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ラーメン部骨伝導――新入部員

「今日はお店の取材をして下さるという事なので、料金は無料です。好きなものを召し上がってください」

その言葉を聞いて私は酷く恐縮する。今日はSNSと動画で、とある中華料理店を宣伝するため、その取材に訪れていたのだ。この中華料理屋は、商店街に事務所があるITベンチャーの出前を良く受けていた。

取り敢えず気になることが一つ。私の向かい側に座っている、常連客の女性。この店について色々と紹介してくれるらしい。彼女のイヤホンから洩れている音が、ラーメンを啜る音に聞こえるのだけど、気のせいだろうか?

「あの商店街って雰囲気が素敵ですよね!あたしも凄い迷ったんです。不動産屋さんも、とっても治安が良いって言ってくれてたし」

「あの、すみません。そのイヤホンは?」

「あ、ごめんなさい、あたしったら!だけど骨伝導イヤホンだから、周りの音もちゃんと聞こえるんですよ」

詳しく聞いてみると、ラーメン部骨伝導という人たちの影響で始めたとのことだった。


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タイトルは、たらはかに(田原にか)さまの企画からお借りしました。この企画には「ラーメン部骨伝導――その理念」で参加しています。

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