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『源氏物語』の感想記事に対して感想コメントを色々書きたくて怪文書記事にしました③

序文と私信

noteで、足しげくお邪魔させてもらってる書き手の傘籤さんが、年明け頃から折に触れ『源氏物語』の現代語訳を初めて読んでみた感想記事を書いて下さっていて、ずっと楽しみにしていました
この度、シリーズの完結編にあたる宇治十帖を読了された感想記事を上がったので、そりゃあ大喜びで拝見したんです

そして、これまでの傘籤さん『源氏物語』記事に対してやらかしているのですが、どうしてもコメントをいっぱい書きたいので、先方の記事コメント欄に書かずに自分ちの記事にぶち込んで書く、ということを過去二回やりました 
そして今回もやります、いつもすいません
推しと推しがコラボしてる記事なので、どうあっても色々と書き込みたくてやっております
あくまでこの記事は、本来は先方の記事のコメント欄に記入すべき内容で、私信に近いので、どなたにも読んで頂くには適さない内容です
閲覧にはご注意ください

傘籤さん、まずは読了お疲れ様です🍵
終始とても楽しく『源氏物語』に馴染んでる人間からすると新鮮であり発見もあり、『源氏物語』の関連書籍の感想も楽しく(特に『週間光源氏』!)本体だけでなく関連書籍も好きな人間からすると、とても嬉しかったです 
本体の感想と、関連書籍を併せて読み込まれているので、傘籤さんの中でどんどんあの世界の解像度が上がって“傘籤源氏”が結ばれてるんだな~と感じました
そしてコミカルでライトな、率直なリアクションも、とても好きです
薫君と匂宮に「なんじゃこいつら」ってゆって下さって、それですそれ! とニヤニヤしました
『宇治十帖』は個人的には嫌いではありませんが、この帖の感想を考えていると文句とか悪口がどうしても多くなっちゃうんですよね
そして、光源氏のデカい存在とスター性、そしてその喪失を感じます
また、今の時代にも通じる末法思想(釈迦入滅後の時代に教義だけが残り真の修行も悟りも得られないとされる「昔は良かったよね…」みたいな思想)も感じますね
「昔は良かったよね…」ってずっと昔から言われて来たんだろうなって事も合わせて面白いなと思います
そして読み終えてみると、また新たに初めから、懐かしむように読み返したくなりますよね
何と言うか…ドラクエをもっかいやるような感じで
「よくぞ来た! ロトの血を引きしものよ!」
って久しぶりに王様に言われて、これこれ! って思うような感じで「いづれの御時にか…」って語り初めを、懐かしく嬉しく読めるんですよね…

そう言えば、ドラクエって(ナンバリングが若い頃は)血統が紡がれていく過程を辿る物語でした
それも源氏物語とリンクする気がしますし、以前の傘籤さんのご指摘にもドラクエ5が上がってましたね
源氏物語は現代のゲームの世界にも影響をおよぼしているのかも知れません

そして、『源氏物語』の魅力って何なのか
この物語が語りたかったことって何なのか
それは凄く難しく、面白い問題です
小説でも映画でもゲームでも、オールタイムベストって、決めるのが凄く難しくて、その日の気分とか体調とかで変わってしまうように、それこそ決めなくてもいい、いつも変わるし解釈が増えるし、人によっても違う、だからこそ語り合うのが楽しい、人の感想や思い入れを聞けるのが楽しい、要素の深い、深すぎる、溺れがいのある沼のような物語ですよね!
ですので、もしまた何か、新たな現代語訳を読まれたり関連書籍に触れたりしたら、是非ともお話を伺いたいです、お待ちしてます!
自分も手持ちの関連書籍の紹介感想記事なんかもやってみたいですし、以前、お問い合わせ頂いた現代語訳のご紹介なんかもやりたいです その際は見て頂けたら嬉しいです

ここからは通称“光君メモ”あるいは怪文書へのリアクションコーナーです
所々話が長くなってます、すいません



【匂宮】

紫の上が心を込めて育ててたあの子が!
大きくなったな~って謎に親戚の子のように感じます

〉主役は中将の薫くんに。若いのに達観した性格。結構好きかも。

そうなんですね! 自分が初見で読んだ時は、わりとすぐイライラしました! 愛されて当たり前で、しかもそれを(いつかする出家のためには)ちょっと邪魔にも感じてますよね 

・新キャラ多数登場。そんないっぺんに紹介されても覚えらんないって!

そう、不思議とこの辺の羅列の仕方は、本編と比べて文体が違う感じしますね
執筆者が別説あるのも、ちょっと分かります
本編の執筆から時間が経っていて文体が変わったか、或いは“製品版”ではなくまだ草稿の段階のものが流出しちゃったのかも、と勝手に妄想してます

【紅梅】

〉てか今更だけど、この人たち、血縁的にずいぶん近しい人同士で恋愛してるよね

血縁の近さというよりは、身分階級的に遠い相手は選び難かったから、いきおいそうなった、という側面もあるかもです
近代までのヨーロッパの王室がみんな縁戚関係にあったような感じかも

〉匂宮は薫くんに比べて好色なご様子。デスノートのニアとメロみたいなもんか(違う)

これは違わないですね! それです!
分かりますぞ! Lの継承者が下位互換2人!
まさにそれですわ、小畑健さんに宇治十帖のコミカライズして欲しいですね!
ヒリヒリジリジリする、神経質な心理戦みたいな恋愛模様、描いて欲しいですね!

【竹河】

〉紫式部が伝聞っぽく合間の話を書いたってこと? それとも実際に誰かの二次創作ってこと?

これについてはほんとに諸説ありますね…
いや、源氏物語は全体的に読み解きも含めて諸説ありますが!
二次創作だったとしたら、宇治はアンソロジーもしくはリレー小説だったりしたら面白いというか、そうだったらいいなーって思うこともあります 強火のファンの力が集結した感

〉『源氏物語』に出てくる姫君の中で一番和歌が好きな人って誰なんだろう

この一文すごく面白いです!
和歌が巧みな女君はよく論じられてるし、作中でも光君が寸評してたりしますが、“好き”となるとこれまでに無い視点だなあと思います、傘籤さんの記事はこれだからおもしろいんです!
作中で詠むことを楽しんでる印象が強いのは、源典侍でしょうか
ちゃんとエロい和歌なのが面白いし技巧も深いってのがいいっすね
夕顔の仕掛けや含みの多い和歌もいいですね、光君を誘うのにも成功してるし、詠み合いの勝負にも勝ってる感あります
でも近江ちゃんも、末摘ちゃんも、キャラ立ちが良くてすごく好きです

〉お話というより出来事の箇条書きみたいな帖。ごめん式部。ごめん玉鬘ちゃん。

うん、分かります…前の帖のところにも書いちゃいましたが、草案流出説もありうると思います
あと、髭黒と結ばれたばかりの頃はあんなに鬱々していた玉鬘ちゃんが「殿がご存命だった頃が懐かしい」って言っているのは、すごく複雑な気持ちになります
変わったねっていうのと、髭黒との結婚は幸せだったんだねっていうのと、どちらとも解釈できるから


《『愛する源氏物語』の感想》

こちらいい本ですよね~(*´∀`)♪
ほんとに面白いし、他に無い内容で、源氏物語本体が未読でも分かりやすいし、源氏物語好きが聞きたい話に溢れてますよね
女君への感想もいいですが、男性の詠んだ和歌で人物像を掘り下げてくれてるのもいいですね
どうしても、源氏物語は女君を論じることになりがちだから、男性キャラに着目してくれてるのはありがたいし面白い
和歌を読み解けなかったり、読み違えてしまったり、そんなところにも物語が潜んでいたんだって解像度が加速する読書体験ができますし、俵万智さんの現代語訳の和歌がまたいいですよね~
あと瀬戸内寂聴さんとの対談で、お二人とも朧月夜推しなのがめっちゃいいです! 朧月夜の和歌の解説も訳もすごく気合いが入ってらっしゃるのを感じます

〉どんな「紙」を使って和歌を詠んだかも重要だったらしい
紙と、あとその色合いと、何を添えたり結んだりしているかとか、和歌の演出一つ取っても様々な要素があるんだと分かりますよね
自分が特に好きなのは、女三ノ宮が(今夜は行かないです)って光君が送ったのに対して“あざやかな紅の薄手の鳥ノ子紙”に“春の淡雪”の和歌で返歌をしたところですね(乳母の代筆説も含めて)好きです
あと、和菓子っぽくて好きです お腹空いてきました

【橋姫】

〉薫くんは柏木とか光君とか女三の宮とか、親のことを考えたり、懐かしむことほとんどないよね

こういうところ、まだ若いというか、幼いって印象を受けますよね
あと、大君と中の君の父である八の宮が不運過ぎて不憫です
かつての弘徽殿大后の勢力に取り込まれて、冷泉帝が東宮だったところにすげ替えられそうになったけど、それが上手く行かなくて、めっちゃ割りを食ってるのが、可哀想なような、政治センスが無いというべきなのか

【椎本】

〉上で言ってることと矛盾してんじゃん八の宮

とても辛辣に書いてしまうと、大局的な物の見方が出来ないし、その場その場で自分が喋ることに精一杯で、整合性がないことに自覚がない人なんじゃないでしょうか
だから、大君も中の君も、真面目に遺言なんか聞かなくていいと思います そんなに考えが深くないんだろうし

【総角】 

〉大君は立場とかいろいろあるんだろうけど、気分悪くなるくらい考えるのは精神的にも良くないから、もう少し気楽に生きて欲しい

それが出来ないんですよね…こう、下にきょうだいがいるお姉ちゃんってもんは、親が居なかったらよけい、親のかわりにならないと思い詰めるもんなんだと思います
『となりのトトロ』のサツキとかそうじゃないですか…( ;∀;)

【早蕨】


〉匂宮が薫くんのこと励ましてる。いい奴じゃん

二人とも頼りないところありますけど、根本的には悪人じゃないし、人が良くて無邪気(子供っぽい)なあとも思いますね
でも、薫君が社会的な父の光君みたいな経済的支援を中の君にしてるのがわりと、おっ! って思います
似てるところもあるんだなって

【宿木】

薫君が妻の身分で選り好みしてるのが、おうおう! おめー実父にそっくりやな! って因縁つけたくなります!

〉「藤壺の女御」という名前の人が出てきたけど、光君の母親とは別の人だよね? ややこしい……。

女御呼びされるのは、いま帝の地位にある人の女御だけなので、今上帝の藤壺の女御、ですね
ちなみにこの時点での明石の中宮の局は弘徽殿らしいですよね 何たる顛末だろう

【東屋】

〉みんなすごい長髪のイメージだけど、どれくらい長かったんだろ

『大鏡』の中に出てくる宣耀殿の女御は、牛車に乗った後も建物内にまだ髪が残っていたという逸話がありますね 恐らく誇張なんでしょうが、すごく神話のようで素敵です

〉切るときは何センチ以上切っちゃダメとか決まりがあったのかな。

決まりがあったかどうかは分かりませんが、髪を切るのに縁起が良い日を占わせたりするシーンはありましたね、光君がまだ若くて、紫の上がまだ小さかった頃に…懐かしいですね

【浮舟】

〉うつくしい男女がいっしょに添い寝している絵を描く匂宮

光君も絵を描くのが堪能で、それが権威を高めるきっかけになったことも思い出されますね さすが孫です
でもその前段階で“声すら立てられないようにして”強引に契ったことを考えると、凄い官能的です 絵ってほぼ春画だったのでは

【蜻蛉】

〉みんな不幸にしかなってないような(特に姫君たちが)。もっと明るい話もくれ

宇治の物語は、ずっとこんなんですよね
何と言うか、面白いけど読者ウケは良くないですね
でも、紫式部がそういうウケとか度外視して、自分の書きたいものを追及するとこうなった、と解釈すると、とてもネガティブなイメージの彼女の創作として凄くイメージに合う気がしてます

【手習】

〉碁に自信のある少将の尼をいとも簡単に倒し圧倒的な強さを見せる浮舟

書も和歌も絵も楽器の演奏も、浮舟は素養がなかったのに、急に碁が強いのって何なんって思いますよね、でも、いいシーンです 
そのあと、中将を避けるためにすごいおばあちゃん尼の部屋に逃げ込むところとか、そのいびきがすごいとか、どこかのどかで笑わせに来てるところも、好きです

〉急に囲碁対決が始まってほっこり。この部分好きだから誰かスピンオフ書いて。タイトルは『棋聖浮舟』で

ここを掘り下げるとしたら、いつの間にか出家して尼になってたけど相変わらず双六好きな近江の尼とかが、次は双六やりましょう! すごろくすごろく! って言って陽キャパワーで大暴れするのどうですかね

【夢浮橋】

〉小さな男の子に手紙を渡し、仲介を頼む。遠いむかし光君も同じようなことをやってたな

こういう、昔の帖を意図的に思い出させる構造にしているの楽しい、というには、すでに終わりが近づいてるんですよね

〉『源氏物語』を書いてくれてありがとう式部

ほんとにそうですね、そしてこうまで傘籤さんが熱心に読んで感想をめちゃくちゃ書いてくれて、きっと嬉しいと思います! 自分も読めて嬉しいです
書いて下さってありがとうございます!

たびたび、怪文書記事を作成させて頂きまして、めっちゃ楽しかったです
長々と読んで頂きましたことも、ありがとうございました!

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