見出し画像

ちょうどよい

平日の朝の終わり頃、電車は空いていました。窓のそばの席に座っていると、陽光が差し込んできて、わたしは、太陽が燃えているんだねと思い、「太陽の表面温度は六千度と言われています。なぜ、言われている、なのかというと実際に太陽まで行って測ったわけではないからです。地球は太陽から約一億五千万キロのところに位置しています。これは、水が、液体の状態で存在できる程度の気温が長期間維持できる距離なのです。われわれ生命にとって、《地球が太陽からちょうどよい位置にある》と解釈される理由です」という、先生のような台詞を想像します。まさしく今、わたしはちょうどよい位置にいるのです。陽が差す、この席はちょうどよいのです。車窓から見えたグラウンドで、高校生の男の子たちが準備運動をしていました。青いジャージ、等間隔の列。左のひじを伸ばしているところでした。これも、ちょうどよいのでした。この日、お昼には卵焼きを食べました。これも、ちょうどよかったと思っています。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?