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自分のお金を使って良かった話

まちづくりの活動をしている中では色んな壁にぶつかることがありますが、そのうちのひとつは予算とか出費が関係することです。
自分の身銭を切るべきときには切るほうが結果的に楽に物事が進み、それによって得る対価も大きいことがあると思います。

身銭を切るから身に付く

私がまちづくりに関わる中で初めて身銭を切ったのは藍建(あいだて)講習でした。藍建とは藍染めの液を作ることで、昔の紺屋さんは一子相伝といって亡くなる前に自分の子ひとりにだけ作り方や管理を伝授するものだったらしく、特に10年前頃は教えてくれるところが限られていたのと、ネット上の情報は本当かどうか怪しいものも混ざっている状態でした。
その藍建講習に私は身銭を切っていましたが、一緒に習ったほかの方たちは市からの予算で受けていたので身銭を切っておらず、むしろバイト代をもらって受講していました。
身銭を切ったことで私なりに真剣に学ぶことができたし、結局自分だけがそのまま工房に残っているのでちゃんと学んで良かったです。
タダで得ようとすると一見お得なようですが結果的に損なこともあるということで、それは教える側にも言えるようでした。せっかく教えても相手の身にならず、残念な結果になることがあったそうで、そのために料金を設定しているそうでした。

真剣な人と学べるから学びの質が高くなる

木下斉さんの本やnoteなどなどいろんなところで言われていますが、無料のものにはろくな人材が集まらないということです。
真剣身のない人ばかりが数として集まったところで質の低下に繋がりますし、ほしい結果も出せないのです。行政等が主催するWSやセミナー、視察など、どれも少しでも良いから有料にすることで暇つぶしの人たちをふるいにかけることが出来る、ということなのです。それは私もそう思います。
同じ理由で私が受講した「わたしたちの月3万円ビジネス」も、ほとんどが行政や商工会議所の予算でまかなっているし、実際は全てまかなえるのでしょうけど、ある程度真剣なひとだけが参加するように参加費がかかります。
有料講座にしてもらうことで、参加する側としても切磋琢磨の質の水準が上がることにもつながり、受講者にとっても良いことです。
ただ、もちろん有料なら信頼できるというわけではないので、変な講座やセミナーに多額のお金を出さないように気をつけてくださいね!

自費で自主開催するから自由にできる

いくつかありますが、ひとつはNPOのイベントにボランティアを導入したときのボランティアさんたちのお昼代に身銭を切りました。
多くの団体にいえると思いますが私もNPOを通すとどうしても面倒な会議に時間を割くことになる上、採択されないで終わってしまうもので、完全に無駄な時間と労力を費やすことになります。2年もそれを繰り返してしまいました。
3年目は学習し、NPOとは切り離して私が個人的にボランティアを集めることにして、ボランティアのお昼代についても面倒な話し合いの時間をカットするために個人で担って解決しました。といっても大した額の負担はしていませんし、結果、このボランティアをきっかけにそれ以降も色々と協力してくれる方と知り合うことができてすごく良かったです。お昼は地元の個人商店を使っていただけるように初回は券にして、次の年はもうみんな意図を分かってくださる方たちだったので口頭で「なるべく地元の個人商店でね」と伝えただけでした。
毎年人手不足でお昼を食べられずにいたメンバーは、ボランティアのお陰でお昼休憩を取ることができたと喜んでくれて、わざわざ休憩時間にそれを伝えに来てくれました。喜んでもらえて良かったです♪

もうひとつは場所代です。
私が担当している藍染体験工房にはレンタルスペースが併設されています。昭和初期の日本建築である母屋と元被服工場跡です。
レンタル料は大した額ではないのですが、これを無料で使いたがる人というのは結構いるのです。または自分の権限で知り合いに無料で使わせたいという人が必ず現れます。そういった人に限ってNPOの会議にちょっと顔を出して一言自分からお願いするということはしないものです。
ただ言えるのは、NPO主催として無料になっても何も良いことはありません。細かい規定と不自由なことが増えるだけです。少なくとも私はそう感じました。その場を無料で借りて発生した出店料やマージンはNPOへ流れることになりますし、なにより表向きではNPOが企画の主催になるので窓口が自分ではなくなり、その後の広がりがないのです。自分に紐づけられないということです。

コロナ禍でいよいよ稼働率が悪くなったことをきっかけに、私は仲間と自分でお金を出して牧禎舎を借りてみることにしました。2020年7月から月に一度ちいさなイベントを開催しています。それが「ちいさな日曜日」です。

自分で借りると言っても私は藍染体験工房があるので、出店者を何名か集めてそれぞれから出店料をいただいています。最初の申し込み時に自分のお金を払うものの、そのあと出店料で返ってきます。
結果、無料で場所を借りて、決して多くはないけどちょうど良いくらいの人たちが来てくれて、2年以上続けることで顔見知りもずいぶん増えたし、お会いするのを楽しみにしている方たちが身の回りに増えました。続けていけることに感謝です。お陰様で牧禎舎の認知度も上がった実感があります。

こうした身銭を切ることは当然のことなのでしょうけど、埼玉県の片田舎ではまだまだだと思います。
少額でも自分のお金を出すと思うと、どうしたら回収できるか考えると思うので、それが確実に自分のためにもなるのだと思います。
ちなみに牧禎舎の母屋は1Fだけなら1日2000円です。まずは自主企画で借りて実践してみてはどうでしょう!

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