今年飲んだ良かった酒Advent Calendar 2021 Day8. ANSELMANN Siegerrebe Spaetlese
3日ほどタイトルだけの仮更新で誤魔化してしまい申し訳ない。今週のうちにきちんとした記事に差し替えるので。
気を取り直して8日目に紹介するのはドイツの白ワイン、ANSELMANN(アンゼルマン醸造所)の「Siegerrebe Spaetlese」(ジーガレーベ・シュペートレーゼ)。
さて、ワインである。ワインは歴史と文化がある分だけ、難しくハードルが高い。初心者にはいったい何が難しく、何がハードルになっているのかよくわからないのがもう既に難しくハードルが高い。どんな種類があるのか百貨店のワイン売り場に行って眺めていても、すかさず寄ってくる店員に「どういうものをお探しですか?どんなものがお好みですか?」と声をかけられ、なんと返していいのかわからず撤退すること数十度。これは今となっては「ワインにはパラメーターが多く、そのパラメーターに馴染みがなかった・またはパラメーターの存在自体を把握していない程に前提知識がなかった」ということだと理解るのだが、話がそれるので一旦それは措く。とにかく、ワインはややこしく難しいものだという苦手意識があり、これまで避けていたり、ちょっと理解ろうと近付いてみては玉砕したりしてきた。しかし最近は古くからの友人がワインスクールに通うくらいワインにハマったり、他の友人たちも日常的にワインを嗜むようになってきたりして、よいきっかけと思ってこの一年くらいは「ワインを理解しようと向き合う」ことを心がけてきた。結局まあ「まだ全然」というところなのだが、百貨店のワイン売り場の店員には「ゲヴュルツトラミネールで甘めのものがあれば」とか「樽が効いたピノ・ノワールでこれくらいの予算で買えるものを」とか「シェリーのエン・ラマかヴァン・ジョーヌはありますか?」などと答えられる程度にはなってきた。
さて、先ほど名前を出したゲヴュルツトラミネールだが、これは白ワイン用のブドウの品種で、「ライチやグレープフルーツ等、白い果実系の華やかな香りが爆発的に強い」が特徴。酒に何を求めるか?という問いには様々な答えがあろうかと思うが、自分は「香り」に重きを置く。特に芳香の力強さや、原料から想像できない方向性の香りとの出会いを尊んでいる。その点ゲヴュルツトラミネールから作られるワインは申し分ない。(ワイン好きからすると「確かに香りはいいが酸味が弱い・ペアリング対象が難しい・高級ワイン向け品種ではない」といった理由で必ずしも評価は高くないようだが。)
「アンゼルマン ジーガレーベ・シュペートレーゼ」に使われているジーガレーベとは、ゲヴュルツトラミネールと食用ぶどう品種の配合品種で、香りはゲヴュルツトラミネールと遜色ない力強さと方向性を持っている。また「シュペートレーゼ」とは「遅摘み」の意味で、ドイツのワイン最高等級「プレディカーツヴァイン」の中で下から2番目の分類であることを示している(詳しい等級分類はここを参照)。
というわけで、外形的に「ゲビュルツトラミネール系の香りがして、甘そう」ということがわかるが、実際にゲビュルツトラミネール系のライチっぽい華やかな香りが爆発し、ネクターのごとき甘く濃く太く瑞瑞しい味がする。とはいえ甘ったるすぎない程度に締める酸味もあり、たいへんに美味。比較的馴染みのあるドイツワインで言えば「ツェラー・シュバルツ・カッツ」とよく似た方向性だが、香り・甘味・凝縮感といったパラメーターがすべて上回っている完全上位互換といった印象。これで探せば手に入る程度の入手性と3000円程度の値段なので実に素晴らしい。華やかでおめでたい味と香りがするので、これからの年末年始、本当にオススメである。
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