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【なにげに文士劇2024】リレーエッセイ

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筆一本で世にはばかる文士(作家)とその仲間が集結! 130年以上の歴史を持つ文士劇、大阪では実に66年ぶりの旗揚げ公演となる『放課後』。出演者の想いをお届けします!
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なにげに文士劇2024旗揚げ記念連載#3【澤田瞳子】

なにげに文士劇2024旗揚げ記念連載#3【澤田瞳子】

記憶の行き先文:澤田瞳子

 ――えらいことになった。
 最近ほぼ毎日、そう呟いている。言わずと知れた「なにげに文士劇」のことだ。

 今から二十七年前、東京・よみうりホールで日本推理作家協会五十周年記念文士劇「ぼくらの愛した二十面相」が一度だけ上演された。小説を愛する大学生だった私に、四十三人もの作家による舞台は憧れだったが、チケットは何と十分で完売となった。幸いその後BS放送にて舞台の様子が放

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なにげに文士劇2024旗揚げ記念連載#2【一穂ミチ】

なにげに文士劇2024旗揚げ記念連載#2【一穂ミチ】

私信文:一穂ミチ

 文士劇、というものにお誘いいただき、「文士」の部分にも「劇」の部分にもまったく自信がないのだけれど、おもしろそうなので「やります!」と軽率に答えた。去年九月の決起集会では「なるべく台詞のすくない役を……」「木の役を……」と志願するメンバー続出で親近感しかなかった。演目って『与作』でしたっけ。

 そのすぐ後、旅先でトレッキング中に足を挫いてしまった。不幸中の幸いというべきか最

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なにげに文士劇2024旗揚げ記念連載#1【朝井まかて】

なにげに文士劇2024旗揚げ記念連載#1【朝井まかて】

作家たちの「放課後」 
文:朝井まかて

文士劇? 作家による素人芝居のことです。

楽しそう! はい、楽しいです。アホですねえ。はい、アホです。

きっかけは、先輩作家・葉室麟さんのお墓参りに遡る。あの日、東山彰良さんと澤田瞳子さん、そこに髙樹のぶ子さんも加わってくださって墓前で献杯し、場所を移してお茶を飲んでいた。なぜそんな話になったのか記憶が曖昧だけれども、ふと文士劇やりたいなあと呟くと

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