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改めて調べて分かった任天堂の凄さのお話

ちょっと気になる発言というかあまりにもバカバカしい発言を見かけたので諸々調べた結果の上で書いてます。公平性がとれているかどうかでいうと怪しい部分もありますがなるべく客観的に見て考えて書いたつもりです。

そもそもの発端

9月22日にYAHOOに掲載されてその日ちょっとバズって問題になった記事です。

この記事内で書かれたことは。

・3Dコンテンツは流行らなかったしユーザーにも響かなかった

・販売タイミングが悪かった

・高くて買いにくかった

・Wii Uがコケたからよくなかった


ということで、全部が全部間違っているとも言えないまでも、特段なんらかのデータを提示するわけでもなく、悪い言い方をすればライターのイメージで書かれた記事という捉え方でした。

で、とあるTwitterユーザーがこの記事を引き合いに出して次のような見解を述べていました。

・3DSは失敗作である

・たとえ、数千万台売れようが赤字を出した以上は失敗である。

・ハードの赤字をソフトで防ぎきれなかったでないと赤字決算になるわけがない。経営は赤字出した時点で負け

・なので3DSを成功扱いするのはダメ

・『なんでもかんでも3Dにすれば受けるだろうと』と客を舐めていた。

3D問題に関しては最後に回しますがほぼ原文ママです。ここまでを踏まえた上でこの先を述べていきたいと思います。

客観的な事実

・そもそもハード事業は利益が元々少ない

・3DSの最初の希望小売価格は25000円で2012年に15000円に値下げ

・任天堂3DSシリーズの全世界累計販売数は約7500万台

・その内、国内販売数は約2500万台

・国内販売での最大数は2012年の約560万台

・大ヒットとなった『妖怪ウォッチ』『モンスターハンター3G』発売は2013年

・記事中で焦点を当てているのは2011年から2013年ごろ

・2011年から2014年まで3期連続で任天堂の決算は赤字

個人的な見解

まず、これはゲーム業界の大前提としてのお話としてハード事業というのは原則的には利益はほぼ無いといっていいレベルで流通のやり方などで下手をすれば赤字レベルの商品です。

正直ハードの利益というのは少ないです。これは噂レベルとかじゃなくて僕が実際に量販店で仕入れ処理してたので間違いないですしSEGAのハード事業撤退の理由もこれです。これは内緒の話とかではなくてある程度知られている事実です。

それにプラスして2011年は東日本大震災など国難級の災害があったりして経済成長そのものが下落傾向、貿易も極端な円高で赤字。景気そのものが冷え込んだ年度でした。
そのなかで3DSの初年度の国内累計販売数は約410万台を売り上げています。そして翌年の2013年には年間販売数として最多の約560万台の売り上げを記録します。これは年末から翌年以降に発売されるビッグタイトルへの期待感と本体価格の大幅な値下げを敢行した成果と言えますがその値下げを行った分単純な売上高は減少してしまいます。具体的には前年の2割減。
任天堂はこのことについて赤字の理由は『値下げによるもの』と発表しました。しかしながらこの値下げによる赤字は当然会社としては織り込み済みの話であり、この値下げにより本体の普及率はさらに加速していくことになります。

この辺のもう少し突っ込んだ内容はこの記事に詳しく書かれていて内容を超要約すると赤字になった理由については

『DSが売れたから強気の数字で売れることを想定してて、売れてないわけじゃないけどちょっと強気すぎたね。地震とかもあったし。なので下方修正するね。あっ赤字になったのは本体値下げしたからでこれは中長期的には解消するからね。』
というもの。

2012年以降の赤字決算に関しては3DSが、というよりはむしろ『Wii U』
の不振によるところが大きくてWii Uは2015年の『スプラトゥーン』と『スーパーマリオメーカー』のヒットまでは予想を大きく下回るほどの低調だった(とはいえWiiU自体はそれでも国内330万台、世界で1300万台売っているけど)

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(上記は国内販売累計の推移グラフ)

国内ゲーム業界そのものをけん引した3DS

ちなみに2013年~2017年までの国内での年度毎のゲームソフト売上本数に関して言及をすると、この間5年の間において年間売り上げ第一位だったのはすべて3DS用のソフト(細かく言うと2011年も2012年はDSソフト)でつまり国内ゲーム市場を引っ張っていったのは疑うことなく3DSひいては任天堂だったいうことになります。

特に圧巻なのが2013年と2014年で

2013年はソフト累計総売り上げが2083万本でシェア率は55%

売上本数トップ10のうち1~7位までを3DSソフトが独占してさらに

そのうちの6本がミリオンセールスを記録。

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2014年はソフト累計総売り上げが2060万本シェア率は何と59.7%

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この年は空前の『妖怪ウォッチ』ブームでした。

(※ちなみにこれはあくまでも一般論ですがゲーム制作の際の予算は約10億円開発期間は3年程度が目安と言われておりペイラインは約10万本と言われています)

実は短い赤字期間

さて冒頭でとある人がこう言っていました

『赤字がある商品は失敗である』

『赤字を出した会社は負けである』

確かにこの考え方自体が完全に間違っているとは言いません。

むしろある面では正解です。ではその正解の面というのはなにかというと

対象が小規模や個人で運営しているビジネス

です。このケースだと赤字=倒産は成り立ちます。けどそれでも

数か月や数年は持ちこたえることもできます。

そもそも商いってのは勝った負けたで図るようなもんですらないのですが、

ましてや任天堂なんて言う『無借金の企業価値が国内トップレベル』の会社がちょっとくらい赤字出したとことでいきなりなくなったりするわけがないんです。ちなみに下記のグラフは任天堂の経営状況の推移を表してるグラフです。

ダウンロード

ちょっと見にくいので元のリンクも張っときます

これを見てもらったらわかるんですけど確かに赤字に転落してはいるものの前後の利益を見てもらったらそんな簡単に傾くような会社じゃないことが

一目でわかると思いますし実質マイナスに転じているのは2012年と2014年

で総売上高はそんなに落ち込んでいないこともわかります。

ちなみに2006年から2009年にかけてのグラフの伸びが異常なのはこの間で

400万本級のソフトが何発も出ているからです。

赤字の理由はこれくらい大きな会社組織になると色々な要素を含みます。

原油価格や地代プロモーション費や人件費、円高になれば海外からの

部品の仕入れ値も上がったりします。そういう諸々を無視しておいて冒頭のようなイメージやどうでもいい事実を持ち出して

3DSは失敗したハードだ!

なんて騒ぐのはめっちゃおかしいよねっていうのが今回言いたかったことです。

最後に3D機能について

確かに3D機能はあまり必要ではないし要るか要らないかでいったら

まぁ個人的にも要らないと思います(個人的には2DSLLを使用してたり)。ただここで考えてほしいのはDSには他にもAR機能も付いてたりしましたしDSの後継機としての要素も必要だったそういった思惑の中で採用されたのが3Dという技術であってお客様を舐めた態度なんかでまして搭載なんかしないと僕は思いますし、任天堂がそんな会社ならこんなに大きくなってもいないと思いますよ。

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