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【刀剣】【福井】一乗谷で朝倉長光写し作刀秘話を聴講

今日は先日1月17日に、一乗谷朝倉氏遺跡資料館で、現在初公開中の「朝倉長光写し」を作刀した刀匠さんの講演会を聞きに行ったお話です^^
この直前に豪雪が来ちゃって、行けるかどうか(そもそも開催されるかどうか)だいぶ不安でしたが、無事に聴講して参りました〜!
正しく、2021年御刀初めでございます。

なんだかんだ昨年後半は、御刀鑑賞の機会にかなり恵まれていたなと思います。
今までnoteで書いて来たものもありますが、書きそびれていたものとしては、やはり大阪の埋忠展

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前期後期の展示どちらも行くことができました。
非常に内容が濃かったので、これだけでnote書けそうなのですが……見所が多すぎて収拾つかなくなりそうなので割愛します。。

めちゃくちゃ美しい山伏国広が拝めたこと、御物の鬼丸国綱に近いとされる天神丸国綱をじっくり見れた事、正宗刀はどれも切れ味が凄そうでちょっとだけ怖かった事、お気に入りの鐔を見つけた事、日光一文字の拵えの注文書などなど……。
いやもっともっともっと本当は色々あるけども! きりがないので!

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埋忠展は図録があったので最初に買いました。
コラボもやっていたので物販はかなり充実していましたね。
図録の背表紙部分、刀の帽子になってるのが素敵です^^ 洒落てる〜!

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コラボのパネルは展示室のある階層ではなく、一階のエントランスにあり、しかも展示見終わってエスカレーターで降りた後の部分に設置してあったので、ぶっちゃけ一回目見に行った時は存在に気がつきませんでした(エレベーターで降りた)
コラボの影響でか、やはり女性のお客さんが多かった印象です。
私も一応ユーザーなので、貰えるものは貰っとけ精神でコラボチケットにしてたりはしますが(笑)

後期の展示見に行った後は、丁度とあるお店の刀剣展示即売会があったので寄せて頂いたのですが、そこは私が居た時間帯は完全に男性のお客さんオンリー……まぁやっぱり全然層が違うんだろうな〜とふんわり思ったりなどしました。

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三井記念美術館での展示にも! こちらは現時点でまだ開催中ですね^^
数時間でお人形含め展示3つ周るというハードなスケジュールだっため、1時間くらいしか滞在できなかったのですが、貴重な御刀沢山見れて本当良かったです^^
刀身のみならず、拵も素晴らしかった……!
日向正宗もキラキラでとっても綺麗だったですし、大好きな一文字の刀が数振りあったのでヒットアンドアウェイで結構時間使いました。
そして加藤国広の強そうな事……。いや、本当もっと居たかったなぁ……。

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そういえば、こちらもコラボされてましたね。
やはりエントランスにパネルがありました^^
時間の都合上物販は全然覗いていないのですが、会場のチケットもぎりのお姉さんの胸にはしっかり日向くん缶バッチが(笑)

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写真左に写っているかと思いますが、スマホのアプリで音声ガイドが聞けるのも特徴でした。感染症の影響で貸出ではなくアプリになったのは結構嬉しい。
私も事前に「聴く美術」をインストールして、音声ガイドを購入して挑みました^^
しかも今回のガイドが声優の関俊彦さん……本当にお耳が潤いました(合掌)
期間中自宅でも聴き返せるのがポイント高いです。

って……まだ、本題入らんのかい!!
と怒られそうなので、2020年いっぱい御刀見れたよって事で本題に入ります。。

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朝倉長光写しの展示は昨年12月より行われておりましたが、仕事やら何やらで年を越してしまったので、折角だから作刀された刀匠さんの講演が聴ける日に行こう!と思い、事前に休暇を取得。
講演は事前予約制でもあったので、メールで予約して参りました。
一乗谷は結構山深いので、豪雪の影響や雪の残り具合が心配ではありましたが、意外とスルッと到着。久々の来訪でした……。

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嬉しい事に、この日は無料開放日^^
と言っても、普段から入館料100円とかなので、全然お金取ってもらって構わないのですが……。。
検温は無かったですが、チェックシートに体調や連絡先を記入し、手指消毒をしてから展示室内へ。
講演開始1時間くらい前に到着していたので、まずは展示品を観に行きました。

朝倉氏遺跡資料館は広いエントランスの一番奥に講堂と展示室があるシンプルな内装です。
展示室内もワンフロア、その一部分を区切って特別展示を行っているようなスタイル。
常設展示は拝見したことがあるのですが、もう一度ざらっと見学。
そして、入口付近にパーテーション等で区切られた一角の特別展へ。

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今回、御刀の展示はメインの朝倉長光写しを含めて4振。
1つのケースに1振なので、ゆったり見れます。
解説シートもかなりしっかりとしたものが無料配布されていました^^
今回は4振なのでシートも4pだったのですが、2019年の秋にあった刀剣メインの展示は数も多く、殆ど図録に近いようなフルカラー12pの冊子が当時無料配布されていたりも……(↑の写真左のもの)
その時の目玉展示が「朝倉藤四郎
もう2年前ですが、朝倉の地で朝倉藤四郎が見れたのは貴重な経験でしたね。
また来てくれないかな~朝倉藤四郎。ぜひ朝倉長光と並んで欲しい。

福井の刀匠、森國清廣さんによる朝倉長光写しは、大き目の独立した展示ケース(専用かな?)に入れられ、360度鑑賞が可能です(長船の山鳥毛の展示ケースのような感じ)
ライティングも綺麗で、しゃがんで下からのぞき込むような感じだと刃文も見やすかったです^^
正面に立つと、壁に掛けられた千手観音が刀の奥に浮かぶ展示方法も素敵!
写真撮影等は明記が全然なかったので遠慮しましたが、可能なら撮りたかったな~。
刀の裏側も、茎の部分に上手く光を当てていたのでよく見えました。
姿を目に焼き付けて、講演に挑みます!

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朝倉長光写しの他には、資料館蔵の無銘の古刀と一乗兼則の脇指、そして朝倉の館跡から発掘された刀が展示されていました。
一乗兼則の鹿の彫り物がある脇差は、展示機会が多いのか数度目の邂逅^^
しかしながら、今回は独立した展示ケースに入れられていたため、今まで見たこと無かった角度や背面も鑑賞する事ができました!
平造で飛び焼きのある皆焼風の刃文に、春日神社の御使である神鹿は特徴的なのですぐに解ります。神主さんの御刀なんですよね。
関から一乗谷に移住してから作刀されたので、越前関と言うのだそう。
この刀一振りで歴史的な経緯が色々と解るので、正に「資料館の御刀」だなぁと^^
やはり御刀は"然るべきところに在る"存在だと思います。

↑の写真の一乗兼則の横に掲載されている黒っぽい刀が、発掘された刀です。
滅亡の際に持ち去られたり、焼失したり、腐蝕しちゃったりで、殆どちゃんと残っていないらしいのですが、唯一この刀だけは白鞘に入ったまま発掘されたため、黒くはなっているけれど完全に刀の形を保っていました。
それだけで、白鞘のパワーが良くわかります……白鞘って本当に大事なのね……。
しかも銘有りの刀で、「一」の字が彫られていました……これは物凄く単純に考えると一文字??
朝倉氏だったら持っててもおかしくないだろうけど、さてはて……綺麗だった頃はどんな姿だったんでしょうね〜……。

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そうこうしている内に時間になったので、展示室を出て向かい側の講堂へ。
いつの間にやら受付が出来ていたので、名乗り出て受付を。
↑の2枚の資料を頂いて講堂に入ります。
1人2席ずつ椅子を使い、ソーシャルディスタンスがばっちり確保されていました。

資料は刀匠さんのプロフィール掲載と質問を書くスペースのあるA4用紙、そして朝倉長光の刀絵図と写しの写真が並べて掲載されたA3用紙です。
A3用紙の裏面には日本刀の作刀工程がプリントされていました。
刀絵図と写しの写真は、原寸プリントではないとはいえ掲載して良いものか解らなかったので、部分だけで。。
しかしこうやって、絵図と作刀された写しとが同じ縮尺で比較出来るのは凄いというか……流石と言うか……。

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森國刀匠のお話は1時間強ほど、主に長光写しをどう再現するか、その難しさや苦労したところなどを具体的に語っておられたので、凄く勉強になりました。

刀絵図はまず大元の原本があって、そこから好きなものを当時写していたらしいんですけど、朝倉長光の刀絵図はなかなか無くて、唯一あったのがこの絵図だったとのこと。
かなり詳細な記録とはいえ、そこはやはりフリーハンドなので表と裏で数ミリの太さズレがあったり、切っ先も表と裏で絶妙にサイズが違うのでどこを狙うべきかなどなど……。
また、長光の作風も時期によって違うので、どの時代のものを参考にすべきかや、地金や刃文も狙って同じに出来るようなものではないので(化学変化や自然現象が引き起こすものを再現するのはまぁ確かに。。)単純な自分の作品とは別の難しさが"写し"の制作にはあるんだなぁというのがよく解りました。
何よりミリ単位で合わせようとしている姿勢が凄い……流石職人さんです。

個人的に一番面白いなと思ったのが、反りの話。
ちょっと欠けたりしただけでも反りが浅くなるというのは驚きました。
ということは、大きめの刀傷がある山鳥毛もそれ以前はもっと反りが深かったのかしら……?

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朝倉長光は銘の部分まで再現されていたので、刀匠さん本人の銘はどこにあるんだろ〜と講演後見てみたら茎部分の棟の所に彫ってありました……。。
そんなに重ねが厚いわけではないので、よく見ないと解らないです。。
そういえば、この重ねの厚さはどうやって決めたのかはちょっと聞いてみたかったのですが、ペン持っていくのを忘れたので質問出来なかったという(白目)

朝倉長光は所謂「小太刀」です。
2尺(約60cm)に満たない、脇差くらいの長さの太刀なんですけど、一体何用に使われていたんだろう? と思ったり。
小太刀術という剣術があるみたいですが、それは実際の小太刀ではなく刀より短い脇差を使って戦うものらしく……映画「たそがれ清兵衛」あたりもそうだったかな?
ともかく、古刀の小太刀はあんまり戦うための刀とは思えないのですよね。
昨年の末に、古刀の小太刀を持たせてもらう機会がありました。
とても軽くて、美しくて、とても人を斬ったり戦ったりしようという気が起きない繊細な印象を受けました。
持たせてくれた方も「儀仗用かな」と仰っていたので、きっとそうなんだろうな〜と。
朝倉長光も、磨り上げではなく元から小太刀として作刀されたという見方が強いらしく、やはり祈るための御刀なんだろうなぁと思います。
写しの朝倉長光は、持ったらどんな感じがするのでしょう。

そんな朝倉長光写しは、現在新しく建設中の資料館の新館でも展示されるとのことです^^
新幹線の車内誌、トランヴェール12月号にも北陸の刀剣特集で掲載がありました。これが結構充実の内容で面白かったです。
流石にこの時期に新幹線は乗ってないので、某フリマサイトで入手しましたが。。
WEBでも全ページ掲載がありました。

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観覧と聴講が終わると16時くらいになってしまっていましたが、雪の白さのせいか、陽が少しずつ高くなり始めてきたせいか、結構外は明るく……。
雪のある時に一乗谷に来る事は殆ど無いので、少しだけ足を延ばして朝倉氏遺跡のシンボル「唐門」を撮影。
この遺跡は日本のポンペイと言われているとかいないとか……。
めちゃくちゃ寒い&雪交じりの雨が降っていたので、速攻で退散しましたが。。

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どんよりと重く、青白い福井の冬の色。
春になると、唐門の脇にある桜の古木が綺麗に咲くので、春に是非来訪して欲しい場所です^^ 秋も紅葉が綺麗。彼岸花も所々に咲きます。
今年はどうなるか解らないけれど、夏にはお祭りも。結構年間通して様々なイベントが開催されているんですよね~。

電柱も殆どなく、疑似的なタイムスリップ気分が味わえる朝倉氏遺跡。
私もまた、カメラを持ってフラリと訪れようと思っています。
やっぱり晴れてる時がいいな……(超寒かった)

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最後におまけで、聴講に行った日の夜に飲んだ話題の本丸時間「月のかけら」を^^
レモン味のお酒ですが、青い色が綺麗!
普段は缶直接で飲んじゃう所ですが、これは注いで楽しむのが良いなと。
お味も甘さ控えめで、金平糖ちょっと入れたところでそんなに変わりませんでした(笑)
まぁアルコールは3%なので、お酒飲み慣れてると殆どジュースですが……。

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三日月が浮かんでるように見えるかな?

……というわけで、今回も長々とお付き合いいただき有難うございました!

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