ヤマネぱにぱに【散文現代詩】
ものとものはただそれだけで引かれ合う。つまり互いに近づこうとする力が働くらしいのです。それを疑うのはヤマネぱにぱにでした。
分子間力(ファンデルワールス力)をミックスジュースにして、パフェをこしらえます。
豆腐はしばしば豆腐のかどに頭をぶつけてスターダストシンフォニー(無調音楽)を奏でていますが、それを一旦やめさせて、クワトロフォルマッジを与えます。ぱにぱにぱにぱに、ぱにぱにぱにぱに……という音が伸び、やがて減衰しますが、それはヤマネによる連弾でした。
クッションの上で背筋を伸ばしている、ハイデガーと名付けられたシロフクロウは、窓外の鉄の塊が、黒く丸い何かの回転によって動いていることを悟ります。
前脚で小さな扇風機を持ちながら動く何かは、恒温動物であり、その意味では仲間なのだとも気づいています。甘いだけのふくれ塩をひとつまみふりかけて、バロンダンサーのステップが解体されます。そこで響くのが、時間の外側に浮遊するアメンボの無音滑走です。
心地よく繰り返される無調音楽はこの惑星の二酸化炭素を吸い取る、それを接続法三式で記します。
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