小説を読むと、マークアップ言語の考え方を完全に無視した書き方をしている人を散見するので、ここに書いてみました。

おそらく、この話題は組版の知識がある人とない人の間で、しばらく論争になることでしょう。「どちらに従えばいいのか?」と不安になる方もおられるでしょうが、些末な問題なので一人一人の好みの問題と捉えるのが宜しいかと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?