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【連載】ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入門|稲田豊史

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気鋭の映画ライター・稲田豊史さんによる、ドキュメンタリーの観方指南。 ーー皆様はドキュメンタリーと聞いて何を想像するでしょうか。 「行儀が良い」「お勉強みたい」「意識高い系」? … もっと読む
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プロレスとドキュメンタリーに共通する「虚」と「実」~『俺たち文化系プロレスDDT』…

文=稲田豊史 『ビヨンド・ザ・マット』の衝撃  プロレスラーたちの普段の顔を追った米国の…

『チョコレートな人々』|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入門〈語…

文=稲田豊史  配信に降りてこない、DVD化もされないことで知られる「東海テレビドキュメ…

ドキュメンタリーとして観る『水曜日のダウンタウン』(後編)|稲田豊史・ミステリー…

文=稲田豊史 「仕込み」のメタ批評  今回は、TBS系で放映中のバラエティ番組「『水曜日…

『セールスマン』|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入門〈語ってお…

文=稲田豊史 「ダイレクトシネマ・ムーブメントの中核をなす古典的名作」と説明される1本だ…

ドキュメンタリーとして観る『水曜日のダウンタウン』(前編)|稲田豊史・ミステリー…

文=稲田豊史 関与型ドキュメンタリーとしての『水ダウ』 『水曜日のダウンタウン(水ダウ)…

「裸のムラ」|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入門〈語っておきた…

文=稲田豊史 「父」の強い意向のせいで「子」が翻弄され、ときに傷つく。今回の本文で言及し…

【連載 #05】『さようなら全てのエヴァンゲリオン ~庵野秀明の1214日~』|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入門

文=稲田豊史 庵野秀明の奇人性と天才性  メイキングドキュメンタリーというジャンルがある。ある映像作品の監督や制作現場に密着した実録のことだ。大方は「作品の完成」というシンプルなカタルシスが最後に用意されているため、込み入った問題提起からスタートする社会派ドキュメンタリーなどに比べれば、比較的「見やすい」部類に入ると言えるだろう。 『さようなら全てのエヴァンゲリオン ~庵野秀明の1214日』は、2021年3月8日に公開されたアニメーション映画『シン・エヴァンゲリオン劇場

「私のはなし 部落のはなし」|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入…

文=稲田豊史 部落差別の歴史を丁寧に掘り下げながら、実際に被差別部落で育った人たちにその…

【連載 #04】外国人監督が忖度なしで「日本」を撮る|稲田豊史・ミステリーファンに贈…

文=稲田豊史 外国人監督が日本の題材を撮る 観ごたえのあるドキュメンタリーには、はっとす…

『スープとイデオロギー』|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入門〈…

文=稲田豊史 『エンディングノート』が娘が父を撮ったセルフドキュメンタリーなら、『スープ…

【連載 #03】「エンディングノート」|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタ…

文=稲田豊史 他人の家の家族アルバムは退屈か 「セルフドキュメンタリー」というジャンルが…

「Tatsuya Mori TV Works~森達也テレビドキュメンタリー集~」|稲田豊史・ミステリ…

文=稲田豊史 森達也が90年代に制作したTVドキュメンタリー4本が、2021年12月に初DVD化…

【連載 #02】「FAKE」|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入…

文=稲田豊史 既に世間のジャッジは下っている 「題材勝ち」と呼ぶべきドキュメンタリーがあ…

「クナシリ」|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入門〈語っておきたい新作 #01〉

▽過去の連載記事はこちらから 文=稲田豊史 ドキュメンタリーの新規性が「撮影対象のレア度」と「視点の目新しさ」で測られるなら(実際、測られることは多い)、「クナシリ」の新規性はかなり高いと言えるだろう。本作は、今まで実態が知られることのなかった北方領土のひとつ、国後島にがっつりカメラを入れ、それを〝旧ソヴィエト連邦生まれ、フランス在住のドキュメンタリー作家(日本人からすれば目新しい視点の外国人)〟が回した。希少性同士の掛け算としては申し分ない。 その掛け算が何を見せてく