(中級)外国人枠ってなに?

巨人は春季キャンプ真っ只中。そんな中こんな記事が出ていました。

今期の巨人の外国人枠についての記事です。今年はビエイラや育成のモタが1軍キャンプでアピールしており、外国人枠の使い方が悩ましい状態になっています。

今回は2020年時点でのルールで外国人枠がどんなものかの解説記事を書きたいと思います。

外国人枠とは

2020年現在は支配下登録している選手の中での外国人選手の数に制限はありません。しかし公式戦の出場が可能な選手にはチームで投手・野手を合わせて合計4人そして、それぞれの区分での最大人数は3人と決められています。

つまり、投手と野手それぞれ2人ずつか、投手もしくは野手を3人ともう一つの区分で1人の組み合わせしかないのです。

上記の記事を補足すると、巨人は現在支配下選手(背番号が二桁以下です)はデラロサ、サンチェス、メルセデス、ビエイラ、パーラの5人。育成選手としてディプラン、ウレーニャ、ラモス、モタの4人と契約をしています。

支配下人数に余裕があれば育成契約から支配下契約に切り替えるのは可能ですが、最大で4人しか1軍に置いておけないので、たくさん契約すればいいというものではありません。また特に投手では合計6人と契約しており、この中で最大でも3人しか1軍に上げられないため、非常に悩ましい状態です。

"外国人選手"とは

ところで、「外国人」と言っても何がどうなれば外国人なのでしょうか。まだ野球にあまり詳しくない人は混乱してしまうかもしれない記事をあえてここで出します。

昨年までヤクルトでプレーしたバレンティン選手は昨年ソフトバンクに移籍し、今年から日本人枠でのプレーが可能になりました。

ここで言う「外国人」とは、日本国籍を有しない選手のことですが、例外として、いくつかの条件を満たす選手は外国人選手とはみなされず、日本国籍を有する選手と同等の扱いを受けることができます。

その条件は下記です。

①:選手契約締結以前に、日本の中学校・高等学校・短期大学(専門学校を含む)などに通算3年以上在学し、日本に5年以上居住していた者がドラフトで指名を受けた場合。

巨人の陽岱鋼は福岡第一高校から日本ハムにドラフト指名されています。元巨人で昨年西武から戦力外通告を受けましたが廖任磊もこの①の区分です。

②:選手契約締結以前に、日本の大学に継続して4年以上在学し、日本に5年以上居住していた者がドラフトで指名を受けた場合。

この区分はあまり多くないのですが、元ヤクルトでWBCにも出場しているフェルナンデスなどが該当します。

③:選手契約締結以前に、社会人野球チームに通算3年以上在籍し、日本に5年以上居住していた者がドラフトで指名を受けた場合。

調べた限りではこの区分ではカープ、楽天でプレーした玉木しかヒットしませんでした。「社会人野球チームに通算3年以上在籍」と言うのは確かになかなか難しいかもしれないですね。

④:選手契約締結後、日本プロ野球でフリーエージェント(FA)の資格を得た者

今季から日本人扱いになるバレンティンや、DeNAの監督を務めるラミレス、巨人で活躍したローズ、昨年惜しまれつつ引退した元阪神のメッセンジャーなどが該当します。

⑤:①および②の項目で必要年数に達しなかった選手で、プロ野球ドラフト会議の指名を経て選手契約を締結し、それらの学校における在学期間と日本のプロ野球の在籍年数の合計が5年以上経過した者

また、帰化することでも日本人選手としての資格を有することもできます。ヤクルトでプレーしやユウイチが該当します。

つまり、これらの条件を満たさない限り外国人選手は外国人枠の制限を受けるため、1軍の試合に出ることは簡単ではないのです。

その他のルール

外国人枠と少しだけ関連するのが補強期間と言うルールです。

例年7月の末をもって各球団はトレードや新外国人による補強はできなくなります。(戦力外選手は可能)ペナントレースが開幕してからも選手の補強は可能ですが、そのシーズン中にプレーするためには補強期間のうちに契約を済ませる必要があります。

各球団の主な外国人選手

それでは最後に2020年シーズンのセリーグ6球団の外国人選手を見ていきましょう。(すいません、12球団大変で...)

読売ジャイアンツ

オフに長年巨人を支えたマシソン、不振によりゲレーロ、ビヤヌエバ、クック、ヤングマンなど多くの外国人が退団しました。

今季は、昨シーズン中に加入し、主に守護神として活躍したデラロサ。先発として3年目のCCメルセデス。メジャーから新加入のパーラ。昨年は韓国リーグでプレーしたサンチェス。この辺りが主戦力です。

メルセデスがキャンプ中に効き肘の違和感でファームで調整しており、そのため新外国人のビエイラや育成野手のウレーニャ、モタが注目されています。

特にモタは育成選手ながら1軍キャンプに帯同し、OP戦や練習試合などでテスト的に多くの出場機会を与えられています。昨年から「当たればすごい」と言われていたモタですが、昨日はフリー打撃に登板したエース菅野に抑えられるも、唯一の安打性のあたりはバックスクリーンへ。まだ24歳と若く期待の選手です。


広島東洋カープ

日本プロ野球で通算57勝、昨年も11勝のジョンソン。新加入のメジャーリーガー、スコット。同じく新加入のDJジョンソン(ヒゲがすごい)。

カープアカデミー上がりで昨年8勝、フランスア。同じくカープアカデミー出身のモンティージャ。

野手ではカープアカデミー出身のメヒア。ヤンキース、パドレス、フィリーズでプレーした新加入のピレラ。

カープアカデミーがたくさん出てきたので補足します。

カープアカデミーとはドミニカ共和国のサンペドロ・デ・マコリス郊外にある野球アカデミーです。前述した選手のようにここからカープ入りももちろんありますし、メジャーへ入団した例もあります。カープは育成力に定評がありますが、外国人選手の育成でも結果を出していると言うことですね。

阪神タイガース

昨年リリーフを支えたジョンソンとドリスが契約できず退団になった阪神。

まず投手ではプロ3年目呂彦青(ル・イェン チン)、18年に中日で13勝の実績があるガルシア、16年からソフトバンクに在籍しヤクルトでお兄さんも活躍していますスアレス。

野手では昨年加入し活躍したマルテ。

ここに今年は3人の選手を新たに獲得しました。投手ではマイナー経験のみで活躍が未知数なガンケル。野手ではともにメジャー経験のあるボーアとサンズ。

ガルシアが昨年あまり結果が出なかったこともありますし、ジョンソンとドリスが退団し、マルテ、ボーア、サンズの野手陣が目立ちますね。

中日ドラゴンズ

支配下では、投手にロメロ、マルティネス。新外国人のゴンザレス。

マルティネスは昨年クローザーとして活躍しましたが今年はキューバ代表としてペナントへ十分な時間が取れないと予想されています。

野手にはビシエドとアルモンテ。ビシエドは18年の首位打者ですし、アルモンテも日本プロ野球2年での通算打率が3割を超えています。

育成では、投手にブリトー、ロドリゲス。捕手にマルティネス。野手ではシエラ。と4人の選手と契約しています。特に日本プロ野球では捕手登録の外国人はものすごく珍しいです。監督・コーチや各選手とのコミュニケーションが発生しますし日本語は言語の中では難しいとされているので。

東京ヤクルトスワローズ

意外と外国人選手が少なかったのがヤクルト。

支配下では、投手に2年目になるマクガフとスアレス。新加入のイノーアとクック。野手に新加入のエスコバー。(エスコバーと聞くとDeNAの投手を先にイメージしてしまいます)

育成では、投手にジュリアス。

現在ヤクルトの支配下選手は67名でまだ余裕があります。シーズン中の獲得や複数トレードに可能性、また前述したように獲得しても出場できる選手は限られているので、無理に獲得はしてないのでしょう。

また19年のドラフトでは星稜の奥川投手をはじめ高校生と大学生から6選手を指名。助っ人頼りではなく育成からチームを作りたいと言う首脳陣の意向がわかりますね。

横浜DeNAベイスターズ

ラミレス監督の率いるDeNA。

まず支配下では、投手にパットン、エスコバー。この二人は昨シーズンはブルペンを支えました。ここに新加入のピープルズ。

野手では巨人でもプレーし7年連続二桁本塁打、そして守備が上手くゴルデングラブ賞やベストナインにも選ばれているロペス。(一塁手としての1632守備機会連続無失策記録を樹立しています)

2年連続で40本塁打を放ち最多本塁打のタイトルを連取しているソト。

新加入では先日行われた巨人とのOP戦で二打席連続でホームランを打ったオースティン。

育成では、投手にコルデロ、ディアス。野手にデラロサ、

外国人枠の活用が非常に悩ましいのがDeNAです。もしかしたら12球団で一番難しいかもしれません。パットンとエスコバー、ロペスとソト。この4人が主に1軍に登録されていますが、オースティンの打力は魅力的ですし、オフに主砲の筒香がメジャー移籍で退団。OP戦でも結果を出したところを考えると、パットンをファームに降格させて投手1:野手3か。すでに東が今期絶望、上茶谷が不調の投手陣を考えるとパットンを残し、泣く泣くロペスを降格させるか。

最後に

外国人選手と一言に言っても、様々な選手が日本で活躍しています。海を渡って日本でプレーしている外国人選手をぜひ応援してみてはいかがでしょうか。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?