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建設の頓珍漢⑤【毎週ショートショートnote裏お題】

ニシンのカレー煮の缶詰を貰った日の夕方、私はDLF社の事務所を訪ねていた。

そこで働くコンサルタントの加藤さんが、商店街の振興について無料で相談に乗ってくれる。私がSNSや動画で商店街の情報発信をやっているのも、全て加藤さんの助言からだ。ためになることを色々と提案してくれるのにも関わらず、加藤さん自身は「世間話のようなものだから」と気さくな感じで報酬を断っている。

そしてまた今日も階段を上がった所で、何もないコンクリートの壁が待っていた。

目立つ場所にある階段は間違って取り付けられたもので、ずっと分かりにくい場所に本当の入り口がある。偽物の入り口は本物の入り口と見かけも似ているから、よく間違えてしまうのだ。

一度上った階段を引き返して、本物の入り口から加藤さんの事務所に向かう。今日も和やかに迎えてくれた加藤さんの口から、私は衝撃的な話を耳にした。

再開発計画が持ち上がり、商店街のある一帯が取り壊されてしまうというのだ。


(410字)
作品タイトルは、たらはかに(田原にか)さまの企画からお借りしました。

この作品は独立したショートショートと考えにくいので、#毎週ショートショートnote のタグ付けは自粛しています。

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余談

今回は、建設の頓珍漢①の再開発計画の噂の出処の話でした。DLF加藤→トウコさん→水島菫さん、という流れで伝わったという設定です。一応、過去の話である事を示す表現を入れたものの、時系列シャッフルは分かりにくかったなと反省しています。

長編としては、トウコさんの臨場感のある語りで、再開発計画は水島菫さんの勘違いという説が消えました。また、今週の話で以下のことが明らかになっています。

  • DLF加藤は正体不明の大物

  • 再開発計画の黒幕(の少なくとも一人)はDLF加藤

DLF加藤さんは、これから悪役として大活躍される予定です。

江口夏実先生(アニメ『鬼灯の冷徹』の原作者)の最新作『出禁のモグラ』4巻30話にて、「せめて若いイケメンのボスくらいいねぇと」ファンがつかないと書かれていたので、加藤さんには頑張っていただきます。

あと最近、コミカルで明るい話の方が評判が良いことに気が付いてきました。つまり、上で書いたような話は人気が出ないということですね。以上のことを踏まえつつ来週も頑張りたいと思います。

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