音楽の棚
自分の過去作について語るシリーズ。
今日は音楽の棚について語ります。これはいつの作品かというと、2007年ですね。17年前。
音楽をかける操作
当時はiTunesがそこそこ使われ始めたくらいの頃で、まだiPhoneが日本に来てません。iTunes Storeはすでに展開されてます。
そんな頃、自分はインタラクティブ・アートなるジャンルに入りそうな作品を多々展開してました。でもアートまっしぐらではなく、家具とも言えるようなものなど多く作ってたので、インテリアとかデザインとかそういう匂いもあるようなものを作ってました。
その時、インターフェイスと家具というテーマで考えたのがこの作品です。家具と機能を合体することで新しい価値を作れないか考えてました。
かつて、レコードを使ってた時代では音楽を聴くというのは、以下ような操作です。
聞きたい曲のレコードを探して持ってくる
ジャケットから取り出したレコードを大事そうにプレーヤーにセットする
レコード針を慎重にセットする
しかもレコードは、針で鳴らすので、少しずつレコードはすり減るわけで、なにかとても貴重な時間を再生する感じになります。
そんなものと比べて、iTunesの場合は以下のような操作です。
パソコンを開く
お気に入りの曲をリストから探す
クリックする
なんかとても味気ないなーと思ったんです。例えばお客さんが来て、音楽をかけるという時も、レコードの方がなんかいいなーと。
その操作を何かデザインしたい。音楽を再生するということをリデザインできないか。
飾る
この作品では、棚を作ることにしました。音楽を飾る棚を作ろうと。でも音楽のアルバムやジャケットを飾るのではなく、その音楽と関連する自分の思い出の何かを飾るという考えにしました。
機能を説明します。
音楽の棚の棚は扉が開きっぱなしにできる
扉を開くと、そこに設定された曲が鳴りだす
各棚ごとにプレイリストが設定できる
機能はこんな感じでシンプルです。
でもこれがあるといろんな使い方ができるのです。
思い出の品とその思い出の曲を関連づけて飾る
CDやレコード、写真を飾りその曲を設定する
お酒を入れる棚を作り、お酒に合う曲をセットする
全ての棚は靴が入っていて、靴ごとにテーマ曲を設定する
棚というインターフェイスと音楽のプレイリストを合体するだけで、使い方が広がりました。
むしろ、この棚にはどの曲を設定しようと考える時間こそが素敵な時間で、音楽のことも、飾るもののことも考えることができます。そして扉を開くたびに、その考えた記憶が蘇りいい気分になれるはずです。
インターフェイスの可能性
この作品を作った時は、こういう触れる部分のデザインで多くのことができると思ってワクワクしてました。実際使ってくれる人がいるのかとか、商品として考えると価値があるのかないのか難しいですが、少なくとも使ってみた自分としては、なにかとても味わい深い装置になったなと感じました。
この作品はのちに、娘のプレゼントとして作りました。小さくてシンプル。そしてSpotifyバージョンです。
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